信託銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1.  信託報酬をみると、長期金融部門(合同運用指定金銭信託、貸付信託)においては、貸付信託の残高が引き続き減少したこと等から、減少した。一方、財産管理部門(上記以外の信託)においては、投資信託の残高の増加等から増加した。信託報酬全体では、長期金融部門の信託報酬の減少を財産管理部門の信託報酬の増加が上回り、1,852億円(前中間期比20億円、1.1%増)と増加した。
  2.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益が5,415億円(前中間期比1,007億円、22.8%増)、資金調達費用が2,759億円(同1,009億円、57.7%増)となった結果、資金運用益は2,657億円(同2億円、0.1%減)と、横這いであった。
     国内業務部門をみると、収益は、貸出金利回りの上昇から貸出金利息が増加し、有価証券利息配当金も増加したことから、全体でも増加した。一方、費用は、預金利息や譲渡性預金利息が増加したことから、増加した。以上のように、収益、費用ともに増加したものの、前中間期のような一部の銀行における有価証券利息配当金の増加がなかったこと等から、後者の増加額が前者のそれを上回わり、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
     国際業務部門をみると、市況の好調による有価証券利回りの上昇等から有価証券利息配当金が大幅に増加したほか、貸出金利息も増加したことから全体の収益は増加し、一方で、預金利息や譲渡性預金利息の増加を主因として費用も増加した。以上のように、収益、費用ともに増加したものの、前者の増加額が後者のそれを上回ったことから、国際業務部門の資金運用益は増益となった。 
  3.  役務取引等収益・費用は、投資信託の販売手数料等の増加により、その他の役務収益が増加したこと等から、全体の収益超過額は1,544億円(前中間期比88億円、6.0%増)となった。
  4.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用は、国内業務部門の収益が減少したことから、全体としては104億円の収益超過(前中間期比64億円、38.1%減)となった。
  5.  その他業務収益・費用をみると、国債等債券売却益の増加等により国債等債券関係損益が収益超過に転じたものの、金融派生商品損益の損失超過額が増加したこと等から、全体の損失超過額は175億円(前中間期は188億円の損失超過)となった。
  6.  その他経常収益・費用をみると、一般貸倒引当金純繰入額が増加し、貸出金償却や個別貸倒引当金純繰入額も増加したことから、全体としては670億円の損失超過に転じた(前中間期は137億円の収益超過)。
  7.  営業経費は、人件費、物件費ともに増加したことから、2,806億円(前中間期比37億円、1.3%増)となった。
  8.  以上の結果、経常利益は2,506億円(前中間期比790億円、24.0%減)と減益となった(増益3行、減益4行)。中間純利益は、法人税等調整額(税金費用)が大幅に減少したものの、貸倒引当金の戻し益が減少したこと等から、1,914億円(同766億円、28.6%減)と減益となった(増益4行、減益3行)。
  9.  参考までにみると、業務純益は2,941億円(前中間期比308億円、9.5%減)と減益となった。国内業務粗利益は5,789億円(同92億円、1.6%増)となり、国際業務粗利益は194億円(同37億円、16.2%減)となった。また、国内業務部門の資金粗利鞘(資金運用利回り-資金調達利回り)は、前中間期比0.03%ポイント縮小して1.00%となった。
     リスク管理債権の残高をみると、破綻先債権額は、銀行勘定で124億円(前期末比29億円、19.2%減)、信託勘定で2億円(同1億円、16.3%減)となった。延滞債権額は、銀行勘定で2,002億円(同209億円、9.5%減)、信託勘定で278億円(同64億円、30.0%増)となった。3カ月以上延滞債権額は、銀行勘定で27億円(同10億円、55.3%増)、信託勘定で6億円(同4億円、136.7%増)となった。貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で1,857億円(同667億円、26.4%減)、信託勘定で139億円(同168億円、54.8%減)となった。以上の結果、リスク管理債権の総額は、銀行勘定で4,012億円(同896億円、18.3%減)、信託勘定で426億円(同126億円、22.8%減)となった(信託勘定については、いずれも元本補填契約のある信託勘定の計数)。
     また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容をみると、破産更生債権及びこれらに準ずる債権は566億円(前期末比39億円、7.3%増)、危険債権は1,866億円(同277億円、12.9%減)、要管理債権は1,888億円(同657億円、25.8%減)、正常債権は33兆665億円(同2,598億円、0.8%減)となった(信託勘定の計数を除く)。
     なお、繰延税金負債(純額)は、153億円(前期末比882億円、85.2%減)となった。

担当:石井