都市銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は2兆7,097億円(前中間期比8,449億円、23.8%減)、資金調達費用は7,676億円(同9,303億円、54.8%減)と、収益・費用ともに減少したものの、費用の減少が収益の減少を上回ったことから、資金運用益は1兆9,421億円(同854億円、4.6%増)と増益となった。
     国内業務部門をみると、収益は、有価証券および貸出金の残高(平残)は増加したものの、前年度における日本銀行の政策金利の引き下げを受けて利回りが低下したことにより、有価証券利息配当金および貸出金利息が減少したことから、全体でも減少した。一方、費用は、預金および譲渡性預金の残高(平残)は増加したものの、同様に前年度における日本銀行の政策金利の引き下げを受けて利回りが低下したことにより、預金利息および譲渡性預金利息が減少したこと等から、全体でも減少した。以上のように、利回りの低下を主因に収益・費用ともに減少したものの、預貸金利鞘が縮小したこと等から、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
     国際業務部門をみると、収益は、米欧の政策金利の引き下げを受けて利回りが低下したことにより、貸出金利息や有価証券利息配当金は減少し、預け金利息やその他の受入利息も減少したことから、全体でも減少した。一方、費用は、同様に米欧の政策金利の引き下げを受けて利回りが低下したことにより、預金利息や譲渡性預金利息が減少し、コールマネー利息やその他の支払利息等も減少したことから、全体でも減少した。以上のように、利回りの低下を主因に収益・費用ともに減少したものの、費用の減少が収益の減少を上回ったことから、国際業務部門の資金運用益は増益となった。
  2.  役務取引等収益・費用をみると、株価は回復基調にあるものの、個人向けの投資信託および年金保険の販売手数料が減少したほか、為替手数料収支の収益超過額も減少したことから、全体の収益超過額は4,817億円(前中間期比288億円、5.6%減)となった。
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  4.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国内業務部門では、収益超過額は大幅に減少したものの、国際業務部門では、円高による通貨スワップ取引関係費用等の減少により、損失超過から大幅な収益超過に転じたことから、全体の収益超過額は3,053億円(前中間期比2,704億円、773.9%増)と大幅に増加した。
  5.  その他業務収益・費用をみると、国債等債券売却益が増加したこと等から、国債等関係損益の収益超過額は大幅に増加したものの、円高による円貨換算差損等の増加により、外国為替売買損益が収益超過から損失超過に転じ、バンキング勘定における金融派生商品損益も収益超過から大幅な損失超過に転じたことから、全体の損失超過額は961億円(前中間期は2,419億円の収益超過)と収益超過から損失超過に転じた。
  6.  その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益は、前期末からの株価の上昇を受けて保有株式の減損処理が減少したことにより、株式等償却が減少したことから、収益超過額は63億円(前中間期は1,076億円の損失超過)と損失超過から収益超過に転じた。また、一般貸倒引当金純繰入額の戻入れが増加したほか、景気の持ち直しにより大口倒産が減少したこと等から、貸出金償却は大幅に減少した。
     以上の結果、全体の損失超過額は6,941億円(前中間期は9,485億円の損失超過)となった。
  7.  営業経費は、退職給付費用は増加したものの、システム・施設投資の内容を見直したこと等により、物件費が減少したことから、1兆5,213億円(前中間期比28億円、0.2%減)となった。
  8.  以上の結果、経常利益は4,327億円(前中間期比2,411億円、125.8%増)と増益となった(増益5行、黒字転換1行)。また、経常利益が増益となったことから、中間純利益は4,435億円(同1,018億円、29.8%増)となった(増益4行、減益2行)。
  9.  参考までにみると、業務純益は1兆3,266億円(前中間期比1,763億円、15.3%増)、国内業務粗利益は1兆9,946億円(同1,040億円、5.0%減)、国際業務粗利益は6,558億円(同875億円、15.4%増)となった。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.01%ポイント縮小して、0.27%となった。
     リスク管理債権(銀行勘定)については、破綻先債権額は4,075億円(前期末比744億円、15.4%減)、延滞債権額は2兆7,048億円(同3,140億円、13.1%増)、3カ月以上延滞債権額は903億円(同4億円、0.5%増)、貸出条件緩和債権額は9,352億円(同611億円、6.1%減)となった。
     リスク管理債権額の合計(銀行勘定)は4兆1,380億円(同1,790億円、4.5%増)であった。
     また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が8,210億円(前期末比884億円、9.7%減)、危険債権が2兆4,876億円(同2,981億円、13.6%増)、要管理債権が1兆256億円(同607億円、5.6%減)、正常債権が232兆353億円(同14兆6,004億円、5.9%減)であった。
     なお、繰延税金資産(純額)は、1兆9,568億円(前期末比5,058億円、20.5%減)となった。

担当:福田