信託銀行(特定取引勘定設置銀行6行)

  1. 信託報酬をみると、長期金融部門(貸付信託、合同運用指定金銭信託)からの信託報酬は、不良債権処理に伴う費用は減少したものの、残高が大幅に減少したこと等から減少した。一方、財産管理部門(その他の信託)からの信託報酬は、前中間期比横這い程度であった。この結果、信託報酬全体では、1,565億円(前中間期比213億円、12.0%減)となった。
  2. 資金運用収益・費用をみると、資金運用収益が3,912億円(前中間期比880億円、18.4%減)、資金調達費用が1,611億円(同527億円、24.7%減)となった結果、資金運用益は、2,300億円(同353億円、13.3%減)と前中間期の増益から減益に転じた。
    国内業務部門をみると、収益は、金利水準の低下を主因に貸出金利息、有価証券利息配当金が減少したこと等により、全体でも減少した。一方、費用は、金利水準の低下等に伴う預金利息の減少に加え、信託勘定借残高の減少等により、その他の支払利息が大幅に減少したことから、全体でも減少した。このように、収益、費用ともに減少したものの、前者の減少額が後者のそれを上回ったことから、資金運用益は減益となった。
    国際業務部門をみると、収益は、金利水準の低下および貸出残高の減少により、貸出金利息が大幅に減少したことに加え、有価証券利息配当金も減少したことから、全体でも減少した。一方、費用は、金利水準の低下および預金残高の減少により、預金利息が大幅に減少したことから、全体でも減少した。このように、収益、費用ともに減少したものの、前者の減少額が後者のそれを上回ったことから、資金運用益は減益となった。
  3. 役務取引等収益・費用は、その他の役務収益が増加したこと等から、全体の収益超過額は841億円(前中間期比85億円、11.3%増)となった。
  4. トレーディング業務に係る特定取引収益・費用は、83億円の収益超過(前中間期比2億円、2.9%増)となった。
  5. その他業務収益・費用をみると、外国為替売買損益の収益超過額が大幅に減少したものの、国債等債券売却損の大幅な減少を主因として、国債等債券関係損益の収益超過額が大幅に増加したほか、金融派生商品収益の大幅な増加により金融派生商品損益の収益超過額が大幅に増加したこと等から、全体の収益超過額は892億円(前中間期比401億円、81.6%増)となった。
  6. その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益は、株式相場の回復により511億円の収益超過に転じた。また、一般貸倒引当金の戻入れがあったほか、貸出金償却が、前年度末に積極的な不良債権処理を進めたことなどを受け、大幅に減少した。これらの結果、全体では203億円の損失超過と、前中間期(2,912億円の損失超過)に比べ、損失超過額が大幅に減少した。
  7. 営業経費は、経営全般にわたる合理化・効率化を一層進め、人件費、物件費ともに減少したことから、2,971億円(前中間期比127億円、4.1%減)となった。
  8. 以上の結果、経常利益は前中間期の赤字(310億円の赤字)から2,508億円の黒字に転換した(増益3行、黒字転換3行、減益2行)。中間純利益は2,049億円(前中間期比1,754億円、594.8%増)と大幅な増益となった(増益5行、黒字転換2行、減益1行)。
  9. 参考までにみると、業務純益は3,001億円(前中間期比328億円、12.3%増)と4年連続の増益となった。国内業務粗利益は4,564億円(同180億円、3.8%減)となり、国際業務粗利益は1,119億円(同101億円、9.9%増)となった。また、国内業務部門の資金粗利鞘(資金運用利回り-資金調達利回り)は、前中間期比0.06%ポイント縮小して0.74%となった。
    リスク管理債権の残高をみると、破綻先債権額は、銀行勘定で879億円(前年度末比137億円、13.4%減)、信託勘定で334億円(同46億円、12.0%減)となった。延滞債権額は、銀行勘定で6,649億円(同1,412億円、17.5%減)、信託勘定で723億円(同113億円、13.5%減)となった。3ヵ月以上延滞債権額は、銀行勘定で149億円(同78億円、108.8%増)、信託勘定で118億円(同57億円、93.7%増)となった。貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で1兆387億円(同2,890億円、21.8%減)、信託勘定で1,426億円(同450億円、24.0%減)となった。以上の結果、リスク管理債権の総額は、銀行勘定で1兆8,067億円(同4,361億円、19.4%減)、信託勘定で2,602億円(同551億円、17.5%減)となった(信託勘定については、いずれも元本補填契約のある信託勘定の計数)。
    なお、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容をみると、破産更生債権及びこれらに準ずる債権は1,655億円(前年度末比859億円、34.2%減)、危険債権は6,011億円(同732億円、10.9%減)、要管理債権は1兆611億円(同2,811億円、20.9%減)、正常債権は30兆5,224億円(同1,042億円、0.3%増)となった(信託勘定の計数を除く)。