1.金融情勢

平成15年度の金融・資本市場をみると、短期金利については、日本銀行が量的緩和の拡大措置に基づき潤沢に資金供給を行い、日銀当座預金残高が20兆円台後半から30兆円台半ばという高水準で推移したことから、短期金利(無担保コールレート、オーバーナイト物)は、年間を通じてゼロ%程度と極めて低い水準で推移した。

一方、長期金利(10年物国債流通利回り)をみると、わが国経済の先行き不透明感等を背景として銀行や機関投資家による国債投資が進んだことから低下し、6月半ばには一時0.4%台にまで低下したが、その後、株価の回復や欧米の長期金利の上昇などを受けて上昇に転じ、年度後半では1%台前半で推移した。マネーサプライ(M2+CD)は、前年同月比概ね1%台後半で推移した。

株価(日経平均株価)は、年度当初、経済の先行き不透明感から下げたものの、夏にかけて持ち直す動きを見せた。年度後半に入ると、10月に1万1,000円台を超えて年初来高値を更新したが、11月には一時1万円台を割り込む展開となり、その後は景気回復期待等から再び上昇し、年度末の日経平均株価は1万1,715円39銭となった。

外国為替相場(東京市場)は、年度前半、1ドル=120円前後で推移していたが、7月以降海外投資家によるわが国への株式投資が活発化するなか、9月にドバイで開催されたG7会議以後は大幅ドル安の展開となり、2月には米国の経常赤字拡大への懸念等から105~106円台まで円高ドル安が進んだ。その後、内外投資家によるドル買戻しでドルは一時持ち直したものの、年度末にかけて日本の景気回復期待等から円が急伸し、年度末の為替相場は、1ドル=103円95銭となった。

図1 国内主要金利の推移

図2 海外主要金利等の推移

2.銀行の経営統合等の動き

平成15年度中に見られた経営統合等の動きは以下のとおりである。

[1] 関東銀行・つくば銀行の合併
平成15年4月1日、関東銀行とつくば銀行が合併し、「関東つくば銀行」が発足した。なお、両行は、同3月31日に金融庁から「金融機関等の組織再編の促進に関する特別措置法」に基づく経営基盤強化計画の認定を受けており、これに基づき関東つくば銀行は9月に預金保険機構から60億円の期限付劣後ローンによる資本増強を受けている。
[2] 親和銀行・九州銀行の合併
平成15年4月1日、親和銀行と九州銀行が合併し、「親和銀行」が発足した。
[3] 関西銀行・関西さわやか銀行の合併
平成16年2月1日、関西銀行と関西さわやか銀行が合併し、「関西アーバン銀行」が発足した。
[4] りそな銀行に対する資本増強
平成15年6月10日、5月17日開催の金融危機対応会議での審議と内閣総理大臣の認定等を受けて、りそな銀行に対して、預金保険法第102条第1項第1号に基づく資本増強が決定された。この結果、7月1日、預金保険機構により、りそな銀行の発行した新株式総額1兆9,600億円の引き受けが実施され、また8月7日にはりそなホールディングスの株式との株式交換が実施された。
[5] 足利銀行の特別危機管理
平成15年11月29日、足利銀行に対して、預金保険法第102条第1項第3号措置に基づき、預金保険機構が同行の全株式を取得することが決定(特別危機管理開始決定)された。この結果、同12月1日、足利銀行の株式はすべて預金保険機構により取得された。

担当:世良