都市銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は2兆2,573億円(前中間期比1,306億円、5.5%減)、資金調達費用は5,176億円(同585億円、10.2%減)と、収益・費用ともに減少したものの、収益の減少が費用の減少を上回ったことから、資金運用益は1兆7,397億円(同721億円、4.0%減)と減益となった。
     国内業務部門をみると、収益は、金利スワップ受入利息は増加したものの、日銀の金融緩和政策を受けて貸出金利が低下し、企業の資金需要も低調に推移したことにより、貸出金利息が減少するとともに、その他の受入利息や有価証券利息配当金も減少したこと等から、全体では減少した。一方、費用は、預金残高(平残)は増加したものの、預金金利が引続き低い水準で維持されていることを受けて預金利息が減少し、金利スワップ支払利息や譲渡性預金利息も減少したこと等から、全体でも減少した。以上のように、収益・費用ともに減少したものの、収益の減少が費用の減少を上回ったことから、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
     国際業務部門をみると、収益は、アジア等を中心に貸出金残高(平残)が増加したことにより貸出金利息が増加し、預け金利息も増加したものの、金利スワップ受入利息が減少したこと等から、全体では減少した。一方、費用は、借用金残高(平残)が減少したことを受けて借用金利息が減少したものの、その他の支払利息が増加したほか、預金残高(平残)の増加を受けて預金利息が増加し、金利スワップ支払利息も増加したこと等から、全体でも増加した。以上のように、収益は減少し、費用が増加したことから、国際業務部門の資金運用益は減益となった。
  2.  役務取引等収益・費用をみると、国内業務部門では役務取引等収支の収益超過額は減少したものの、国際業務部門では海外の融資関連手数料の増加を主因として収益超過額が増加したこと等から、全体の収益超過額は4,973億円(前中間期比140億円、2.9%増)となった。
  3.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国内業務部門では収益超過額が増加したものの、国際業務部門では収益超過額が大幅に減少したことから、全体の収益超過額は1,907億円(前中間期比1,264億円、39.9%減)となった。
  4.  その他業務収益・費用をみると、国債等債券関係損益は、前中間期比減少したものの債券市場金利の低下を受けて引続き堅調となったほか、外国為替売買損益が損失超過から収益超過に転じたことに加え、バンキング勘定における金融派生商品損益の損失超過額も減少したことから、全体の収益超過額は4,423億円(前中間期比828億円、23.0%増)となった。
  5.  その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益は、前期末からの株価の下落を受けて保有株式の減損処理が増加し、株式等償却が大幅に増加したことから、損失超過額は2,133億円(前中間期は1,125億円の損失超過)と大幅に増加した。一方、企業倒産件数の減少により、個別貸倒引当金繰入額および貸出金償却が大幅に減少したほか、今期から新たな会計基準の適用を受けて、貸倒引当金戻入益および償却債権取立益の計上区分が特別利益からその他経常収益に変更された。
     以上の結果、全体の損失超過額は2,558億円(前中間期は2,812億円の損失超過)となった。
  6.  営業経費は、退職給付費用等の増加により人件費が増加したものの、システム・施設関連費用の圧縮により物件費が減少したことから、1兆4,669億円(前中間期比59億円、0.4%減)となった。
  7.  以上の結果、経常利益は1兆1,602億円(前中間期比717億円、5.8%減)と減益となった(増益4行、減益2行)。また、中間純利益は、経常利益が減益となったことに加え、法人税、住民税及び事業税が増加したこと等から、8,192億円(同2,305億円、22.0%減)と減益となった(増益2行、減益4行)。
  8.  参考までにみると、業務純益は1兆5,014億円(前中間期比1,415億円、8.6%減)、国内業務粗利益は1兆9,526億円(同857億円、4.2%減)、国際業務粗利益は9,339億円(同176億円、1.9%減)となった。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.04%ポイント縮小して、0.17%となった。
     リスク管理債権(銀行勘定)については、破綻先債権額は1,330億円(前期末比385億円、22.4%減)、延滞債権額は2兆5,258億円(同644億円、2.6%増)、3カ月以上延滞債権額は995億円(同579億円、36.8%減)、貸出条件緩和債権額は1兆2,730億円(同484億円、4.0%増)となった。以上の結果、リスク管理債権(銀行勘定)の合計は、4兆315億円(同163億円、0.4%増)となった。
     また、金融再生法第7条にもとづき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が4,432億円(前期末比798億円、15.3%減)、危険債権が2兆3,581億円(同908億円、4.0%増)、要管理債権が1兆3,726億円(同95億円、0.7%減)、正常債権が221兆7,622億円(同1兆1,060億円、0.5%減)となった。
     なお、繰延税金資産(純額)は、1兆3,253億円(前期末比2,350億円、15.1%減)となった。

担当:福田