1.金融情勢

 平成23年度の金融・資本市場をみると、短期金利については、日本銀行による潤沢な資金供給が続くもと、総じて低利で安定的に推移した。無担保コールレート(オーバーナイト物)は、年度を通じて0.1%を下回る水準で推移した。長期金利(10年物国債利回り)は、年度当初は国債増発への警戒感等から上昇し、4月上旬には1.3%を超えたものの、その後は、同警戒感が後退する中で、米国の長期金利が低下したこともあり、緩やかに低下し、年度末まで概ね1.0%程度で推移した。

 株価(日経平均)は、東日本大震災の影響を受けて6月末までは9,500円前後で推移したものの、震災からの回復基調と堅調な米国株価を背景に上昇し、7月には10,000円台を回復した。その後は欧州債務問題への懸念や米欧株価の影響を受けて、24年初までは8,000円~9,000円台で推移したが、年度末にかけては円安等を受けて上昇し、年度末の株価は10,083円56銭となった(23年3月末は9,755円10銭)。

 円の対ドル相場は、年度当初は震災後のG7による協調介入により円安方向に動いていたが、その後は、米国経済の減速懸念を反映して米国金利が低下するもとで円高が進んだ。下期以降は、欧州債務問題を巡る不透明感などから投資家のリスク回避姿勢が強まる中、10月末にかけて75円台まで上昇した。こうしたもとで為替介入が実施されたことから一時円安方向に転じたものの、同問題への懸念から再び円高方向に転じ、24年初まで76~78円台で推移した。2月以降は、同問題への懸念が幾分後退したほか、わが国の貿易収支の悪化に加え、2月の日銀による政策変更や米経済指標の改善等により円安となり、年度末の為替相場は、1ドル=82円17銭となった(23年3月末は82円84銭)。

図1 国内主要金利等の推移

図2 海外主要金利等の推移

図3 全国銀行の経常利益・資金運用益の推移

 

2.銀行の経営統合等の動き

 平成23年度中に見られた経営統合等の動きは、以下のとおりである。

  • 北九州銀行の設立
    平成23年10月3日、株式会社北九州銀行が、株式会社山口銀行の九州域内における事業を分割し承継する吸収分割を経て、営業を開始した。

 

[担当:藤澤]