信託銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1.  信託報酬をみると、年金信託、投資信託等の時価ベースでの受託資産残高が減少したこと等から、1,120億円(前中間期比19億円、1.7%減)となった。
  2.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益が3,413億円(前中間期比68億円、2.0%減)、資金調達費用が1,239億円(同53億円、4.1%減)となった結果、資金運用益は2,174億円(同15億円、0.7%減)と減益となった。
     国内業務部門をみると、収益は、有価証券利息配当金が増加したものの、日銀の金融緩和政策を受けて貸出金利が低下し、貸出金利息が減少したこと等から、全体では減少した。一方、費用は、金利スワップ支払利息が増加したものの、預金金利の低下により預金利息および譲渡性預金利息が減少したこと等から、全体では減少した。以上のように、収益・費用ともに減少したものの、費用の減少が収益の減少を上回ったことから、国内業務部門の資金運用益は増益となった。
     国際業務部門をみると、収益は、金利スワップ受入利息が減少したものの、有価証券および貸出金の残高(平残)の増加により有価証券利息配当金および貸出金利息が増加したほか、預け金利息も増加したことから、全体では増加した。一方、費用は、金利スワップ支払利息が増加したほか、その他の支払利息および譲渡性預金利息等が増加したことから、全体では増加した。以上のように、収益・費用ともに増加したものの、費用の増加が収益の増加を上回ったことから、国際業務部門の資金運用益は減益となった。
  3.  役務取引等収益・費用をみると、国際業務部門では役務取引等収支が損失超過から収益超過に転じたものの、国内業務部門では投資信託の販売手数料や不動産仲介業務関連手数料等の減少によりその他の役務収益が減少し、役務取引等収支の収益超過額が減少したことから、全体の収益超過額は870億円(前中間期比86億円、9.0%減)となった。
  4.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国際業務部門では損失超過額が大幅に減少したものの、国内業務部門では収益超過額が減少したことから、全体の収益超過額は155億円(前中間期比13億円、7.5%減)となった。
  5.  その他業務収益・費用をみると、国債等債券関係損益の収益超過額が国内業務部門では減少したものの、国際業務部門では債券市場金利の低下を受けて国債等債券売却益の増加を主因に増加したこと等から、全体の収益超過額は549億円(前中間期比161億円、41.6%増)となった。
  6.  その他経常収益・費用をみると、企業倒産が低水準で推移したことから貸出金償却が減少し、一般貸倒引当金純繰入額も戻入超過となったほか、今期から新たな会計基準の適用を受けて、貸倒引当金戻入益および償却債権取立益の計上区分が特別利益からその他経常収益に変更された。一方、株価の下落を受けて株式等償却および株式等売却損が増加したことにより、株式等関係損益の損失超過額が大幅に増加した。以上の結果、全体の損失超過額は349億円(前中間期は231億円の損失超過)となった。
  7.  営業経費は、人件費が増加したものの、物件費および税金が減少したこと等から、2,848億円(前中間期比59億円、2.0%減)となった。
  8.  以上の結果、経常利益は1,671億円(前中間期比31億円、1.8%減)と減益となった(増益3行、減益3行)。中間純利益は、経常利益が減益となったことに加え、法人税、住民税及び事業税が増加したこと等から、1,140億円(同253億円、18.2%減)と減益となった(増益2行、減益4行)。
  9.  参考までにみると、業務純益は2,312億円(前中間期比116億円、5.3%増)と増益となった。国内業務粗利益は3,854億円(同181億円、4.5%減)となり、国際業務粗利益は1,014億円(同209億円、26.0%増)となった。また、国内業務部門の資金粗利鞘(資金運用利回り-資金調達利回り)は、前中間期比0.00%ポイント縮小して、0.68%となった。
     リスク管理債権については、破綻先債権額は、銀行勘定で198億円(前期末比79億円、28.4%減)、信託勘定で0.9億円(同0.05億円、4.9%減)となった。延滞債権額は、銀行勘定で1,528億円(同67億円、4.2%減)、信託勘定で478億円(同290億円、153.7%増)となった。3カ月以上延滞債権額は、銀行勘定で10億円(同3億円、43.1%増)、信託勘定で0.7億円(同0.3億円、28.4%減)となった。貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で992億円(同267億円、21.2%減)、信託勘定で12億円(同79億円、86.3%減)となった。以上の結果、リスク管理債権の合計は、銀行勘定で2,730億円(同410億円、13.1%減)、信託勘定で492億円(同210億円、74.5%増)となった(信託勘定については、いずれも元本補填契約のある信託勘定の計数)。
     また、金融再生法第7条にもとづき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、破産更生債権及びこれらに準ずる債権は736億円(前期末比95億円、11.5%減)、危険債権は1,351億円(同51億円、3.6%減)、要管理債権は1,003億円(同264億円、20.8%減)、正常債権は35兆7,371億円(同308億円、0.1%減)となった(信託勘定の計数を除く)。
     なお、繰延税金資産(純額)は、2,082億円(前期末比467億円、18.3%減)となった。

担当:昆