信託銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1. 信託報酬をみると、長期金融部門(合同運用指定金銭信託、貸付信託)からの信託報酬は、不良債権処理に伴う費用が減少したものの、信託財産残高の減少等から減少した。一方、財産管理部門(上記以外の信託)からの信託報酬は、信託財産残高の増加から増加した。この結果、信託報酬全体では、長期金融部門からの信託報酬の減少を財産管理部門からの信託報酬の増加が上回り、1,832億円(前中間期比114億円、6.7%増)と増加した。
  2. 資金運用収益・費用をみると、資金運用収益が4,409億円(前中間期比773億円、21.3%増)、資金調達費用が1,750億円(同329億円、23.1%増)となった結果、資金運用益は2,659億円(同444億円、20.0%増)と前中間期の減益から増益に転じた。
    国内業務部門をみると、収益は、一部銀行で有価証券利息配当金が大幅に増加したことや、貸出金利息も増加したことから、増加した。一方、費用は、日本銀行の金融政策の変更に伴う調達金利の上昇によって預金利息や譲渡性預金利息が増加したことから、増加した。以上のように、収益、費用ともに増加したものの、前者の増加額が後者のそれを上回ったことから、国内業務部門の資金運用益は増益となった。
    国際業務部門をみると、米国短期金利の上昇やそれに伴う各種利回りの上昇等から、貸出金利息や預け金利息の増加を主因として収益は増加し、預金利息や譲渡性預金利息の増加を主因として費用も増加した。以上のように、収益、費用ともに増加したものの、後者の増加額が前者のそれを上回ったことから、国際業務部門の資金運用益は減益となった。
  3. 役務取引等収益・費用は、不動産販売仲介業務や投資信託の販売により、その他の役務収益が増加したこと等から、全体の収益超過額は1,456億円(前中間期比12億円、0.8%増)となった。
  4. トレーディング業務における特定取引収益・費用は、国内業務部門の収益が増加したことから、全体としては169億円の収益超過(前中間期は3億円の損失超過)となった。
  5. その他業務収益・費用をみると、外国為替売買損益が収益超過となったものの、国債等債券売却損の増加等により国債等債券関係損益が損失超過となったこと等から、全体の損失超過額は188億円(前中間期は483億円の収益超過)となった。
  6. その他経常収益・費用をみると、一般貸倒引当金が取崩しから繰入れに転じたものの、貸出金償却や個別貸倒引当金繰入額が減少したこと、また、債権売却損を中心にその他の経常費用が減少したことから、全体の収益超過額は137億円となった(前中間期は422億円の損失超過)。
  7. 営業経費は、物件費が増加したものの、人件費が減少したことから、2,768億円(前中間期比35億円、1.3%減)となった。
  8. 以上の結果、経常利益は3,296億円(前中間期比664億円、25.2%増)と増益となった(増益7行)。中間純利益は、貸倒引当金の戻し益が生じたことに加え、法人税等調整額(税金費用)が前中間期比で減少したこと等から、2,680億円(同642億円、31.5%増)と増益となった(増益7行)。
  9. 参考までにみると業務純益は3,249億円(前中間期比34億円、1.0%減)と減益となった。国内業務粗利益は5,697億円(同324億円、6.0%増)となり、国際業務粗利益は231億円(同254億円、52.3%減)となった。また、国内業務部門の資金粗利鞘(資金運用利回り-資金調達利回り)は、前中間期比0.15%ポイント拡大して1.01%となった。
    リスク管理債権の残高をみると、破綻先債権額は、銀行勘定で164億円(前年度末比47億円、22.4%減)、信託勘定で4億円(同36億円、89.7%減)となった。延滞債権額は、銀行勘定で1,288億円(同380億円、22.8%減)、信託勘定で211億円(同52億円、33.3%増)となった。3カ月以上延滞債権額は、銀行勘定で24億円(同4億円、20.0%増)、信託勘定で8億円(同4億円、106.4%増)となった。貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で2,930億円(同163億円、5.3%減)、信託勘定で330億円(同14億円、4.0%減)となった。この結果、リスク管理債権額の総額は、銀行勘定で4,408億円(同586億円、11.7%減)、信託勘定で553億円(同7億円、1.3%減)となった(信託勘定については、いずれも元本補填契約のある信託勘定の計数)。
    また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容をみると、破産更生債権及びこれらに準ずる債権は338億円(前年度末比154億円、31.3%減)、危険債権は1,366億円(同140億円、9.3%減)、要管理債権は2,957億円(同160億円、5.1%減)、正常債権は33兆1,619億円(同6,187億円、1.9%増)となった(信託勘定の計数を除く)。
    なお、繰延税金資産は、1,530億円(同125億円、7.5%減)となった。

担当:飯島