都市銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1. 資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は3兆1,456億円(前中間期比3,338億円、11.9%増)、資金調達費用は1兆4,347億円(同5,492億円、62.0%増)となったことから、資金運用益は1兆7,109億円(同2,154億円、11.2%減)と減益となった。
    国内業務部門をみると、収益は、国債等の有価証券残高が減少したこと等から有価証券利息配当金が減少し、貸出金利回りが今中間期に入り反転したものの、その水準は前中間期を下回ったことから貸出金利息が減少したほか、金利スワップ受入利息も減少した結果、全体でも減少した。一方、費用は、債券残高の減少を主因として債券利息・差金償却等が減少したものの、日本銀行の金融政策の変更に伴う調達金利の上昇により預金利息や譲渡性預金利息が大幅に増加したこと等から、全体では増加となった。以上のように、収益は減少し、費用は増加したことから、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
    国際業務部門をみると、収益は、貸出金の増加や貸出金利回りの上昇を主因として貸出金利息が増加したほか、預け金利息が増加したことなどから、全体でも増加となった。一方、費用は、米国の短期金利上昇の影響等から預金利息や譲渡性預金利息などが大幅に増加したこと等から、全体でも増加となった。以上のように、収益、費用ともに増加したものの、後者の増加額が前者のそれを上回ったことから、国際業務部門の資金運用益は減益となった。
  2. 役務取引等収益・費用をみると、ストラクチャードファイナンス手数料等の法人向け取引における手数料増加や個人向けの投資信託、年金保険等の販売手数料の増加により、その他の役務収支の収益超過額が増加したことから、全体の収益超過額は5,757億円(前中間期比171億円、3.1%増)となった。
  3. トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国内業務部門では損失超過に転じたものの、通貨スワップ取引損益等の改善等による国際業務部門の収益超過額の増加がこれを上回ったことから、全体の収益超過額は1,584億円(前中間期比1,136億円、254.0%増)となった。
  4. その他業務収益・費用をみると、金利環境の変化等に伴う国債の売買損益の悪化などから国債等関係損益が損失超過に転じ、債券先物取引等デリバティブの評価損の発生等から金融派生商品損益の損失超過額が増加したほか、通貨スワップ取引に係るカバー取引の影響等から外国為替売買損益の収益超過額が減少したことから、全体の収益超過額は1,302億円(前中間期比3,396億円、72.3%減)となった。
  5. その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益については、株式売却益は増加したものの、株式売却損も増加したことから、全体の収益超過額は1,140億円(前中間期比97億円、7.9%減)となった。
    また、一般貸倒引当金は一部の銀行で繰入れがあり、貸出金償却は増加したものの、個別貸倒引当金繰入額は、前中間期比1,276億円減の197億円となった。このほか、債権売却損の減少を主因として、その他の経常費用も同2,519億円減の949億円となった。以上の結果、全体の損失超過額は194億円(前中間期は2,977億円の損失超過)となった。
  6. 営業経費は、1兆3,467億円(前中間期比106億円、0.8%減)となった。
  7. 以上の結果、経常利益は、1兆2,142億円(前中間期比1,384億円、10.2%減)の減益となった(増益3行、減益3行)。また、法人税等調整額(税金費用)が1,648億円となったものの、債務者企業の業績回復などにより貸倒引当金戻し益が発生したこと等から、中間純利益は、1兆3,510億円(同410億円、2.9%減)の減益となった(増益3行、減益3行)。
  8. 参考までにみると、業務純益は1兆2,449億円(前中間期比4,982億円、28.6%減)、国内業務粗利益は1兆9,755億円(同3,088億円、13.5%減)、国際業務粗利益は6,082億円(同1,172億円、16.2%減)となった。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.16%ポイント縮小して、0.34%となった。
    リスク管理債権(銀行勘定)の残高をみると、破綻先債権額は1,394億円(前期末比235億円、20.2%増)、延滞債権額は1兆6,327億円(同3,006億円、15.5%減)、3カ月以上延滞債権額は755億円(同39億円、5.5%増)、貸出条件緩和債権額は1兆4,967億円(同3,489億円、18.9%減)となった。
    この結果、リスク管理債権額の総額は3兆3,445億円(同6,220億円、15.7%減)となった。
    また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が4,032億円(前期末比642億円、13.7%減)、危険債権が1兆4,714億円(同2,697億円、15.5%減)、要管理債権が1兆5,723億円(同3,449億円、18.0%減)、正常債権が229兆5,169億円(同3兆8,904億円、1.7%増)となった。
    なお、繰延税金資産は、2兆693億円(同1,234億円、6.3%増)となった。

担当:諸江