都市銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は2兆2,142億円(前中間期比431億円、1.9%減)と減少し、資金調達費用は5,206億円(同30億円、0.6%増)と増加したことから、資金運用益は1兆6,936億円(同461億円、2.6%減)と減益となった。
     国内業務部門をみると、収益は、日銀の継続的な金融緩和政策を受けて、貸出金利が低下し、貸出金利息が減少したほか、有価証券利息配当金や金利スワップ受入利息が減少したことから、全体でも減少した。一方、費用は、預金残高(平残)は増加したものの、預金金利が低下したことを受けて、預金利息や譲渡性預金利息も減少したことから、全体でも減少した。以上のように、収益・費用ともに減少したものの、収益の減少が費用の減少を上回ったことから、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
     国際業務部門をみると、収益は、金利スワップ受入利息が減少したものの、アジア等を中心とした貸出金残高(平残)の増加等により貸出金利息が増加し、有価証券利息配当金も有価証券残高(平残)の増加等により増加したことから、全体では増加した。一方、費用は、借用金残高(平残)の減少により借用金利息が減少したものの、譲渡性預金残高(平残)の増加により譲渡性預金利息が増加したほか、金利スワップ支払利息も増加したことから、全体でも増加した。以上のように、収益・費用ともに増加したものの、収益の増加が費用の増加を上回ったことから、国際業務部門の資金運用益は増益となった。
  2.  役務取引等収益・費用をみると、国際業務部門では、海外の融資関連手数料の増加を主因として収益超過額が増加し、また、国内業務部門では、為替手数料が減少したものの、その他の役務取引等収益の増加により収益超過額が増加したことから、全体の収益超過額は5,066億円(前中間期比93億円、1.9%増)となった。
  3.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国内業務部門では収益超過額が増加したものの、国際業務部門では収益超過額が減少したことから、全体の収益超過額は1,632億円(前中間期比275億円、14.4%減)となった。
  4.  その他業務収益・費用をみると、バンキング勘定における金融派生商品損益の損失超過額が増加したものの、国債等債券関係損益は債券市場金利の低下を受けて収益超過額が増加したほか、外国為替売買損益の収益超過額が増加したことから、全体の収益超過額は5,842億円(前中間期比1,420億円、32.1%増)となった。
  5.  その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益は、株価の下落により株式等償却が大幅に増加したことから、損失超過額は5,912億円(前中間期は2,133億円の損失超過)と大幅に増加した。一方、与信関係費用は、個別貸倒引当金純繰入額が増加し、償却債権取立益は減少したものの、貸倒引当金戻入益が増加したことから、全体では減少した。
     以上の結果、全体の損失超過額は6,130億円(前中間期は2,558億円の損失超過)となった。
  6.  営業経費は、物件費が減少した一方、海外業務強化に伴う人件費等の増加により、1兆4,704億円(前中間期比35億円、0.2%増)となった。
  7.  以上の結果、経常利益は8,759億円(前中間期比2,843億円、24.5%減)と減益となった(増益2行、減益4行)。また、中間純利益は、法人税等合計が減少したものの、経常利益が減益となったことを主因として、6,822億円(同1,370億円、16.7%減)と減益となった(増益3行、減益3行)。
  8.  参考までにみると、業務純益は1兆5,653億円(前中間期比639億円、4.3%増)、国内業務粗利益は1兆9,327億円(同198億円、1.0%減)、国際業務粗利益は1兆300億円(同961億円、10.3%増)となった。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.05%ポイント縮小して、0.12%となった。
     リスク管理債権(銀行勘定)については、破綻先債権額は1,399億円(前期末比2億円、0.2%減)、延滞債権額は2兆6,531億円(同271億円、1.0%増)、3カ月以上延滞債権額は982億円(同25億円、2.6%増)、貸出条件緩和債権額は1兆2,889億円(同47億円、0.4%増)となった。以上の結果、リスク管理債権(銀行勘定)の合計は、4兆1,802億円(同341億円、0.8%増)となった。
     また、金融再生法第7条にもとづき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が4,283億円(前期末比1億円、0.0%増)、危険債権が2兆5,094億円(同13億円、0.1%増)、要管理債権が1兆3,871億円(同72億円、0.5%増)、正常債権が227兆8,110億円(同1兆7,519億円、0.8%減)となった。
     なお、繰延税金資産(純額)は、1兆1,108億円(前期末比613億円、5.8%増)となった。

担当:井出野