都市銀行(特定取引勘定設置銀行6行)

  1. 資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は2兆5,034億円(前中間期比1,995億円、7.4%減)、資金調達費用は6,105億円(同338億円、5.3%減)となったことから、資金運用益は1兆8,929億円(同1,656億円、8.0%減)と3年連続の減益となった。
    国内業務部門をみると、収益は、貸出金の減少や金利水準の低下による貸出金利回りの低下を主因として貸出金利息が減少したこと等から、全体では減少した。一方、費用は、債券残高の減少から債券利息・差金償却が減少するとともに預金金利の低下等から預金利息等が減少し、全体でも減少となった。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、前者の減少額が後者のそれを上回ったことから、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
    国際業務部門をみると、収益は、預け金利息およびコールローン利息は増加したものの、金利水準の低下および貸出金の減少等により有価証券利息配当、貸出金利息等が大幅に減少したこと等から、全体では減少した。一方、費用は、金利スワップ支払利息が減少したほか、その他の支払利息も大幅に減少したことから、全体では減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、前者の減少額が後者のそれを上回ったことから、国際業務部門の資金運用益も減益となった。
  2. 役務取引等収益・費用をみると、証券・投資銀行業務に係る手数料や個人向けの投資信託、年金保険等の販売手数料が増加するとともに、シンジケートローンのアレンジメントフィー等の法人向け取引における手数料収入も増加したことから、その他の役務収支の収益超過額が大幅に増加し、為替手数料収支の収益超過額も増加したことから、全体の収益超過額は4,802億円(前中間期比781億円、19.4%増)となった。
  3. トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国際業務部門で円安・ドル高傾向と米国短期金利上昇から、通貨スワップ取引等で(後述の)外国為替売買益(換算益)が生じた一方で、特定取引の部分で損失(評価損)が生じたこと等から、全体の収益超過額は596億円(前中間期比2,700億円、81.9%減)となった。
  4. その他業務収益・費用をみると、金融派生商品損益が損失超過に転じたほか、国債等債券関係損益の収益超過額も減少したものの、外国為替売買損益の収益超過額が円安・ドル高傾向から大幅に増加したことから、全体の収益超過額は3,962億円(前中間期比1,293億円、48.4%増)となった。
  5. その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益については、株式相場の回復により株式等売却益が増加したことから578億円の収益超過となり、前中間期(1,445億円の収益超過)に続き2年連続の収益超過となった。また、不良債権処理を加速させ引き続き高い引当水準を維持した結果、個別貸倒引当金は大幅に増加した一方で、貸出金償却は減少した。また、不良債権の新規発生の減少や債務者企業の企業再生や業績回復による債務者区分の引上げがあったことから、一般貸倒引当金が多額の取崩しとなった。以上の結果、全体の損失超過額は1兆1,641億円(前中間期は1兆7,130億円の損失超過)となった。
  6. 営業経費は、経営全般にわたる合理化・効率化を一層進め、人件費・物件費ともに減少し、1兆3,612億円(前中間期比1,086億円、7.4%減)となった。
  7. 以上の結果、経常利益は、3,073億円の黒字となり、前中間期の赤字(1,243億円の赤字)から黒字に転じた(増益2行、黒字転換2行、減益2行、損失1行)。また、一部の銀行において貸倒引当金戻入益が発生したが、固定資産の減損に係る会計基準の適用等により特別損失が発生したほか、繰延税金資産の計上額が大幅に減少したことに対応して法人税等調整額が3,888億円(減益要因)となったことから、中間純利益は、712億円の赤字となり前中間期(6,069億円の赤字)に続き2年連続の赤字となった(黒字転換2行、減益4行、純損失1行)。
  8. 参考までにみると、業務純益は2兆6,666億円(前中間期比8,511億円、46.9%増)、国内業務粗利益は2兆1,521億円(同79億円、0.4%増)、国際業務粗利益は6,831億円(同2,347億円、25.6%減)となった。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.03%ポイント拡大して、0.44%となった。
    リスク管理債権については、破綻先債権額は銀行勘定で1,863億円(前期末比393億円、17.4%減)、信託勘定で4億円(同0.4億円、11.0%増)、延滞債権額は銀行勘定で6兆5,814億円(同1兆9,444億円、41.9%増)、信託勘定で42億円(同40億円、48.8%減)、3ヵ月以上延滞債権額は銀行勘定で1,621億円(同464億円、22.2%減)、信託勘定で4億円(同4億円、50.6%減)、貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で2兆4,055億円(同2兆5,515億円、51.5%減)、信託勘定で64億円(同165億円、72.0%減)となった。
    リスク管理債権額の合計は銀行勘定で9兆3,355億円(同6,928億円、6.9%減)、信託勘定で114億円(同209億円、64.6%減)であった(信託勘定については、元本補填契約のある信託勘定の計数)。
    なお、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が1兆2,208億円(前期末比1,575億円、14.8%増)、危険債権が5兆9,760億円(同1兆9,585億円、48.7%増)、要管理債権が2兆5,677億円(同2兆5,979億円、50.3%減)、正常債権が216兆6,229億円(同1兆1,444億円、0.5%減)であった。

担当:岡島