信託銀行(特定取引勘定設置銀行6行)

  1. 信託報酬をみると、長期金融部門(貸付信託、合同運用指定金銭信託)からの信託報酬は、不良債権処理に伴う費用は減少したものの、運用利回りの低下等から減少した。一方、財産管理部門(その他の信託)からの信託報酬は増加した。この結果、信託報酬全体では、1,717億円(前中間期比177億円、9.3%減)と前中間期(1,894億円)に比べ減少した。
  2. 資金運用収益・費用をみると、資金運用収益が3,636億円(前中間期比80億円、2.1%減)、資金調達費用が1,421億円(同163億円、12.9%増)となった結果、資金運用益は、2,215億円(同242億円、9.9%減)と前中間期の増益から減益に転じた。
    国内業務部門をみると、収益は、有価証券利息配当金や金利スワップ受入利息が増加したものの、貸出金利の低下により貸出金利息が減少したことから、全体では減少した。一方、費用は、金利の低下による預金利息の減少に加え、金利スワップ支払利息等が減少したことから、全体でも減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、後者の減少額が前者のそれを上回ったことから、国内業務部門の資金運用益は増益となった。
    国際業務部門をみると、収益は、米国金利の上昇による貸出金利の上昇を主因として貸出金利息が増加したものの、有価証券残高の減少等により有価証券利息配当金が減少したこと等から、全体では減少した。一方、費用は、その他の支払利息が減少したものの、預金残高の増加や米国金利の上昇により預金利息が増加したこと等から、全体では増加した。以上のように、収益が減少し、費用が増加したことから、国際業務部門の資金運用益は減益となった。
  3. 役務取引等収益・費用は、シンジケート・ローンの組成や投資信託の販売等が伸び、その他の役務収益が増加したこと等から、全体の収益超過額は1,444億円(前中間期比393億円、37.4%増)となった。
  4. トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、損失超過額が3億円(前年は100億円の収益超過)となった。
  5. その他業務収益・費用をみると、金融派生商品損益が収益超過となったほか、国債等債券売却損の減少等から国債等関係損益の収益超過額が増加したこと等から、全体の収益超過額は483億円(前年は34億円の損失超過)となった。
  6. その他経常収益・費用をみると、株式等売却益の減少を主因として株式等関係損益の収益超過額は減少し、また、貸出金償却が増加したものの、個別貸倒引当金繰入額が減少し、一般貸倒引当金の取崩しもあったこと等から、全体では、損失超過額が422億円と、前中間期の1,289億円から減少した。
  7. 営業経費は、人件費は減少したものの、物件費が増加したことから、2,804億円(前中間期比34億円、1.2%増)となった。
  8. 以上の結果、経常利益は2,631億円(前中間期比1,220億円、86.5%増)と増益となった(増益6行、黒字転換1行、減益1行)。中間純利益は、貸倒引当金の戻入れ益が生じたことに加え、法人税等調整額(減益要因)が前中間期比で減少し1,042億円となったこと等から、2,038億円(同1,963億円、2,631.6%増)と大幅な増益となった(増益7行、黒字転換1行)。
  9. 参考までにみると、業務純益は3,282億円(前中間期比653億円、24.8%増)の増益となった。国内業務粗利益は5,373億円(同529億円、10.9%増)となり、国際業務粗利益は485億円(同141億円、22.6%減)となった。また、国内業務部門の資金粗利鞘(資金運用利回り-資金調達利回り)は、前中間期比0.05%ポイント拡大して0.83%となった。
    リスク管理債権の残高をみると、破綻先債権額は、銀行勘定で232億円(前年度末比25億円、9.8%減)、信託勘定で42億円(同44億円、50.8%減)となった。延滞債権額は、銀行勘定で3,938億円(同594億円、13.1%減)、信託勘定で188億円(同123億円、39.4%減)となった。3ヵ月以上延滞債権額は、銀行勘定で36億円(同19億円、107.4%増)、信託勘定で2億円(同14億円、83.9%減)となった。貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で2,467億円(同671億円、21.4%減)、信託勘定で339億円(同371億円、52.2%減)となった。以上の結果、リスク管理債権の総額は、銀行勘定で6,675億円(同1,271億円、16.0%減)、信託勘定で573億円(同552億円、49.0%減)となった(信託勘定については、いずれも元本補填契約のある信託勘定の計数)。
    また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容をみると、破産更生債権及びこれらに準ずる債権は922億円(前年度末比28億円、3.1%増)、危険債権は3,342億円(同719億円、17.7%減)、要管理債権は2,506億円(同652億円、20.6%減)、正常債権は32兆5,266億円(同1兆6,028億円、5.2%増)となった(信託勘定の計数を除く)。
    なお、繰延税金資産は、4,325億円(同2,103億円、32.7%減)となった。

担当:飯島