第二地銀協地銀

第二地銀協地銀の平成15年度決算をみると、資金運用益は、国内金利が引続き低水準で推移したことなどから、資金運用収益、資金調達費用がともに減少したものの、前者の減少額が後者の減少額を上回った結果、前年度に引続き減益となった。
経常利益は、株式市況の回復による株式等売却益の増加と、株式等償却の大幅な減少を主因に株式等関係損益が前年度の大幅な損失超過から収益超過に転じたことにより、前年度の赤字(1,749億円)から、1,409億円の黒字に転じた。

当期純利益は、前年度の赤字(1,811億円)から794億円の黒字に転じた。
業容面をみると、預金は前年度末比0.7%増、貸出金は同0.2%増となった。

損益状況

資金運用益
資金運用益は、1兆1,262億円(前年度比135億円、1.2%減)と前年度に引続き減益となった。

資金運用収益は、金利水準の低下等に伴い、貸出金利息(前年度比303億円、2.8%減)の減少から、全体では1兆1,901億円(同272億円、2.2%減)と減少した。

一方、資金調達費用は、金利水準の低下等により、預金利息が減少(前年度比113億円、19.9%減)した結果、全体では639億円(同137億円、17.7%減)と減少した。

役務取引等収益・費用
投信・保険商品販売関連手数料の増加等から、その他の役務収支の収益超過額が増加したことにより、全体の収益超過額は637億円(前年度比32億円、5.3%増)となった。
その他業務収益・費用
国債等債券関係損益は160億円の収益超過(前年度比103億円、39.1%減)、金融派生商品損益が43億円の収益超過(前年度22億円の損失超過)となったことなどにより、全体の収益超過額は、189億円(前年度比62億円、24.6%減)となった。
その他経常収益・費用
株式等関係損益は、株式市況の回復により296億円の収益超過となった(前年度1,602億円の損失超過)。また、個別貸倒引当金純繰入額は2,713億円(前年度比427億円、13.6%減)、貸出金償却は569億円(同228億円、28.6%減)といずれも減少となった。このほか、一般貸倒引当金繰入額は257億円の取崩し超過となった。この結果、全体の損失超過額は、2,803億円と減少した(前年度5,782億円の損失超過)。
営業経費
営業経費は、人件費、物件費ともに減少したことから、7,876億円(前年度比344億円、4.2%減)となった。
経常利益・当期純利益
以上の結果、経常収益は1兆5,043億円(前年度比163億円、1.1%減)、経常費用は1兆3,634億円(同3,321億円、19.6%減)となり、経常利益は1,409億円の黒字(前年度1,749億円の赤字)となった(増益20行、黒字転換16行、減益8行、経常損失6行)。当期純利益は、794億円の黒字(前年度1,811億円の赤字)となった(増益22行、黒字転換15行、減益7行、当期純損失6行)。

また、業務純益は、4,693億円(前年度比704億円、17.6%増)と増益となった(増益25行、黒字転換2行、減益22行、赤字1行)。また、国内業務粗利益は、1兆1,719億円(同234億円、2.0%減)、国際業務粗利益は、370億円(同68億円、22.6%増)となった。

利回り・利鞘(国内業務部門)

資金運用利回りをみると、貸出金利回りは、前年度比0.04%ポイント低下して2.55%となり、有価証券利回りは、同0.08%ポイント低下して0.97%となった。また、コールローン等利回りは同0.004%ポイント上昇して0.01%となった。この結果、資金運用利回りは、同0.06%ポイント低下して2.10%となった。

一方、資金調達原価をみると、預金債券等利回りは、前年度比0.02%ポイント低下して0.08%となり、コールマネー等利回りは同0.33%ポイント上昇して1.47%となった。また、経費率は同0.09%ポイント低下して1.40%となった。この結果、資金調達原価は、同0.10%ポイント低下して1.50%となった。
以上の結果、総資金利鞘は前年度比0.04%ポイント拡大して0.60%となった。

資金調達

預金は、定期性預金は減少したが、流動性預金が増加したことから、末残では55兆2,400億円(前年度末比3,769億円、0.7%増)となり、平残は53兆9,700億円(前年度比5,743億円、1.1%増)となった。

譲渡性預金は、末残では3,132億円(前年度末比1,687億円、116.6%増)となり、平残は2,817億円(前年度比1,237億円、78.3%増)となった。

資金運用

貸出金は、住宅ローンを中心に個人向け貸出金が増加したことを主因に、末残では41兆9,524億円(前年度末比657億円、0.2%増)となった。なお、平残は41兆15億円(前年度比4,766億円、1.1%減)となった。

リスク管理債権については、破綻先債権額は3,072億円(前年度末比1,257億円、29.0%減)、延滞債権額は1兆8,554億円(同2,471億円、11.8%減)、3カ月以上延滞債権額は129億円(同78億円、37.5%減)、貸出条件緩和債権額は9,272億円(同2,123億円、18.6%減)となった。この結果、リスク管理債権額の合計は、3兆1,028億円(同5,929億円、16.0%減)となった。

なお、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が8,113億円(前年度末比1,854億円、18.6%減)、危険債権が1兆4,010億円(同2,218億円、13.7%減)、要管理債権が9,368億円(同2,144億円、18.6%減)、正常債権が39兆5,752億円(同5,803億円、1.5%増)であった。

有価証券は、社債は減少したが、国債、外国証券および株式等が増加したことから、末残では12兆2,732億円(前年度末比1兆1,071億円、9.9%増)と増加し、平残は11兆9,879億円(前年度比6,331億円、5.6%増)と増加した。

自己資本

資本金は、期中に2行で増資、1行で減資、1行で転換社債型新株予約権付社債の転換が行われたことから、8,491億円(前年度末比369億円、4.2%減)となった。

資本勘定全体では、株式等評価差額金が1,530億円(同1,103億円、258.3%増)と増加したこと等から、2兆5,542億円(同1,274億円、5.2%増)となった。

担当:永沼