地方銀行(特定取引勘定設置銀行12行)

  1. 資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は1兆8,779億円(前中間期比771億円、4.3%増)、資金調達費用は2,412億円(同600億円、33.1%増)となり、資金運用益は1兆6,367億円(同171億円、1.1%増)と9年ぶりの増益となった。
    国内業務部門をみると、収益は、前中間期に比べると貸出金利回りが低下したことから貸出金利息は横這いとなったものの、有価証券利回りが上昇し、有価証券利息配当金が増加したことから、全体では増加となった。一方、費用は、日本銀行の金融政策の変更に伴う調達金利の上昇から預金利息等が大幅に増加したため、全体でも増加となった。以上のように収益、費用ともに増加したが、前者の増加額が後者のそれを上回ったため、資金運用益は増益となった。
    国際業務部門をみると、収益は、米国短期金利の上昇の影響から、貸出金利息が増加となるとともに、有価証券利息配当金も増加したため、全体でも増加となった。一方、費用は、金利水準が上昇したため預金利息が増加し、コールマネー利息や金利スワップ支払利息等も増加したことから、全体では、大幅な増加となった。以上のように、収益、費用ともに増加したものの、後者の増加額が前者のそれを上回ったことから、資金運用益は減益となった。
  2. 役務取引等収益・費用をみると、投資信託等の販売手数料等の増加から、その他の役務収益が増加したため、収益超過額は2,566億円(前中間期比204億円、8.6%増)となった。
  3. トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、収益超過額は75億円(前中間期比22億円、42.8%増)となった。
  4. その他業務収益・費用をみると、国債等債券関係損益および金融派生商品損益が収益超過から損失超過に転じたため、その他業務収益・費用全体は242億円(前中間期は451億円の収益超過)の損失超過となった。
  5. その他経常収益・費用をみると、不良債権処理の進捗を背景に、個別貸倒引当金繰入額および貸出金償却が減少し、一般貸倒引当金も取崩超となったことから、全体では、損失超過額は1,555億円(前中間期比850億円、35.4%減)と大幅な減少となった。
  6. 営業経費は、物件費は増加したものの、人件費が減少したため、1兆1,684億円(前中間期比105億円、0.9%減)となった。
  7. 以上の結果、経常利益は、5,530億円(前中間期比659億円、13.5%増)と増益となった(増益38行、黒字転換3行、減益21行、損失2行)。また、中間純利益は、経常利益は増加したものの、貸倒引当金の戻し益が減少したこと等から、3,490億円(前中間期比181億円、4.9%減)の減益となった(増益32行、黒字転換3行、減益27行、純損失2行)。
  8. 参考までにみると、業務純益は7,533億円(前中間期比221億円、3.0%増)の増益となった。国内業務粗利益は、1兆8,137億円(同100億円、0.6%減)、国際業務粗利益は、640億円(同194億円、23.3%減)となった。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.01%ポイント拡大して、0.42%となった。
    リスク管理債権(銀行勘定)の残高をみると、破綻先債権額は3,193億円(前期末比44億円、1.4%増)、延滞債権額は3兆9,833億円(同544億円、1.3%減)、3カ月以上延滞債権額は572億円(同102億円、21.7%増)、貸出条件緩和債権額は1兆6,799億円(同1,706億円、9.2%減)となった。この結果、銀行勘定のリスク管理債権額の総額は、6兆398億円(同2,104億円、3.4%減)となった。
    また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権は1兆2,268億円(前期末比324億円、2.6%減)、危険債権は3兆1,660億円(同359億円、1.1%減)、要管理債権は1兆7,106億円(同1,456億円、7.8%減)、正常債権は138兆3,592億円(同1兆2,469億円、0.9%増)となった。
    なお、繰延税金資産は、6,087億円(同91億円、1.5%減)となった。

担当:石井