信託銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1.  信託報酬をみると、金銭債権の信託、金銭信託以外の金銭の信託の残高が減少したこと等から、1,139億円(前中間期比56億円、4.7%減)と減少した。
  2.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益が3,481億円(前中間期比640億円、15.5%減)、資金調達費用が1,293億円(同363億円、21.9%減)となった結果、資金運用益は2,189億円(同277億円、11.2%減)と減益となった。
     国内業務部門をみると、収益は、日銀の金融緩和政策の影響を受けて貸出金利息が減少したほか、有価証券利回りの低下により有価証券利息配当金が減少したことから、全体では減少した。一方、費用は、預金金利の低下により預金利息が減少したほか、譲渡性預金利息が減少し、その他の支払利息も減少したこと等から、全体では減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、収益が費用を上回って減少したことから、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
     国際業務部門をみると、収益は、米欧の金融緩和政策の影響を受けて、有価証券利息配当金および貸出金利息が減少し、預け金利息も減少したこと等から、全体では減少した。一方、費用は、預金金利の低下を受けて預金利息が減少したほか、借用金利息も減少し、その他の支払利息も減少したこと等から、全体では減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、収益が費用を上回って減少したことから、国際業務部門の資金運用益は減益となった。
  3.  役務取引等収益・費用をみると、投資信託の販売手数料や不動産仲介業務関連手数料等の増加により、その他の役務収益が増加したこと等から、全体の収益超過額は957億円(前中間期比79億円、9.0%増)となった。
  4.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国内業務部門の収益超過額が増加したものの、国際業務部門の損失超過額が増加したことから、全体の収益超過額は168億円(前中間期比42億円、20.1%減)となった。
  5.  その他業務収益・費用をみると、金融派生商品損益の損失超過額が大幅に増加したものの、債券市場金利の低下を受けて国債等債券売却益の増加を主因に国債等債券関係損益の収益超過額が大幅に増加したほか、外国為替売買損益が収益超過に転じたこと等から、全体の収益超過額は388億円(前中間期比327億円、538.4%増)と大幅に増加した。
  6.  その他経常収益・費用をみると、株価の下落に伴う株式等売却益の減少により株式等関係損益が損失超過に転じたものの、企業の倒産件数の減少により個別貸倒引当金純繰入額が戻入超過となったほか、一般貸倒引当金純繰入額も戻入超過となったことから、全体の損失超過額は231億円(前中間期は611億円の損失超過)となった。
  7.  営業経費は、人件費、物件費、税金がともに減少したことから、2,907億円(前中間期比177億円、5.7%減)となった。
  8.  以上の結果、経常利益は1,702億円(前中間期比587億円、52.7%増)と大幅に増益となった(増益5行、減益1行)。中間純利益は、経常利益が大幅に増益となったことから、1,394億円(同637億円、84.2%増)と大幅に増益となった(増益5行、減益1行)。
  9.  参考までにみると、業務純益は2,196億円(前中間期比158億円、6.7%減)と減益となった。国内業務粗利益は4,036億円(同18億円、0.4%減)となり、国際業務粗利益は805億円(同48億円、6.4%増)となった。また、国内業務部門の資金粗利鞘(資金運用利回り-資金調達利回り)は、前中間期比0.05%ポイント縮小して0.67%となった。
     リスク管理債権の残高をみると、破綻先債権額は、銀行勘定で207億円(前期末比120億円、36.6%減)、信託勘定で1億円(同0.06億円、5.5%増)となった。延滞債権額は、銀行勘定で2,001億円(同197億円、9.0%減)、信託勘定で196億円(同30億円、18.2%増)となった。3カ月以上延滞債権額は、銀行勘定で19億円(同3億円、20.5%増)、信託勘定で0.7億円(同0.05億円、6.5%減)となった。貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で1,340億円(同70億円、4.9%減)、信託勘定で92億円(同6億円、6.0%減)となった。以上の結果、リスク管理債権の総額は、銀行勘定で3,568億円(同383億円、9.7%減)、信託勘定で290億円(同24億円、9.1%増)となった(信託勘定については、いずれも元本補填契約のある信託勘定の計数)。
     また、金融再生法第7条にもとづき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容をみると、破産更生債権及びこれらに準ずる債権は708億円(前期末比165億円、18.9%減)、危険債権は1,860億円(同219億円、10.5%減)、要管理債権は1,360億円(同66億円、4.7%減)、正常債権は34兆9,345億円(同4,236億円、1.2%減)となった(信託勘定の計数を除く)。
     なお、繰延税金資産(純額)は、2,225億円(前期末比45億円、2.0%減)となった。

担当:石井良