都市銀行(特定取引勘定設置銀行6行)

  1. 資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は2兆7,028億円(前中間期比4,784億円、15.0%減)、資金調達費用は6,444億円(同3,560億円、35.6%減)となったことから、資金運用益は2兆585億円(同1,224億円、5.6%減)と2年連続の減益となった。
    国内業務部門をみると、収益は、貸出金の減少(平残で前中間期比7.3%減)等により貸出金利息が減少したほか、有価証券利息配当金等も減少したことから、減少した。一方、費用は、定期預金残高の減少等から預金利息が減少したほか、債券利息・差金償却等も減少したことから、減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、前者の減少額が後者のそれを上回ったことから、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
    国際業務部門をみると、収益は、有価証券利息配当金は増加したものの、貸出金の減少(平残で前中間期比28.2%減)および金利水準の低下により貸出金利息が大幅に減少したこと等から、全体では減少した。一方、費用は、金利水準の低下および預金残高の減少(平残で前中間期比12.8%減)により預金利息が減少したほか、その他の支払利息も大幅に減少したことから、全体でも減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、前者の減少額が後者のそれを下回ったことから、国際業務部門の資金運用益は増益となった。
  2. 役務取引等収益・費用をみると、証券・投資銀行業務に係る手数料収入や投資信託等の販売手数料収入が増加したことからその他の役務収支の収益超過額が大幅に増加し、為替手数料収支の収益超過額も増加したことから、全体の収益超過額は4,021億円(前中間期比661億円、19.7%増)となった。
  3. トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、収益・費用がともに増加したものの、前者の増加額が後者のそれを上回ったことから、全体の収益超過額は3,296億円(前中間期比691億円、26.5%増)となった。
  4. その他業務収益・費用をみると、市場金利の上昇に伴い国債等債券売却損が大幅に増加したことから国債等債券関係損益の収益超過額が減少し、外国為替売買損益の収益超過額も減少したことから、全体の収益超過額は2,669億円(前中間期比1,092億円、29.0%減)となった。
  5. その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益は、株式相場が回復したことから、株式等償却が大幅に減少し、また株式等売却益が増加したことから、1,445億円の収益超過となり、前中間期の4,881億円の損失超過から収益超過へ転じた。一方、一般貸倒引当金の戻入れがあったものの、一部銀行において引当の強化や不良債権のオフバランス化をさらに進めた結果、個別貸倒引当金純繰入額および貸出金償却は大幅に増加した。以上の結果、全体の損失超過額は1兆7,130億円(前中間期は1兆4,884億円の損失超過)と増加した。
  6. 営業経費は、経営全般にわたる合理化・効率化を一層進め、人件費・物件費ともに減少したことから、1兆4,699億円(前中間期比756億円、4.9%減)と減少した。
  7. 以上の結果、経常利益は、りそな銀行および埼玉りそな銀行が経常赤字(2行合計で1兆412億円の経常赤字)となったことから、1,243億円の赤字となり、前中間期の黒字(1,224億円の黒字)から赤字に転じた(増益4行、黒字転換1行、損失2行)。また、東京都外形標準課税訴訟に係る訴訟上の和解が成立したことを受けて東京都に係る事業税の還付金および還付加算金を計上したこと、一部の銀行が貸倒引当金戻入益や厚生年金基金の代行返上益を計上したことから特別利益が増加したものの、退職給付会計導入に伴う会計基準変更時差異の費用処理等により特別損失も増加し、さらに繰延税金資産の計上額が減少したことに対応して法人税等調整額が6,789億円となった(減益要因)ことから、中間純利益は6,069億円の赤字となり、前中間期の黒字(1,210億円の黒字)から赤字に転じた(増益4行、黒字転換1行、純損失2行)。
  8. 参考までにみると、業務純益は1兆8,156億円(前中間期比1,883億円、11.6%増)、国内業務粗利益は2兆1,442億円(同1,690億円、7.3%減)、国際業務粗利益は9,178億円(同669億円、7.9%増)となった。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.03%ポイント拡大して、0.42%となった。
    リスク管理債権については、破綻先債権額は銀行勘定で4,029億円(前期末比2,720億円、40.3%減)、信託勘定で16億円(同2億円、13.0%減)、延滞債権額は銀行勘定で6兆26億円(同6,818億円、10.2%減)、信託勘定で124億円(同45億円、56.7%増)、3ヵ月以上延滞債権額は銀行勘定で2,487億円(同365億円、12.8%減)、信託勘定で7億円(同4億円、104.6%増)、貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で6兆531億円(同3兆6,348億円、37.5%減)、信託勘定で81億円(同147億円、64.3%減)となった。リスク管理債権額の合計は銀行勘定で12兆7,074億円(同4兆6,251億円、26.7%減)、信託勘定で230億円(同101億円、30.5%減)であった(信託勘定については、元本補填契約のある信託勘定の計数)。
    なお、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が1兆6,405億円(前期末比1,616億円、9.0%減)、危険債権が4兆9,620億円(同8,175億円、14.1%減)、要管理債権が6兆3,108億円(同3兆6,623億円、36.7%減)、正常債権が221兆1,989億円(同6兆1,328億円、2.7%減)であった。