信託銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1.  信託報酬をみると、株価が前中間期に比べ低水準となったこと等により年金信託、投資信託等の時価ベースでの受託資産残高が減少したほか、不動産関連報酬も減少したことなどから、1,195億円(前中間期比314億円、20.8%減)と減少した。
  2.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益が4,121億円(前中間期比1,090億円、20.9%減)、資金調達費用が1,656億円(同1,089億円、39.7%減)となった結果、資金運用益は2,465億円(同1億円、0.0%減)とほぼ横ばいとなった。
     国内業務部門をみると、収益は、有価証券残高(平残、以下同じ。)は増加したものの、有価証券利回りの低下により有価証券利息配当金が減少したほか、貸出金残高は増加したものの、貸出金利回りの低下により貸出金利息が減少したことから、全体では減少した。一方、費用は、譲渡性預金残高の減少および預金利回りの低下により譲渡性預金利息が減少したほか、預金利息およびコールマネー利息も減少したことから、全体では減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、収益が費用を上回って減少したことから、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
     国際業務部門をみると、収益は、米欧政策金利の引き下げを受けて、有価証券利息配当金および貸出金利息が減少し、預け金利息も減少したこと等から、全体では減少した。一方、費用は、預金利息が、預金残高の減少および米欧政策金利の引き下げを受けて減少したほか、金利スワップ支払利息が減少したこと等から、全体では減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、費用が収益を上回って減少したことから、国際業務部門の資金運用益は増益となった。
  3.  役務取引等収益・費用をみると、投資信託の販売手数料や不動産仲介業務関連手数料等の減少により、その他の役務収益が減少したこと等から、全体の収益超過額は878億円(前中間期比162億円、15.6%減)となった。
  4.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国際業務部門においては損失超過となったものの、国内業務部門においては収益超過に転じたことから、全体では210億円の収益超過(前中間期は96億円の損失超過)と損失超過から収益超過に転じた。
  5.  その他業務収益・費用をみると、金融派生商品損益の損失超過額は減少したものの、国債等償還損の増加を主因として国債等債券関係損益の収益超過額が減少したほか、外国為替売買損益も損失超過に転じたことから、全体の収益超過額は61億円(前中間期比193億円、76.0%減)となった。
  6.  その他経常収益・費用をみると、個別貸倒引当金純繰入額および一般貸倒引当金純繰入額が増加したものの、株式相場の上昇に伴う株式等償却の減少および株式等売却益の増加により株式等関係損益が収益超過に転じたことなどから、全体の損失超過額は611億円(前中間期は861億円の損失超過)となった。
  7.  営業経費は、税金、物件費が減少したものの、職員数および退職給付費用の増加等により人件費が増加したことから、3,084億円(前中間期比106億円、3.6%増)となった。
  8.  以上の結果、経常利益は1,114億円(前中間期比219億円、16.5%減)と減益となった(増益2行、減益4行)。中間純利益は、経常利益が減益となったことから、756億円(同81億円、9.6%減)と減益となった(増益2行、減益4行)。
  9.  参考までにみると、業務純益は2,354億円(前中間期比25億円、1.0%減)と減益となった。国内業務粗利益は4,053億円(同704億円、14.8%減)となり、国際業務粗利益は757億円(同341億円、82.0%増)となった。また、国内業務部門の資金粗利鞘(資金運用利回り-資金調達利回り)は、前中間期比0.15%ポイント縮小して0.72%となった。
     リスク管理債権の残高をみると、破綻先債権額は、銀行勘定で607億円(前期末比151億円、19.9%減)、信託勘定で0.9億円(同0.7億円、44.5%減)となった。延滞債権額は、銀行勘定で4,293億円(同2,243億円、109.4%増)、信託勘定で174億円(同152億円、46.5%減)となった。3カ月以上延滞債権額は、銀行勘定で13億円(同2億円、18.1%増)、信託勘定で0.3億円(同0.3億円、48.7%減)となった。貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で766億円(同324億円、73.3%増)、信託勘定で103億円(同12億円、10.4%減)となった。以上の結果、リスク管理債権の総額は、銀行勘定で5,680億円(同2,418億円、74.1%増)、信託勘定で279億円(同165億円、37.1%減)となった(信託勘定については、いずれも元本補填契約のある信託勘定の計数)。
     また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容をみると、破産更生債権及びこれらに準ずる債権は1,175億円(前期末比217億円、15.6%減)、危険債権は4,178億円(同2,372億円、131.3%増)、要管理債権は781億円(同318億円、68.7%増)、正常債権は35兆3,199億円(同2,069億円、0.6%増)となった(信託勘定の計数を除く)。
     なお、繰延税金資産(純額)は、3,148億円(前期末比2,243億円、41.6%減)となった。

担当:昆