第二地銀協地銀

第二地銀協地銀の平成18年度決算をみると、資金運用益は、資金運用収益および資金調達費用がともに増加したが、預金利息の大幅な増加等により、後者の増加額が前者のそれを上回ったため、若干の減益となった。
経常利益は、一部銀行の特殊要因を主因として一般貸倒引当金が昨年の純取崩から純繰入となったほか、一部銀行の不良債権処理に伴う債権売却損の増加等により、前年度比49.4%減の1,377億円と減益となった。また、当期純利益についても、同83.1%減の265億円と減益となった。
業容面(末残)をみると、預金は前年度末比1.6%増、貸出金は同2.3%増となった。

損益状況

資金運用益
資金運用益は、1兆650億円(前年度比7億円、0.1%減)と若干の減益となった。

資金運用収益は、運用利回りの上昇による有価証券利息配当金の増加(前年度比236億円、13.8%増)、貸出金の増加による貸出金利息の増加(同167億円、1.8%)を主因として、全体では1兆1,759億円(同458億円、4.1%増)と増加した。

一方、資金調達費用は、日本銀行の金融政策の変更に伴う調達金利の上昇により、預金利息が大幅に増加(前年度比425億円、98.4%増)した結果、全体では1,109億円(同466億円、72.4%増)と増加した。

役務取引等収益・費用
投資信託等の販売関連手数料収入の増加等により、その他の役務収支の収益超過額が増加(前年度比110億円、26.8%増)したことから、全体の収益超過額は1,031億円(同107億円、11.6%増)となった。
その他業務収益・費用
外国為替売買損益の収益超過額が縮小し、金融派生商品損益の損失超過額が拡大したが、上期に比べて長期金利が低下したこと等から国債等債券関係損益の損失超過額が縮小(増益要因)したため、全体の損失超過額は89億円となった(前年度は116億円の損失超過)。
その他経常収益・費用
株式等関係損益は、374億円の収益超過(前年度比383億円、50.6%減)となった。また、貸出金償却は376億円(同47億円、11.2%減)と減少したものの、一部銀行の特殊要因を主因として、一般貸倒引当金および個別貸倒引当金がいずれも純繰入となり、貸倒引当金繰入額は1,998億円(同513億円、34.5%増)となった。このほか、一部銀行の不良債権処理に伴う債権売却損の増加から、その他の経常費用が991億円(前年度比458億円、86.1%増)となった。この結果、全体の損失超過額は、2,672億円と前年度よりも拡大した(前年度は1,274億円の損失超過)。
営業経費
営業経費は、事務委託費を中心に物件費が増加したことにより、7,543億円(前年度比70億円、0.9%増)となった。
経常利益・当期純利益
以上の結果、経常収益は1兆5,067億円(前年度比208億円、1.4%増)、経常費用は1兆3,690億円(同1,551億円、12.8%増)となり、経常利益は、1,377億円(同1,342億円、49.4%減)と減益となった(増益20行、減益18行、黒字転換1行、経常損失7行)。当期純利益は、265億円(同1,304億円、83.1%減)と、減益となった(増益24行、減益14行、黒字転換1行、当期純損失7行)。

なお、業務純益は、3,782億円(前年度比439億円、10.4%減)と、減益となった(増益18行、減益27行、赤字1行)。また、国内業務粗利益は、1兆1,285億円(同153億円、1.4%増)、国際業務粗利益は、313億円(同24億円、7.2%減)となった。

利回り・利鞘(国内業務部門)

資金運用利回りをみると、貸出金利回りは、前年度比0.01%ポイント低下して2.33%となり、有価証券利回りは、同0.18%ポイント上昇して1.33%となった。また、コールローン等利回りは同0.44%ポイント低下して0.46%となった。この結果、資金運用利回りは、同0.03%ポイント上昇して2.02%となった。

一方、資金調達原価をみると、預金債券等利回りは、前年度比0.07%ポイント上昇して0.14%となり、コールマネー等利回りは同0.49%ポイント上昇して1.42%となった。また、経費率は同変わらず1.36%となった。この結果、資金調達原価は、同0.10%ポイント上昇して1.54%となった。
以上の結果、総資金利鞘は前年度比0.07%ポイント縮小して0.48%となった。

資金調達

預金は、定期性預金、流動性預金ともに増加し、末残では54兆6,219億円(前年度末比8,674億円、1.6%増)となった。また、平残では53兆5,651億円(前年度比5,703億円、1.1%増)となった。

譲渡性預金は、末残では6,429億円(前年度末比1,317億円、25.8%増)となり、平残では6,801億円(前年度比1,121億円、19.7%増)となった。

資金運用

貸出金は、住宅ローンを中心に個人向け貸出等が増加したことから、末残では41兆9,377億円(前年度末比9,476億円、2.3%増)となり、平残では41兆973億円(前年度比1兆2,476億円、3.1%増)となった。

リスク管理債権については、破綻先債権額は1,333億円(前年度末比175億円、11.6%減)、延滞債権額は1兆2,990億円(同1,843億円、12.4%減)、3カ月以上延滞債権額は107億円(同9億円、9.2%増)、貸出条件緩和債権額は4,614億円(同467億円、9.2%減)となった。この結果、リスク管理債権額の合計は、1兆9,045億円(同2,476億円、11.5%減)となり、リスク債権額の貸出金総額に占める比率も0.71%ポイント低下して4.54%となった。

なお、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が4,487億円(前年度末比791億円、15.0%減)、危険債権が1兆69億円(同1,253億円、11.1%減)、要管理債権が4,722億円(同457億円、8.8%減)、正常債権が40兆6,923億円(同1兆2,491億円、3.2%増)であった。

有価証券は、国債が増加したこと等から、末残では13兆4,856億円(前年度末比288億円、0.2%増)と増加し、平残でも13兆567億円(前年度比293億円、0.2%増)と増加した。

自己資本

資本金は、期中に5行で増資、3行で転換社債型新株予約権付社債の転換が行われたことから、8,586億円(前年度末比480億円、5.9%増)となった。

また、その他有価証券評価差額金が3,386億円(前年度末比413億円、13.9%増)と増加したこと等から、純資産の部合計は2兆9,815億円となった。

担当:飯島