第二地銀協地銀

 第二地銀協地銀の平成21年度決算をみると、資金運用益は、収益、費用ともに減少したものの、貸出金利回りの低下を受けて貸出金利息が減少したこと等により、収益の減少が費用の減少を上回ったことから、4年連続の減益となった。
 経常利益は、国債等債券償却、株式等償却および与信関係費用の減少を主因に833億円の黒字(前年度は4,505億円の赤字)と赤字から黒字に転じ、これを受けて当期純利益も613億円の黒字(前年度は3,750億円の赤字)と赤字から黒字に転じた。
 業容面(末残)をみると、預金は前年度末比2.5%増、貸出金は同1.1%増となった。

損益状況

資金運用益
 資金運用益は、9,540億円(前年度比297億円、3.0%減)の減益となった。
 資金運用収益をみると、貸出金利回りの低下により、貸出金利息が減少(前年度比618億円、6.2%減)したことを主因として、全体では1兆1,190億円(同732億円、6.1%減)と減少した。
 一方、資金調達費用をみると、預金残高(平残)は増加したものの、預金利回りの低下により、預金利息が減少(前年度比380億円、20.9%減)した結果、全体では1,650億円(同435億円、20.9%減)と減少した。
役務取引等収益・費用
 その他の役務収支の収益超過額が減少したほか、為替手数料収支の収益超過額も減少したことから、全体の収益超過額は606億円(前年度比79億円、11.5%減)と減少した。
その他業務収益・費用
 国債等債券償却が大幅に減少したことにより、国債等債券関係損益が損失超過から収益超過に転じたことを主因として、全体の収益超過額は、435億円(前年度は2,741億円の損失超過)と損失超過から収益超過に転じた。
その他経常収益・費用
 株価の上昇により、株式等償却が大幅に減少したことから、株式等関係損益の損失超過額は165億円(前年度は1,083億円の損失超過)と大幅に減少した。また、景気の持ち直しによる企業倒産件数の減少等により、一般貸倒引当金純繰入額、個別貸倒引当金純繰入額がともに減少し、貸倒引当金繰入額が1,572億円(前年度比1,349億円、46.2%減)と減少するとともに、貸出金償却も313億円(同238億円、43.2%減)と減少した。以上の結果、全体の損失超過額は、2,259億円と大幅に減少した(前年度は4,716億円の損失超過)。
営業経費
 営業経費は、人件費、物件費ともに減少したことから、7,489億円(前年度比80億円、1.1%減)となった。
経常利益・当期純利益
 以上の結果、経常収益は1兆3,988億円(前年度比789億円、5.3%減)、経常費用は1兆3,155億円(同6,127億円、31.8%減)となり、経常利益は、833億円の黒字(前年度は4,505億円の赤字)と赤字から黒字に転じた(増益11行、減益1行、黒字転換21行、経常損失9行)。当期純利益は、経常利益が黒字となったこと等から、613億円の黒字(前年度は3,750億円の赤字)と赤字から黒字に転じた(増益12行、減益2行、黒字転換20行、当期純損失8行)。
 なお、業務純益は、3,183億円の黒字(前年度は9億円の赤字)と、赤字から黒字に転じた(増益23行、減益12行、黒字転換7行)。また、国内業務粗利益は、1兆152億円(前年度比2,359億円、30.3%増)の増益となり、国際業務粗利益は、274億円の黒字(前年度は103億円の赤字)と赤字から黒字に転じた。

 

利回り・利鞘(国内業務部門)

 資金運用利回りをみると、貸出金利回りは、前年度比0.17%ポイント低下して2.20%となり、有価証券利回りは、同0.01%ポイント上昇して1.22%となった。また、コールローン等利回りは、同0.28%ポイント低下して0.23%となった。この結果、資金運用利回りは、同0.13%ポイント低下して1.89%となった。
 一方、資金調達原価をみると、預金債券等利回りは、前年度比0.08%ポイント低下して0.25%となり、コールマネー等利回りは、同0.35%ポイント上昇して2.28%となった。また、経費率は同0.04%ポイント低下して1.29%となった。この結果、資金調達原価は、同0.12%ポイント低下して、1.55%となった。
 以上の結果、総資金利鞘は前年度比0.01%ポイント縮小して0.34%となった。

 

資金調達

 預金は、普通預金、定期預金ともに増加したことから、全体として末残では56兆7,701億円(前年度末比1兆3,938億円、2.5%増)となった。また、平残では54兆8,654億円(前年度比7,400億円、1.4%増)となった。
 譲渡性預金は、末残では4,922億円(前年度末比768億円、13.5%減)となり、平残では6,402億円(前年度比1,581億円、19.8%減)となった。

 

資金運用

 貸出金は、末残では43兆4,891億円(前年度末比4,656億円、1.1%増)となり、平残では41兆9,652億円(前年度比607億円、0.1%増)となった。
 リスク管理債権については、破綻先債権額は2,710億円(前年度末比556億円、17.0%減)、延滞債権額は1兆2,894億円(同279億円、2.1%減)、3カ月以上延滞債権額は186億円(同5億円、2.9%増)、貸出条件緩和債権額は1,634億円(同242億円、12.9%減)となった。この結果、リスク管理債権額の合計は、1兆7,425億円(同1,072億円、5.8%減)となり、リスク管理債権額の貸出金総額に占める比率は0.29%ポイント低下して4.01%となった。
 なお、金融再生法第7条にもとづき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が6,536億円(前年度末比642億円、8.9%減)、危険債権が9,287億円(同203億円、2.1%減)、要管理債権が1,820億円(同237億円、11.5%減)、正常債権が42兆2,989億円(同5,284億円、1.3%増)であった。
 有価証券は、末残では13兆6,112億円(前年度末比1兆2,093億円、9.8%増)と増加し、平残でも13兆2,600億円(前年度比287億円、0.2%増)と増加した。

 

自己資本

 資本金は、4行で増資が行われたものの、期中に3行で減資が行われたことから、9,126億円(前年度末比152億円、1.6%減)となった。
 また、その他有価証券評価差額金が1,123億円の評価差益(前年度末は1,685億円の評価差損)と評価差損から評価差益に転じたこと等から、純資産の部合計は2兆7,535億円となった。

 

[担当:藤澤]