都市銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は3兆8,376億円(前中間期比6,920億円、22.0%増)、資金調達費用は2兆568億円(同6,221億円、43.4%増)となったことから、資金運用益は1兆7,807億円(同699億円、4.1%増)と増益となった。
     国内業務部門をみると、収益は、貸出金および有価証券の残高は減少したものの、利回りが上昇したことから貸出金利息および有価証券利息配当金が増加し、コールローン利息等も増加したことから、全体でも増加した。一方、費用は、預金金利の上昇から預金利息が大幅に増加し、金利スワップ支払利息、譲渡性預金利息、コールマネー利息等も増加したことから、全体でも増加した。以上のように、収益、費用ともに増加したものの、前年度における日本銀行の金融政策の変更に伴う金利上昇の影響から、貸出金利回りが上昇したことによる預貸利鞘の改善を主因に、国内業務部門の資金運用益は増益となった。
     国際業務部門をみると、収益は、貸出金および有価証券の残高の増加および利回りの上昇により、貸出金利息および有価証券利息配当金が増加したほか、その他の受入利息等も増加したことから、全体でも増加した。一方、費用は、預金の残高の増加および利回りの上昇から預金利息が増加し、その他の支払利息や借用金利息等も増加したことから、全体でも増加した。以上のように、収益、費用ともに増加したものの、前者の増加額がわずかに上回り、国際業務部門の資金運用益は増益となった。
  2.  役務取引等収益・費用をみると、個人向けの投資信託、年金保険等の販売手数料は増加したものの、法人向け取引における手数料の減少からその他の役務収支の収益超過額が減少し、為替手数料収支の収益超過額も減少したことから、全体の収益超過額は5,650億円(前中間期比107億円、1.9%減)となった。
  3.  
  4.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国内業務部門では損失超過から収益超過に転じ、国際業務部門では収益超過額が増加したことから、全体の収益超過額は3,171億円(前中間期比1,588億円、100.2%増)と増加した。
  5.  その他業務収益・費用をみると、国債等債券関係損益は、国債等の売買損益の改善から、前年の損失超過から収益超過に転じた。しかし、外国為替売買損益の収益超過額が大幅に減少したことから、全体の収益超過額は502億円(前中間期比799億円、61.4%減)となった。なお、上記3.のうち特定取引収益(特定金融派生商品利益)と4.のうち外国為替売買益の一部は、通貨スワップ取引に係るカバー取引の影響等に起因する勘定間の入繰りを含む。
  6.  その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益は、株式等売却益は増加したものの、保有株式の減損処理の実施等により株式等償却が増加したことから、全体では、前中間期の1,140億円の収益超過から、113億円の損失超過に転じた。また、債務者区分の見直し等により個別貸倒引当金純繰入額が大幅に増加したほか、貸出金償却も増加した。
     以上の結果、全体の損失超過額は4,535億円(前中間期は194億円の損失超過)となった。
  7.  営業経費は、システム関連費用やコンプライアンス態勢強化に係る費用の増加、採用増加等により、1兆4,403億円(前中間期比937億円、7.0%増)となった。
  8.  以上の結果、経常利益は8,255億円(前中間期比3,888億円、32.0%減)と減益となった(増益1行、減益5行)。また、前中間期に計上された貸倒引当金戻し益の効果が剥落したこと等から特別利益が減少(同3,185億円、77.0%減)し、法人税等調整額(税金費用)が2,375億円(同727億円、44.1%増)となったことから、中間純利益は6,373億円(同7,137億円、52.8%減)と半減した(増益1行、減益5行)。
  9.  参考までにみると、業務純益は1兆3,288億円(前中間期比839億円、6.7%増)、国内業務粗利益は2兆1,144億円(同1,389億円、7.0%増)、国際業務粗利益は6,084億円(同2億円、0.03%増)となった。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.01%ポイント縮小して、0.33%となった。
     リスク管理債権(銀行勘定)については、破綻先債権額は1,114億円(前期末比57億円、4.9%減)、延滞債権額は2兆504億円(同1,961億円、10.6%増)、3カ月以上延滞債権額は558億円(同7億円、1.2%減)、貸出条件緩和債権額は1兆2,291億円(同1,998億円、14.0%減)となった。
     リスク管理債権額の合計(銀行勘定)は3兆4,469億円(同101億円、0.3%減)であった。
     また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が3,869億円(前期末比299億円、8.4%増)、危険債権が1兆8,779億円(同1,544億円、9.0%増)、要管理債権が1兆2,850億円(同2,005億円、13.5%減)、正常債権が235兆7,316億円(同1兆4,978億円、0.6%増)であった。
     なお、繰延税金資産(純額)は、1兆5,139億円(前期末比1,670億円、12.4%増)となった。

担当:小川