信託銀行(特定取引勘定設置銀行6行)

  1. 信託報酬をみると、長期金融部門(貸付信託、合同運用指定金銭信託)からの信託報酬は、貸付信託残高の大幅な減少に加え、不良債権処理に伴う費用が依然として高い水準で推移したことなどから減少した。財産管理部門(その他の信託)からの信託報酬は、株価低迷に伴い一部の運用資産が減少したことなどから減少した。この結果、全体でも1,789億円(前中間期比113億円、5.9%減)と減少した。
  2. 資金運用収益・費用をみると、収益が5,865億円(前中間期比1,723億円、22.7%減)、費用が3,658億円(同1,733億円、32.1%減)となった結果、資金運用益は、2,207億円(同10億円、0.5%増)とわずかながら増益となり、4年連続の増益となった。
    国内業務部門をみると、収益は、会計基準の変更による金利スワップ受入利息の減少に加え、国内金利の低下に伴う有価証券利息配当金および貸出金利息の減少を主因に減少した。一方、費用は、会計基準の変更による金利スワップ支払利息の減少に加え、預金金利の低下に伴う預金利息の減少を主因に減少した。このように、収益、費用ともに減少したものの、前者の減少幅が後者のそれを上回ったことから、資金運用益は減益となった。
    国際業務部門をみると、収益は、有価証券残高の大幅な増加を主因に有価証券利息配当金が大幅に増加したものの、会計基準の変更により金利スワップ受入利息が減少したことに加え、貸出残高の減少および海外金利水準の低下により貸出金利息が減少したことから減少した。一方、費用は、預金残高の増加により預金利息が増加したものの、会計基準の変更により金利スワップ支払利息が大幅に減少したことから減少した。このように、収益、費用ともに減少したものの、後者の減少幅が前者のそれを上回ったことから、資金運用益は増益となった。
  3. 役務取引等収益・費用は、その他の役務費用が増加したことなどから、全体の収益超過額は783億円(前中間期比45億円、5.5%減)となった。
  4. 特定取引収益・費用は、特定金融派生商品収益が増加したことなどから、全体の収益超過額は、67億円(前中間期比27億円、67.6%増)となった。
  5. その他業務収益・費用は、堅調な債券相場に伴う国債等売却益の増加および売却損の減少が見られたことなどから、国債等債券関係損益の収益超過額が大幅に増加した結果、全体の収益超過額は643億円(前中間期比381億円、145.4%増)と大幅に増加した。
  6. その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益は、株式相場の低迷を背景に、株式の減損処理に伴う株式等償却の大幅な増加、および株式等の売却益の減少が見られたことなどから、前中間期の収益超過(1,428億円)から2,076億円の損失超過に転じた。また、貸出金償却などが減少し、一般貸倒引当金繰入額も取崩超となったものの、個別貸倒引当金繰入額(純繰入額1,508億円、50.8%増)は大幅に増加した。この結果、その他経常収益・費用全体では、4,568億円の損失超過と、前中間期(689億円の損失超過)に比べて損失超過額が大幅に拡大した。
  7. 営業経費は、物件費が微増となったものの、人件費が減少したことから、全体では3,293億円(前中間期比13億円、0.4%減)となった。
  8. 以上の結果、経常利益は、前中間期の黒字(1,234億円)から、2,373億円の赤字に転じた(増益1行、減益1行、経常損失6行)。中間利益は、前中間期の黒字(643億円)から、2,140億円の赤字に転じた(減益2行、中間損失6行)。
  9. 参考までにみると、業務純益は2,369億円(前中間期比564億円、31.3%増)と2年連続の増益となった。国内業務粗利益は4,822億円(同68億円、1.4%減)となり、国際業務粗利益は673億円(同320億円、90.7%増)となった。また、国内業務部門の資金粗利鞘(資金運用利回り-資金調達利回り)は、前中間期比0.04%ポイント縮小して0.69%となった。
    リスク管理債権の残高をみると、破綻先債権額は、銀行勘定で1,522億円(前年度末比474億円、23.8%減)、信託勘定で733億円(同240億円、24.7%減)となった。延滞債権額は、銀行勘定で1兆6,032億円(同2,479億円、18.3%増)、信託勘定で2,498億円(同46億円、1.8%減)となった。3ヵ月以上延滞債権額は、銀行勘定で116億円(同31億円、21.1%減)、信託勘定で69億円(同17億円、20.1%減)となった。貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で1兆3,049億円(同1,676億円、14.7%増)、信託勘定で1,887億円(同353億円、23.0%増)となった。以上の結果、リスク管理債権の総額は、銀行勘定で3兆721億円(同3,649億円、13.5%増)、信託勘定で5,188億円(同48億円、0.9%増)となった(信託勘定については、いずれも元本補填契約のある信託勘定の計数)。
    なお、金融再生法に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容をみると、破産更生債権及びこれらに準ずる債権は3,920億円(前年度末比266億円、6.4%減)、危険債権は1兆3,963億円(同1,885億円、15.6%増)、要管理債権は1兆3,200億円(同1,965億円、17.5%増)、正常債権は32兆6,903億円(同4,410億円、1.3%減)となった(信託勘定の計数を除く)。