第二地銀協地銀

 第二地銀協地銀の平成19年度決算をみると、資金運用益は、資金運用収益および資金調達費用がともに増加したが、預金利息の大幅な増加等により、後者の増加額が前者のそれを上回ったため、若干の減益となった。
 経常利益は、貸倒引当金繰入額が大幅に減少したほか、一部銀行の不良債権処理に伴う債権売却損の減少等によるその他の経常費用の減少等により、前年度比34.7%増の1,854億円と増益となった。また、当期純利益についても、法人税等調整額の減少などから同236.0%増の890億円と大幅な増益となった。
 業容面(末残)をみると、預金は前年度末比1.7%増、貸出金は同2.4%増となった。

損益状況

資金運用益
 資金運用益は、1兆464億円(前年度比186億円、1.7%減)と若干の減益となった。
 資金運用収益は、貸出金の増加および運用利回りの上昇により、貸出金利息が増加(前年度比601億円、6.3%増)したほか、有価証券残高(平残)の増加による有価証券利息配当金の増加(同80億円、4.1%増)などを主因として、全体では1兆2,490億円(同730億円、6.2%増)と増加した。
 一方、資金調達費用は、19年2月の日本銀行の金融政策の変更に伴う調達金利の上昇により、預金利息が大幅に増加(前年度比882億円、102.9%増)した結果、全体では2,025億円(同916億円、82.6%増)と増加した。
役務取引等収益・費用
 下期の投資信託や保険等の販売関連手数料収入の減少等により、その他の役務収支の収益超過額が減少(前年度比95億円、18.2%減)したことから、全体の収益超過額は934億円(同97億円、9.4%減)となった。
その他業務収益・費用
 円高等により外国為替売買損益が損失超過に転じ、国債等債券関係損益および金融派生商品損益においても損失超過額が増加したことから、全体の損失超過額は253億円と拡大した(前年度は89億円の損失超過)。
その他経常収益・費用
 サブプライム住宅ローン問題の影響などによる株価下落により株式等関係損益は、130億円の収益超過(前年度比243億円、65.1%減)となった。また、貸出金償却は293億円(同83億円、22.2%減)となった。一方、貸倒引当金は、貸倒実績率の低下等により一般貸倒引当金が純取崩しとなり、また個別貸倒引当金の純繰入額も減少したことから、貸倒引当金繰入額は1,378億円(同620億円、31.0%減)と減少した。このほか、一部銀行の不良債権処理に伴う債権売却損の減少から、その他の経常費用は482億円(同508億円、51.3%減)となった。この結果、全体の損失超過額は、1,643億円と縮小した(前年度は2,672億円の損失超過)。
営業経費
 営業経費は、新規出店やシステム関連費用等を中心に物件費が増加したことにより、7,648億円(前年度比105億円、1.4%増)となった。
経常利益・当期純利益
 以上の結果、経常収益は1兆5,905億円(前年度比838億円、5.6%増)、経常費用は1兆4,051億円(同360億円、2.6%増)となり、経常利益は、1,854億円(同477億円、34.7%増)と増益となった(増益4行、減益27行、黒字転換4行、経常損失10行)。また、法人税等調整額(税金費用)が減少したこと等から、当期純利益は、890億円(同625億円、236.0%増)と、大幅な増益となった(増益4行、減益27行、黒字転換3行、当期純損失11行)。
 なお、業務純益は、3,634億円(前年度比148億円、3.9%減)と、減益となった(増益12行、減益31行、黒字転換1行、赤字1行)。また、国内業務粗利益は、1兆1,004億円(同281億円、2.5%減)、国際業務粗利益は、135億円(同178億円、56.9%減)となった。

 

利回り・利鞘(国内業務部門)

 資金運用利回りをみると、貸出金利回りは、前年度比0.11%ポイント上昇して2.44%となり、有価証券利回りは、同0.04%ポイント上昇して1.37%となった。また、コールローン等利回りは、同0.17%ポイント上昇して0.63%となった。この結果、資金運用利回りは、同0.10%ポイント上昇して2.12%となった。
 一方、資金調達原価をみると、預金債券等利回りは、前年度比0.17%ポイント上昇して0.31%となり、コールマネー等利回りは同0.89%ポイント上昇して2.31%となった。また、経費率は同0.01%低下して1.35%となった。この結果、資金調達原価は、同0.13%ポイント上昇して1.67%となった。
 以上の結果、総資金利鞘は前年度比0.03%ポイント縮小して0.45%となった。

 

資金調達

 預金は、流動性預金が減少したものの、定期性預金が増加したことから、全体として末残では55兆5,619億円(前年度末比9,400億円、1.7%増)となった。また、平残では54兆5,519億円(前年度比9,867億円、1.8%増)となった。
 譲渡性預金は、末残では7,845億円(前年度末比1,415億円、22.0%増)となり、平残では7,651億円(前年度比850億円、12.5%増)となった。

 

資金運用

 貸出金は、住宅ローンを中心に個人向け貸出等が増加したことから、末残では42兆9,309億円(前年度末比9,931億円、2.4%増)となり、平残では41兆7,693億円(前年度比6,720億円、1.6%増)となった。
 リスク管理債権については、破綻先債権額は1,586億円(前年度末比253億円、19.0%増)、延滞債権額は1兆2,808億円(同181億円、1.4%減)、3カ月以上延滞債権額は96億円(同11億円、10.7%減)、貸出条件緩和債権額は4,234億円(同379億円、8.2%減)となった。この結果、リスク管理債権額の合計は、1兆8,727億円(同319億円、1.7%減)となり、リスク管理債権額の貸出金総額に占める比率も0.18%ポイント低下して4.36%となった。
 なお、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が4,572億円(前年度末比85億円、1.9%増)、危険債権が1兆55億円(同14億円、0.1%減)、要管理債権が4,331億円(同391億円、8.3%減)、正常債権が41兆6,933億円(同1兆10億円、2.5%増)であった。
 有価証券は、国債や株式が減少したこと等から、末残では13兆1,754億円(前年度末比3,102億円、2.3%減)と減少に転じたものの、平残では13兆3,483億円(前年度比2,916億円、2.2%増)と増加した。

 

自己資本

 資本金は、期中に4行で増資、2行で転換社債型新株予約権付社債の転換が行われたものの、2行で減資が行われたことから、8,468億円(前年度末比118億円、1.4%減)となった。
 また、その他有価証券評価差額金が697億円の評価損(前年度末は3,386億円の評価益)に転じたこと等から、純資産の部合計は2兆6,662億円となった。

 

[担当:長谷川]