信託銀行(特定取引勘定設置銀行6行)

  1. 信託報酬をみると、長期金融部門(貸付信託、合同運用指定金銭信託)からの信託報酬は、不良債権処理に伴う費用が減少したものの、残高が減少したこと等から減少した。一方、財産管理部門(その他の信託)からの信託報酬は、大幅に増加した。この結果、信託報酬全体では、1,894億円(前中間期比329億円、21.0%増)と前中間期(1,565億円)に比べ増加した。
  2. 資金運用収益・費用をみると、資金運用収益が3,716億円(前中間期比196億円、5.0%減)、資金調達費用が1,258億円(同353億円、21.9%減)となった結果、資金運用益は、2,458億円(同157億円、6.8%増)と昨年の減益から増益に転じた。
    国内業務部門をみると、収益は、金利水準の低下による貸出金利回りの低下を主因として貸出金利息が減少したものの、有価証券利息配当金や金利スワップ受入利息が増加したこと等により、全体では増加した。一方、費用は、預金金利の低下等による預金利息の減少に加え、金利スワップ支払利息が減少したことから、全体でも減少した。以上のように、収益が増加し、費用が減少したことから、国内業務部門の資金運用益は増益となった。
    国際業務部門をみると、収益は、貸出金の減少や金利水準の低下による貸出金利回りの低下を主因として貸出金利息が減少したことに加え、有価証券利息配当金も減少したことから、全体でも減少した。一方、費用は、金利スワップ支払利息が減少したほか、その他の支払利息が減少したことから、全体でも減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、後者の減少額が前者のそれを上回ったことから、国際業務部門の資金運用益も増益となった。
  3. 役務取引等収益・費用は、その他の役務収益が増加したこと等から、全体の収益超過額は1,051億円(前中間期比210億円、24.9%増)となった。
  4. トレーディング業務に係る特定取引収益・費用は、全体の収益超過額は100億円(前中間期比17億円、20.9%増)となった。
  5. その他業務収益・費用をみると、国債等債券売却益の減少を主因として、国債等債券関係損益の収益超過額が減少したほか、金融派生商品収益の減少等により金融派生商品損益が損失超過となったこと等から、全体の損失超過額は34億円(前年は892億円の収益超過)となった。
  6. その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益は、株式相場の回復により前年の損失超過から収益超過に転じ、また貸出金償却が減少したものの、一般貸倒引当金繰入額、個別貸倒引当金繰入額ともに大幅に増加した。これらの結果、全体では1,289億円の損失超過と、前中間期(203億円の損失超過)に比べ、損失超過額が増加した。
  7. 営業経費は、経営全般にわたる合理化・効率化を一層進め、人件費、物件費ともに減少したことから、2,769億円(前中間期比202億円、6.8%減)となった。
  8. 以上の結果、経常利益は1,411億円(前中間期比1,097億円、43.7%減)と減益となった(増益3行、減益4行、損失1行)。中間純利益は、法人税等調整額が1,367億円となった(減益要因)こと等から75億円(同1,974億円、96.4%減)と大幅な減益となった(増益3行、減益4行、純損失1行)。
  9. 参考までにみると、業務純益は2,630億円(前中間期比371億円、12.4%減)と4年連続の増益から減益に転じた。国内業務粗利益は4,844億円(同280億円、6.1%増)となり、国際業務粗利益は626億円(同494億円、44.1%減)となった。また、国内業務部門の資金粗利鞘(資金運用利回り-資金調達利回り)は、前中間期比0.05%ポイント拡大して0.78%となった。
    リスク管理債権の残高をみると、破綻先債権額は、銀行勘定で584億円(前期末比219億円、27.2%減)、信託勘定で162億円(同35億円、17.6%減)となった。延滞債権額は、銀行勘定で7,994億円(同648億円、8.8%増)、信託勘定で404億円(同248億円、38.0%減)となった。3ヵ月以上延滞債権額は、銀行勘定で26億円(同5億円、25.7%増)、信託勘定で33億円(同6億円、20.3%増)となった。貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で3,703億円(同2,395億円、39.3%減)、信託勘定で779億円(同391億円、33.4%減)となった。以上の結果、リスク管理債権の総額は、銀行勘定で1兆2,308億円(同1,960億円、13.7%減)、信託勘定で1,380億円(同668億円、32.6%減)となった(信託勘定については、いずれも元本補填契約のある信託勘定の計数)。
    なお、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容をみると、破産更生債権及びこれらに準ずる債権は1,956億円(前期末比364億円、22.9%増)、危険債権は6,847億円(同176億円、2.6%増)、要管理債権は3,732億円(同2,427億円、39.4%減)、正常債権は30兆9,051億円(同2,019億円、0.6%減)となった(信託勘定の計数を除く)。

担当:大山