第二地銀協地銀

 第二地銀協地銀の平成20年度決算をみると、資金運用益は、有価証券利回りの低下を受けて、有価証券利息配当金が大幅に減少したこと等により資金運用収益が減少し、預金利息の上昇により資金調達費用が増加したこと等から、3年連続の減益となった。
 経常利益は、資金運用益の減益に加え、個別貸倒引当金純繰入額の増加および株式等関係損益が損失超過に転じたこと等により、4,510億円の赤字と6年ぶりに赤字に転じた。また、当期純利益についても、経常利益の赤字を受けて、3,755億円の赤字と6年ぶりに赤字に転じた。
 業容面(末残)をみると、預金は前年度末比1.0%増、貸出金は同1.5%増となった。

損益状況

資金運用益
 資金運用益は、9,985億円(前年度比479億円、4.6%減)の減益となった。
 資金運用収益は、有価証券利回りの低下により、有価証券利息配当金が減少(前年度比256億円、12.6%減)したほか、貸出金利息の減少(同60億円、0.6%減)などを主因として、全体では1兆2,094億円(同396億円、3.2%減)と減少した。
 一方、資金調達費用は、利回りの上昇および預金残高の増加により、預金利息が増加(前年度比99億円、5.7%増)した結果、全体では2,109億円(同83億円、4.1%増)と増加した。
役務取引等収益・費用
 投資信託等の販売手数料の減少等により、その他の役務収支の収益超過額が大幅に減少(前年度比225億円、52.8%減)したことから、全体の収益超過額は687億円(同247億円、26.5%減)となった。
その他業務収益・費用
 金融危機による市場の混乱を要因として、国債等債券関係損益の損失超過額が増加したことから、全体の損失超過額は2,742億円と増加した(前年度は253億円の損失超過)。
その他経常収益・費用
 金融危機による市場の混乱により、株式等償却が増加したことから、株式等関係損益は、1,088億円の損失超過に転じた(前年度は130億円の収益超過)。また、貸出金償却は563億円(同270億円、92.3%増)となった。一方、貸倒引当金は、金融危機による国内景気の悪化により、積み増しを行ったことから、貸倒引当金繰入額が2,934億円(同1,556億円、112.9%増)と増加した。この結果、全体の損失超過額は、4,745億円と大幅に増加した(前年度は1,643億円の損失超過)。
営業経費
 営業経費は、人件費、物件費とも前年度並みとなったことから、ほぼ横ばいの7,695億円(前年度比47億円、0.6%増)となった。
経常利益・当期純利益
 以上の結果、経常収益は1兆4,982億円(前年度比923億円、5.8%減)、経常費用は1兆9,492億円(同5,442億円、38.7%増)となり、経常利益は、4,510億円の赤字(前年度は1,854億円の黒字)と、6年ぶりに黒字から赤字に転じた(増益1行、減益12行、黒字転換4行、経常損失27行)。また、法人税等調整額(税金費用)が大幅に減少したこと等から、当期純利益は、3,755億円の赤字(前年度は890億円の黒字)と、6年ぶりに黒字から赤字に転じた(減益13行、黒字転換5行、当期純損失26行)。
 なお、業務純益は、28億円(前年度比3,606億円、99.2%減)と、大幅な減益となった(増益5行、減益31行、黒字転換1行、赤字7行)。また、国内業務粗利益は、7,939億円(同3,065億円、27.8%減)の減益となり、国際業務粗利益は、99億円の赤字(前年度は135億円の黒字)と黒字から赤字に転じた。

 

利回り・利鞘(国内業務部門)

 資金運用利回りをみると、貸出金利回りは、前年度比0.07%ポイント低下して2.37%となり、有価証券利回りは、同0.16%ポイント低下して1.21%となった。また、コールローン等利回りは、同0.11%ポイント低下して0.52%となった。この結果、資金運用利回りは、同0.09%ポイント低下して2.03%となった。
 一方、資金調達原価をみると、預金債券等利回りは、前年度比0.02%ポイント上昇して0.33%となり、コールマネー等利回りは、同0.36%ポイント低下して1.95%となった。また、経費率は同0.01%低下して1.34%となった。この結果、資金調達原価は、前年度比変わらず1.67%となった。
 以上の結果、総資金利鞘は前年度比0.09%ポイント縮小して0.36%となった。

 

資金調達

 預金は、個人向けの預金が定期性預金を中心に増加したことから、全体として末残では56兆995億円(前年度末比5,376億円、1.0%増)となった。また、平残では54兆8,337億円(前年度比2,818億円、0.5%増)となった。
 譲渡性預金は、末残では5,690億円(前年度末比2,155億円、27.5%減)となり、平残では7,983億円(前年度比332億円、4.3%増)となった。

 

資金運用

 貸出金は、中小企業等向けの貸出等が増加したことから、末残では43兆5,832億円(前年度末比6,523億円、1.5%増)となり、平残では42兆4,537億円(前年度比6,844億円、1.6%増)となった。
 リスク管理債権については、破綻先債権額は3,287億円(前年度末比1,700億円、107.1%増)、延滞債権額は1兆3,397億円(同589億円、4.6%増)、3カ月以上延滞債権額は184億円(同89億円、92.5%増)、貸出条件緩和債権額は1,931億円(同2,304億円、54.4%減)となった。この結果、リスク管理債権額の合計は、1兆8,801億円(同74億円、0.4%増)となり、リスク管理債権額の貸出金総額に占める比率は0.05%ポイント低下して4.31%となった。
 なお、金融再生法第7条にもとづき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が7,264億円(前年度末比2,692億円、58.9%増)、危険債権が9,651億円(同404億円、4.0%減)、要管理債権が2,116億円(同2,215億円、51.1%減)、正常債権が42兆3,022億円(同6,089億円、1.5%増)であった。
 有価証券は、株式や外国証券が減少したこと等から、末残では12兆5,253億円(前年度末比6,501億円、4.9%減)と減少したものの、平残では13兆3,546億円(前年度比63億円、0.04%増)と増加した。

 

自己資本

 資本金は、期中に2行で減資が行われたものの、8行で増資が行われたことから、9,433億円(前年度末比965億円、11.4%増)となった。
 また、その他有価証券評価差額金が1,723億円の評価差損(前年度比1,026億円、147.1%減)となったこと等から、純資産の部合計は2兆3,434億円となった。

 

[担当:石井(良)]