都市銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は2兆3,879億円(前中間期比3,217億円、11.9%減)、資金調達費用は5,762億円(同1,914億円、24.9%減)と、収益・費用ともに減少したものの、国内業務部門・国際業務部門ともに収益の減少が費用の減少を上回ったことから、資金運用益は1兆8,118億円(同1,303億円、6.7%減)と減益となった。
     国内業務部門をみると、収益は、国債の増加を主因として有価証券残高(平残)が増加したことにより、有価証券利息配当金は増加したものの、日銀の金融緩和政策の影響を受けて市場金利が低下し、企業の資金需要も低調に推移したことにより、貸出金利息が減少したこと等から、全体では減少した。一方、費用は、預金および譲渡性預金の残高(平残)は増加したものの、預金金利の引き下げ等により、預金利息および譲渡性預金利息が減少したこと等から、全体でも減少した。以上のように、収益・費用ともに減少し、預貸金利鞘が縮小したこと等から、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
     国際業務部門をみると、収益は、米欧の金融緩和政策の影響を受けて市場金利が低下したことにより、貸出金利息および有価証券利息配当金が減少し、その他の受入利息も減少したこと等から、全体でも減少した。一方、費用は、同様に金利が低下したことを受けて、預金利息および借用金利息が減少し、その他の支払利息も減少したこと等から、全体でも減少した。以上のように、金利の低下を主因に収益・費用ともに減少したものの、収益の減少が費用の減少を上回ったことから、国際業務部門の資金運用益は減益となった。
  2.  役務取引等収益・費用をみると、為替手数料収支の収益超過額は減少したものの、投資信託および年金保険の販売手数料が増加したこと等により、その他の役務収支の収益超過額が増加したことから、全体の収益超過額は4,833億円(前中間期比16億円、0.3%増)となった。
  3.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国内業務部門では、収益超過額が減少したものの、国際業務部門では、円高を受けて外貨調達に係る通貨スワップ取引関係費用が減少したことにより、収益超過額が増加したことから、全体の収益超過額は3,171億円(前中間期比118億円、3.9%増)となった。
  4.  その他業務収益・費用をみると、円高による円貨換算差損等の増加により、外国為替売買損益の損失超過額が増加したものの、債券市場金利の低下を受けて国債等債券売却益が大幅に増加したことにより、国債等債券関係損益の収益超過額は大幅に増加し、バンキング勘定における金融派生商品損益の損失超過額も大幅に減少したことから、全体の収益超過額は3,594億円(前中間期は961億円の損失超過)と損失超過から収益超過に転じた。
  5.  その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益は、前期末からの株価の下落を受けて保有株式の減損処理が増加し、株式等償却が大幅に増加したことから、損失超過額は1,125億円(前中間期は63億円の収益超過)と収益超過から損失超過に転じたものの、企業倒産件数の減少により、個別貸倒引当金純繰入額および貸出金償却が大幅に減少した。
     以上の結果、全体の損失超過額は2,812億円(前中間期は6,941億円の損失超過)と大幅に改善した。
  6.  営業経費は、システム・施設関連費用の内容を見直したこと等により、物件費が減少したほか、退職給付費用の減少等により人件費も減少したことから、1兆4,728億円(前中間期比485億円、3.2%減)となった。
  7.  以上の結果、経常利益は1兆2,319億円(前中間期比7,993億円、184.7%増)と大幅な増益となった(増益6行)。また、中間純利益は、法人税等調整額(税金費用)は大幅に増加したものの、経常利益が大幅な増益となり、貸倒引当金戻入益等が増加したことを受けて特別利益も増加したこと等から、1兆497億円(同6,062億円、136.7%増)と大幅な増益となった(増益5行、減益1行)。
  8.  参考までにみると、業務純益は1兆6,429億円(前中間期比3,163億円、23.8%増)、国内業務粗利益は2兆382億円(同437億円、2.2%増)、国際業務粗利益は9,515億円(同2,957億円、45.1%増)となった。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.06%ポイント縮小して、0.21%となった。
     リスク管理債権(銀行勘定)については、破綻先債権額は2,190億円(前期末比832億円、27.5%減)、延滞債権額は2兆6,531億円(同384億円、1.4%減)、3カ月以上延滞債権額は932億円(同249億円、36.5%増)、貸出条件緩和債権額は1兆738億円(同1,274億円、13.5%増)となった。リスク管理債権額の合計(銀行勘定)は、4兆392億円(同307億円、0.8%増)であった。
     また、金融再生法第7条にもとづき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が5,936億円(前期末比1,072億円、15.3%減)、危険債権が2兆4,175億円(同176億円、0.7%減)、要管理債権が1兆1,670億円(同1,523億円、15.0%増)、正常債権が221兆2,721億円(同6兆5,468億円、2.9%減)であった。
     なお、繰延税金資産(純額)は、1兆3,387億円(前期末比2,655億円、16.6%減)となった。

担当:福田