第二地銀協地銀 (特定取引勘定設置銀行1行)

第二地銀協地銀の平成14年度決算をみると、資金運用益は、国内金利が極めて低い水準で推移したことなどから、資金運用収益、資金調達費用がともに減少したものの、前者の減少幅が後者のそれを上回った結果、前年度の増益から減益に転じた。経常利益は、株式等償却や貸出金償却の増加などの影響により、前年度(1,948億円の赤字)に引続き1,752億円の赤字となったが、赤字幅は縮小した。

当期利益は、前年度(1,787億円の赤字)に引続き1,813億円の赤字となった。
業容面をみると、預金は前年度末比1.9%増、貸出金は同1.0%減となった。

損益状況

資金運用益
資金運用益は、1兆1,702億円(前年度比189億円、1.6%減)と前年度の増益から減益に転じた。

資金運用収益は、金利水準の低下に伴い、貸出金利息(前年度比451億円、3.9%減)、有価証券利息配当金(同180億円、11.9%減)が減少し、さらに金利の低下と残高(平残)が減少したことなどから、全体では1兆2,504億円(同718億円、5.4%減)と減少した。

一方、資金調達費用は、預金残高の減少(平残で前年度比0.1%減)、金利水準の低下に加え、定期性預金から流動性預金へのシフトが生じたことから預金利息が大幅に減少(前年度比443億円、42.8%減)した結果、全体では802億円(同529億円、39.8%減)と減少した。

役務取引等収益・費用
為替手数料収支の収益超過額が増加したものの、その他の役務収支の収益超過額の減少により、全体の収益超過額は603億円(前年度比5億円、0.9%減)となった。
その他業務収益・費用
国債等債券関係損益の減少(前年度比65億円、19.1%減)、金融派生商品損益が22億円の損失超過(前年度19億円の収益超過)となったことなどにより、全体の収益超過額は、265億円(前年度比161億円、37.8%減)となった。
その他経常収益・費用
株式等関係損益は、株式市場の低迷により前年度を上回る1,630億円の損失超過となった(前年度1,480億円の損失超過)。また、個別貸倒引当金純繰入額が3,271億円(前年度比177億円、5.1%減)、一般貸倒引当金繰入額が242億円(同305億円、55.8%減)といずれも減少した。貸出金償却は798億円(同244億円、44.0%増)の増加となった。この結果、全体の損失超過額は、5,908億円と縮小した(前年度6,236億円の損失超過)。
営業経費
営業経費は、人件費が減少したことから、8,415億円(前年度比223億円、2.6%減)となった。
経常利益・当期利益
以上の結果、経常収益は1兆5,581億円(前年度比570億円、3.5%減)、経常費用は1兆7,333億円(同766億円、4.2%減)となり、経常利益は1,752億円の赤字と前年度(1,948億円の赤字)に引続き赤字となった(増益13行、黒字転換11行、減益8行、経常損失21行)。当期利益は、1,813億円の赤字と前年度(1,787億円の赤字)に引続き赤字となった(増益12行、黒字転換13行、減益8行、当期損失20行)。

また、業務純益は、4,124億円(前年度比245億円、6.3%増)と増益となった(増益29行、黒字転換2行、減益20行、赤字2行)。また、国内業務粗利益は、1兆2,267億円(同363億円、2.9%減)、国際業務粗利益は、303億円(同7億円、2.4%増)となった。

利回り・利鞘(国内業務部門)

資金運用利回りをみると、貸出金利回りは、前年度比0.07%ポイント低下して2.60%となり、有価証券利回りは、同0.17%ポイント低下して1.05%となった。また、コールローン等利回りは同0.01%ポイント低下して0.01%となった。この結果、資金運用利回りは、同0.06%ポイント低下して2.17%となった。

一方、資金調達原価をみると、預金債券等利回りは、前年度比0.07%ポイント低下して0.10%となり、コールマネー等利回りは同0.43%ポイント低下して1.13%となった。また、経費率は同0.04%ポイント低下して1.49%となった。この結果、資金調達原価は、同0.12%ポイント低下して1.60%となった。
以上の結果、総資金利鞘は前年度比0.06%ポイント拡大して0.57%となった。

資金調達

預金は、定期性預金は減少したが、流動性預金が増加したことから、末残では56兆1,426億円(前年度末比1兆604億円、1.9%増)となり、平残では54兆6,245億円(前年度比636億円、0.1%減)となった。

譲渡性預金は、末残では1,446億円(前年度末比798億円、35.6%減)となり、平残では1,591億円(前年度比2,548億円、61.6%減)となった。

資金運用

貸出金は、個人向け貸出では住宅ローンが増加したが、企業向け貸出の減少から、末残では42兆9,130億円(前年度末比4,141億円、1.0%減)となった。なお、平残では42兆4,911億円(前年度比5,672億円、1.3%減)となった。

リスク管理債権については、破綻先債権額は4,474億円(前年度末比284億円、6.0%減)、延滞債権額は2兆1,674億円(同210億円、1.0%増)、3カ月以上延滞債権額は207億円(同90億円、30.3%減)、貸出条件緩和債権額は1兆1,866億円(同555億円、4.5%減)となった。リスク管理債権額の合計は、3兆8,222億円(同719億円、1.8%減)であった。

なお、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が1兆413億円(前年度末比792億円、7.1%減)、危険債権が1兆6,589億円(同240億円、1.4%減)、要管理債権が1兆1,984億円(同191億円、1.6%減)、正常債権が39兆9,137億円(同5,123億円、1.3%減)であった。

有価証券は、株式、国債は減少したが、社債が増加したことなどから、末残では11兆3,293億円(前年度末比4,139億円、3.8%増)と増加し、平残では11兆5,389億円(前年度比415億円、0.4%減)と減少した。

自己資本

資本金は、期中に8行で増資、4行で転換社債型新株予約権付社債の転換が行われたことから、9,245億円(前年度末比964億円、11.6%増)となった。

資本勘定をみると、株式等評価差額金が428億円(同450億円、2,014.1%増)と増加したこと等から、資本勘定全体では、2兆4,935億円(同322億円、1.3%増)となった。