第二地銀協地銀

(東京スター銀行、石川銀行、中部銀行を含まない53行:特定取引勘定設置銀行1行)

第二地銀協地銀の平成13年度決算をみると、資金運用益は、国内金利が極めて低い水準で推移したことなどから、資金運用収益、資金調達費用がともに減少したものの、後者の減少幅が前者のそれを上回った結果、前年度の減益から増益に転じた。
経常利益は、株式等関係損益の損失超過額が大幅に増加したことに加え、貸倒引当金の繰入や貸出金償却などにより、前年度(355億円の赤字)に引続き2,077億円の赤字となり、赤字幅は大幅に拡大した。

当期利益は、前年度(836億円の赤字)に引続き1,860億円の赤字となった。
業容面をみると、預金は前年度末比0.0%増、貸出金は同1.2%減となった。

損益状況

資金運用益
資金運用益は、1兆1,679億円(前年度比69億円、0.6%増)と前年度の減益から増益に転じた。

資金運用収益は、金利水準の低下に伴い、貸出金利息(前年度比282億円、2.4%減)、有価証券利息配当金(同226億円、13.1%減)が減少し、さらに金利の低下と残高(平残)の減少により、コールローン利息(同63億円、67.7%減)などが大幅に減少したことなどから、全体では1兆2,997億円(同741億円、5.4%減)と減少した。

一方、資金調達費用は、預金残高が増加(平残で前年度比1.2%増)したものの、金利水準の低下に加え、定期性預金から流動性預金へのシフトが生じたことから預金利息が減少(前年度比638億円、38.5%減)した結果、全体では1,318億円(同810億円、38.1%減)と減少した。

役務取引等収益・費用
受入為替手数料収益などが増加したことから、収益超過額は613億円(前年度比36億円、6.2%増)となった。
その他業務収益・費用
国債等債券関係損益が358億円の収益超過(前年度比135億円、60.8%増)となったことなどにより、全体の収益超過額は、443億円(同202億円、84.1%増)となった。
その他経常収益・費用
株式等関係損益は、株式市場の低迷により前年度を大幅に上回る1,481億円の損失超過となった(前年度142億円の損失超過)。また、個別貸倒引当金純繰入額が3,449億円(前年度比309億円、9.8%増)、一般貸倒引当金繰入額が548億円(同193億円、54.3%増)、貸出金償却が569億円(同83億円、17.2%増)といずれも増加した。この結果、全体の損失超過額は、6,237億円と拡大した(前年度4,082億円の損失超過)。
営業経費
営業経費は、人件費が減少したことから、8,576億円(前年度比124億円、1.4%減)となった。
経常利益・当期利益
以上の結果、経常収益は1兆5,928億円(前年度比433億円、2.6%減)、経常費用は1兆8,006億円(同1,290億円、7.7%増)となり、経常利益は2,077億円の赤字と前年度(355億円の赤字)を上回る赤字となった(増益5行、黒字転換5行、減益21行、経常損失22行)。当期利益は、法人税等調整額1,038億円が増益要因となったものの、1,860億円の赤字と前年度(836億円の赤字)を上回る赤字となった(増益7行、黒字転換7行、減益18行、当期損失21行)。

また、業務純益は、3,750億円(前年度比262億円、7.5%増)と増益となった(増益24行、黒字転換1行、減益26行、赤字2行)。また、国内業務粗利益は、1兆2,441億円(同268億円、2.2%増)、国際業務粗利益は、295億円(同38億円、14.9%増)となった。

利回り・利鞘(国内業務部門)

資金運用利回りをみると、貸出金利回りは、前年度比0.05%ポイント低下して2.62%となり、有価証券利回りは、同0.36%ポイント低下して1.25%となった。また、コールローン等利回りは同0.18%ポイント低下して0.02%となった。この結果、資金運用利回りは、同0.11%ポイント低下して2.22%となった。

一方、資金調達原価をみると、預金債券等利回りは、前年度比0.10%ポイント低下して0.16%となり、コールマネー等利回りは同0.13%ポイント低下して1.56%となった。また、経費率は同0.05%ポイント低下して1.54%となった。この結果、資金調達原価は、同0.15%ポイント低下して1.72%となった。
以上の結果、総資金利鞘は前年度比0.04%ポイント拡大して0.50%となった。

資金調達

預金は、定期性預金は減少したが、流動性預金が増加したことから、末残では54兆6,870億円(前年度末比92億円、0.0%増)となり、平残でも54兆1,903億円(前年度比6,538億円、1.2%増)となった。

譲渡性預金は、末残では2,329億円(前年度末比1,134億円、32.7%減)となり、平残では4,158億円(前年度比3,206億円、336.8%増)となった。

資金運用

貸出金は、個人向け貸出では住宅ローンが増加したが、企業向け貸出の減少から、末残では43兆2,021億円(前年度末比5,340億円、1.2%減)となった。なお、平残では42兆9,427億円(前年度比1,217億円、0.3%増)となった。

リスク管理債権については、破綻先債権額は4,722億円(前年度末比194億円、4.3%増)、延滞債権額は2兆1,310億円(同1,735億円、8.9%増)、3カ月以上延滞債権額は294億円(同93億円、24.0%減)、貸出条件緩和債権額は1兆2,183億円(同1,748億円、16.7%増)となった。リスク管理債権額の合計は、3兆8,510億円(同3,584億円、10.3%増)であった。

なお、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が1兆1,050億円(前年度末比333億円、3.1%増)、危険債権が1兆6,792億円(同981億円、6.2%増)、要管理債権が1兆1,932億円(同2,426億円、25.5%増)、正常債権が40兆3,384億円(同1兆901億円、2.6%減)であった。

有価証券は、株式、社債は減少したが、国債が増加したことなどから、末残では10兆5,850億円(前年度末比3,739億円、3.7%増)と増加し、平残でも11兆2,062億円(前年度比1兆484億円、10.3%増)と増加した。

自己資本

資本金は、期中に12行で増資、2行で転換社債の転換が行われたことから、8,279億円(前年度末比523億円、6.7%増)となった。

資本勘定は、赤字決算に伴い剰余金は6,971億円(同1,606億円、18.7%減)となった。また、その他有価証券の時価評価により評価差額金が24億円の評価損となったことなどから、資本勘定全体では、2兆4,346億円(同2,114億円、8.0%減)となった。