第二地銀協地銀

 第二地銀協地銀の平成23年度決算をみると、資金運用益は、収益、費用ともに減少したものの、貸出金利の低下を受けて貸出金利息が減少したこと等により、収益の減少が費用の減少を上回ったことから、全体では6年連続の減益となった。
 経常利益は、与信関係費用の減少等を主因に2,072億円(前年度比514億円、33.0%増)の増益となった。当期純利益は、法人税の引下げに伴う繰延税金資産の取崩しにより法人税等調整額(費用)が増加したものの、経常利益の大幅な増益に加え、前年度の東日本大震災による特別損失の剥落により、1,118億円(同366億円、48.7%増)の増益となった。
 業容面(末残)をみると、預金は前年度末比3.6%増、貸出金は同1.8%増となった。

損益状況

資金運用益
 資金運用益は、9,314億円(前年度比158億円、1.7%減)の減益となった。
 資金運用収益をみると、貸出金残高(平残)が増加したものの、貸出金利の低下により、貸出金利息が減少(前年度比374億円、4.2%減)したことを主因として、全体では1兆287億円(同381億円、3.6%減)と減少した。
 資金調達費用をみると、預金残高(平残)が増加したものの、預金金利の低下により、預金利息が減少(前年度比222億円、22.3%減)した結果、全体では973億円(同223億円、18.6%減)と減少した。
役務取引等収益・費用
 その他の役務収支が増加した結果、全体の収益超過額は680億円(前年度比27億円、4.2%増)と増加した。
その他業務収益・費用
 国債等債券売却益が減少するとともに、国債等債券売却損が増加し、国債等債券関係損益の収益超過額が減少した結果、全体の収益超過額は、514億円(前年度比67億円、11.5%減)と減少した。
その他経常収益・費用
 株式等関係損益の損失超過額はほぼ横ばいであったものの、一般貸倒引当金純繰入額が戻入超過となった。また、個別貸倒引当金純繰入額が減少したことから、貸倒引当金繰入額が606億円(前年度比316億円、34.2%減)と減少するとともに、貸出金償却も229億円(同34億円、13.1%減)と減少した。また、今期から新たな会計基準の適用を受けて、貸倒引当金戻入益(225億円)および償却債権取立益(71億円)の計上区分が特別利益からその他経常収益に変更された。以上の結果、その他経常収支の損失超過額は961億円(前年度は1,712億円の損失超過)と減少した。
営業経費
 営業経費は、人件費、物件費および税金のいずれも増加したことから、7,474億円(前年度比40億円、0.5%増)となった。
経常利益・当期純利益
 以上の結果、経常収益は1兆3,337億円(前年度比150億円、1.1%減)、経常費用は1兆1,265億円(同664億円、5.6%減)となり、経常利益は、2,072億円(同514億円、33.0%増)の増益となった(増益24行、黒字転換2行、減益14行、経常損失2行)。当期純利益は、法人税の引下げに伴う繰延税金資産の取崩しにより法人税等調整額が増加したものの、経常利益の増益に加え、前年度の東日本大震災による特別損失の剥落により、1,118億円(同366億円、48.7%増)の増益となった(増益20行、黒字転換5行、減益15行、当期損失2行)。
 なお、業務純益は、3,456億円(前年度比36億円、1.0%減)の減益となった(増益20行、減益20行、赤字2行)。また、国内業務粗利益は、1兆218億円(同140億円、1.3%減)の減益となり、国際業務粗利益は、290億円(同58億円、16.8%減)の減益となった。

 

利回り・利鞘(国内業務部門)

 資金運用利回りをみると、貸出金利回りは、前年度比0.11%ポイント低下して1.97%となり、有価証券利回りは、同0.07%ポイント低下して1.01%となった。また、コールローン等利回りは、同0.02%ポイント上昇して0.22%となった。この結果、資金運用利回りは、同0.12%ポイント低下して1.64%となった。
 資金調達原価をみると、預金債券等利回りは、前年度比0.04%ポイント低下して0.13%となり、コールマネー等利回りは、同0.05%ポイント低下して2.34%となった。また、経費率は同0.03%ポイント低下して1.23%となった。この結果、資金調達原価は、同0.07%ポイント低下して、1.37%となった。
 以上の結果、総資金利鞘は前年度比0.05%ポイント縮小して0.27%となった。

 

資金調達

 預金は、普通預金等が増加したことを主因に、全体として末残では59兆6,704億円(前年度末比2兆663億円、3.6%増)と増加し、また、平残では58兆1,034億円(前年度比1兆4,067億円、2.5%増)と増加した。
 譲渡性預金は、末残では1兆873億円(前年度末比2,934億円、37.0%増)と増加し、平残では9,326億円(前年度比1,877億円、25.2%増)と増加した。

 

資金運用

 貸出金は、中小企業向け貸出等が増加したことから、末残では44兆6,644億円(前年度末比7,878億円、1.8%増)となり、平残では43兆5,054億円(前年度比5,031億円、1.2%増)となった。
 リスク管理債権は、破綻先債権額は1,235億円(前年度末比502億円、28.9%減)、延滞債権額は1兆3,798億円(同809億円、6.2%増)、3カ月以上延滞債権額は158億円(同19億円、13.3%増)、貸出条件緩和債権額は1,826億円(同295億円、19.2%増)となった。この結果、リスク管理債権額の合計は、1兆7,019億円(同620億円、3.8%増)となり、リスク管理債権額の貸出金総額に占める比率は0.07%ポイント上昇して3.81%となった。
 金融再生法第7条にもとづき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が4,417億円(前年度末比804億円、15.4%減)、危険債権が1兆773億円(同1,076億円、11.1%増)、要管理債権が1,984億円(同313億円、18.7%増)、正常債権が43兆4,572億円(同7,089億円、1.7%増)であった。
 有価証券は、国債および社債等が増加したこと等から、末残で15兆5,927億円(前年度末比1兆2,165億円、8.5%増)と増加した。平残でも15兆2,334億円(前年度比9,936億円、7.0%増)と増加した。

 

自己資本

 資本金は、期中に2行で増資が行われたことから、9,476億円(前年度末比156億円、1.7%増)となった。また、その他有価証券評価差額金が1,322億円の評価差益(同671億円、103.0%増)の増益となったこと等から、純資産の部合計は2兆9,814億円となった。

 

[担当:飛田]