都市銀行(特定取引勘定設置銀行6行)

  1. 資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は2兆8,101億円(前中間期比3,067億円、12.3%増)、資金調達費用は8,854億円(同2,749億円、45.0%増)となったことから、資金運用益は1兆9,247億円(同319億円、1.7%増)と4年ぶりの増益となった。
    国内業務部門をみると、収益は、貸出金の減少や貸出金利回りの低下を主因として貸出金利息が減少したものの、一部の銀行において再生専門子会社から多額の配当金があるなどの特殊要因があったことから、有価証券利回りが大幅に上昇し、有価証券利息配当金が増加した結果、全体では増加した。一方、費用は、借用金残高の減少により借用金利息が減少したほか、債券利回りの低下や債券残高の減少により債券利息・差金償却が減少したこと等から、全体でも減少となった。以上のように、特殊要因の影響もあって収益は増加し、費用は減少したことから、国内業務部門の資金運用益は増益となった。
    国際業務部門をみると、収益は、貸出金の増加により貸出金利息が増加したほか、外国証券残高の増加により有価証券利息配当金が増加したことなどから、全体でも増加となった。一方、費用は、米国の短期金利上昇の影響から預金利息や譲渡性預金利息などが大幅に増加したこと等から、全体でも増加となった。以上のように、収益、費用ともに増加したものの、後者の増加額が前者のそれを上回ったことから、国際業務部門の資金運用益は減益となった。
  2. 役務取引等収益・費用をみると、M&A関係の手数料やシンジケートローンのアレンジメントフィー等の法人向け取引における手数料増加や、個人向けの投資信託、年金保険等の販売手数料が増加したことから、その他の役務収支の収益超過額が増加し、為替手数料収支の収益超過額も増加したことから、全体の収益超過額は5,584億円(前中間期比782億円、16.3%増)となった。
  3. トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、その収益超過額は447億円(前中間期比149億円、24.9%減)となった。
  4. その他業務収益・費用をみると、国債の売却益の減少などから国債等関係損益の収益超過額が減少したものの、外国為替売買損益の収益超過額の増加や金融派生商品損益の損失超過額の減少から、全体の収益超過額は4,697億円(前中間期比735億円、18.5%増)となった。
  5. その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益については、保有株式の売却が減少したことなどから株式売却益が減少したものの、償却が大幅に減少したことから、1,237億円の収益超過となった。
     また、前期末で不良債権問題がほぼ終了したことから、個別貸倒引当金および貸出金償却が大幅に減少した。以上の結果、全体の損失超過額は2,968億円(前中間期は1兆1,641億円の損失超過)となった。
  6. 営業経費は、経営全般にわたる合理化・効率化を一層進めた結果、人件費・物件費ともに減少し、1兆3,558億円(前中間期比54億円、0.4%減)となった。
  7. 以上の結果、経常利益は、1兆3,531億円の黒字となった(増益4行、黒字転換1行、減益2行)。また、固定資産の減損に係る会計基準の適用等により特別損失が発生したほか、法人税等調整額(減益要因)が3,987億円となったものの、債務者企業の業績回復などにより貸倒引当金戻入れ益が発生したこと等から、中間純利益は、1兆3,923億円の黒字(前中間期は712億円の赤字)となり、3年ぶりに黒字に転じた(増益4行、黒字転換1行、減益2行)。
  8. 参考までにみると、業務純益は1兆7,429億円(前中間期比9,238億円、34.6%減)、国内業務粗利益は2兆2,824億円(同1,303億円、6.1%増)、国際業務粗利益は7,254億円(同423億円、6.2%増)となった。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.06%ポイント拡大して、0.50%となった。
    リスク管理債権(銀行勘定)については、破綻先債権額は1,519億円(前期末比294億円、24.0%増)、延滞債権額は2兆9,450億円(同6,686億円、18.5%減)、3カ月以上延滞債権額は1,169億円(同196億円、14.3%減)、貸出条件緩和債権額は1兆8,473億円(同3,565億円、16.2%減)となった。
    リスク管理債権額の合計(銀行勘定)は5兆612億円(同1兆152億円、16.7%減)であった。
    また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が6,311億円(前期末比2,477億円、28.2%減)、危険債権が2兆6,729億円(同4,430億円、14.2%減)、要管理債権が1兆9,642億円(同3,761億円、16.1%減)、正常債権が220兆2,273億円(同4兆8,878億円、2.3%増)であった。
    なお、繰延税金資産は、2兆8,912億円(同9,227億円、24.2%減)となった。

担当:岡島