1.金融情勢

 平成21年度の金融・資本市場をみると、短期金融市場は日本銀行による積極的な資金供給の継続を受け、金利は低位で安定的に推移した。無担保コールレート(オーバーナイト物)は、平成20年12月に行われた日本銀行の誘導目標の0.1%への引き下げ以降、0.1%前後で安定的に推移した。長期金利(10年物国債利回り)は、積極的な財政出動に伴う国債需給の悪化懸念などから、金利に上昇圧力がかかりやすい状況となり、6月中旬にかけて一時1.5%台にまで上昇したが、景気の先行きに対する慎重な見方と国債需給悪化に対する警戒感が交錯し、1.2%前後で推移する場面も見られ、年度末にかけて1.3%程度で推移した。

 株価(日経平均)は、世界的な景気回復期待や金融システム不安の後退等を背景として、7月下旬に1万円台を回復し、8月下旬には1万500円台まで上昇した。その後、円高進行による企業収益見通しの悪化などにより弱含み基調を辿り、11月末には一時9千円台まで下落したが、日本銀行による金融緩和措置が強化された12月入り後は持ち直し、年度末の株価は、1万1,089円94銭となった(21年3月末は8,109円53銭)。

 為替相場は、米ドルに対して、年初から7月までは振れを伴いつつも総じて横ばい圏内で推移したが、米国景気の回復期待が後退する中で、8月以降は円高基調となった。その後、9月から11月中旬にかけて、1ドル90円前後で半ば膠着状況となっていたが、11月の下旬にかけて、ドバイ・ショックの発生等で投資家が一時的にリスク回避行動を強めたことから、一時1ドル84円台まで円高が進むなど急激な相場変動が発生した。しかし、日本銀行による金融緩和措置が強化されたこと等から、年度末の為替相場は1ドル=93円27銭となった(21年3月末は98円31銭)。

 

図1 国内主要金利等の推移

図2 海外主要金利等の推移

図3 全国銀行の経常利益・資金運用益の推移

 

2.銀行の経営統合等の動き

 平成21年度中に見られた経営統合等の動きは、以下のとおりである。

[1]りそな銀行とりそな信託銀行の合併
平成21年4月1日、株式会社りそな銀行とりそな信託銀行株式会社が合併し、株式会社りそな銀行となった。
[2]フィデアホールディングスの設立
平成21年10月1日、株式会社荘内銀行と株式会社北都銀行は、株式移転方式によりフィデアホールディングス株式会社を設立した。
[3]関東つくば銀行と茨城銀行の合併
平成22年3月1日、株式会社関東つくば銀行と株式会社茨城銀行が合併し、株式会社筑波銀行となった。
[4]関西アーバン銀行とびわこ銀行の合併
平成22年3月1日、株式会社関西アーバン銀行と株式会社びわこ銀行が合併し、株式会社関西アーバン銀行となった。

 

[担当:石井(良)]