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Q&A

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一般的な質問事項(2020年8月末時点)

LIBOR(ライボー)とはなんですか。

LIBOR(ライボー)とは、「London Interbank Offered Rate」の略称で、ロンドン市場での金融取引における銀行間取引金利のことです。

主要な5通貨(米ドル・英ポンド・スイスフラン・ユーロ・日本円)について公表されており、様々な金融取引における金利決定に当たっての基準となる金利指標として利用されています。このうち日本円通貨のLIBOR は「円LIBOR」と呼ばれています。

なお、LIBOR と同様の銀行間取引の金利指標としては、東京市場での銀行間取引金利であるTIBOR(タイボー。Tokyo Interbank Offered Rate)や、欧州市場での銀行間金利であるEURIBOR(ユリボー。Euro Interbank Offered Rate)などがあり、これらを総称して「IBORs」(アイボーズ)と呼びます。 

LIBORについてはこれまで、金融界ではどのような取組みが行われてきましたか。(2017年7月のベイリー長官の発言以前)

金融安定理事会(FSB)が、2014年7月に公表した「主要な金利指標の改革」と題する報告書の提言にもとづき、各国において既存の金利指標である銀行間取引金利(IBORs)の信頼性・頑健性の向上や、銀行の信用リスクなどを反映しないリスク・フリー・レート(RFR)の特定が行われています。

日本をはじめとした複数の国において、IBORs・RFRそれぞれの金利指標を、金融商品や取引の性質を踏まえて利用していくこと(マルチプル・レート・アプローチ)について、検討が行われてきました。 

リスク・フリー・レート(RFR)とはなんですか。IBOR(s)との違いはなんですか。

例えば、日本円におけるリスク・フリー・レート(RFR)は、「無担保コールオーバーナイト(O/N)物レート」(TONA)と特定されていますが、RFRは金融機関が資金を調達する際の金融機関の信用リスクをほぼ含まない金利として、通貨ごとに特定されています。

日本円におけるRFRであるTONAは、銀行の信用リスクを含まないほか、翌日物である(3か月・6か月物などの期間構造を有しない)という特徴を有しており、この点で、銀行の信用リスクを含み、かつ期間構造を有しているLIBORをはじめとするIBORsとは異なります。

日本円のリスク・フリー・レート(RFR)は公表されていますか。

日本円のリスク・フリー・レート(無担保コールオーバーナイト(O/N)物レート(TONA))については、日本銀行のウェブサイトにおいて、日次ベースで公表されています。

なぜ今、LIBORの恒久的な公表停止が懸念されているのですか?

2017年7月、LIBOR を監督している英国金融行為規制機構(FCA)のベイリー長官は、
①LIBOR を算出する際の基礎となるホールセール無担保資金市場における取引が十分に活発でないこと、
②LIBOR の算出基礎となるレートを呈示するパネル行が、十分な取引の裏付けがないレートの呈示を継続することに不安を覚えていること
を理由として、2021 年末以降はLIBOR のパネル行に対して、レート呈示の強制権を行使しないことを表明しました。

これにより、2021 年末以降にパネル行がレート呈示を行わなくなる可能性があり、LIBOR の公表が恒久的に停止する可能性が高まっています。

なお、LIBOR監督当局のFCAからは、新型コロナウイルス感染症の影響がありつつも、LIBOR移行対応はグローバルな金融システムを強化するために重要な課題としたうえで、引き続き2021年末という目標期限は維持し、計画どおり取組みを進めていくことが強調されています。

 

LIBORの恒久的な公表停止に係る懸念が生じたのち、どのような検討がなされてきましたか。(~2019年11月(第1回市中協議取りまとめ))

LIBORが恒久的に公表停止した場合、例えば、貸出・債券における支払(あるいは受取)金利や、デリバティブ取引における金利の支払額の算出ができなくなるなど、大きな影響が生じ得るため、本邦では2018年8月に日本銀行を事務局とする「日本円金利指標に関する検討委員会」が設立されました。同検討委員会のメンバーは円金利指標に関わる金融機関、機関投資家、事業法人等の幅広い金融市場参加者および円金利指標ユーザーで構成されています。なお、各国でも同様の検討体が組成されています(例えば、米国における代替参照金利委員会(ARRC)等)。

同検討委員会では、円金利指標の適切な選択と利用に関する基本的な考え方や、それを踏まえた具体的課題・対応策について整理を行っているほか、時間軸を意識した対応の方向性、代替金利指標への移行計画などについて議論を行い、2019年7月に市中協議文書を公表し、2019年11月末にその結果の取りまとめ報告書が公表されました。

「日本円金利指標に関する検討委員会」では、第1回市中協議取りまとめ後、どのような検討がなされていますか。

2020年8月には、銀行界や証券界での検討やグローバルな進捗状況も踏まえ、円LIBORを参照するキャッシュ商品(貸出、債券等)におけるフォールバック時の具体的な取扱いや、ターム物リスク・フリー・レート(RFR)の頑健性向上に向けた日本円OIS取引の活性化といった実務的な論点のほか、2021年末以降に満期を迎える円LIBORを参照するキャッシュ商品について、対応の目安となる時期等を定めた移行計画が盛り込まれた第2回市中協議が公表され、意見募集が行われています(意見募集期限:2020年9月30日)。

LIBORの恒久的な公表停止に係る懸念の影響はLIBORを利用している商品だけに及ぶのですか。

LIBORは、貸出・債券・デリバティブといった商品における参照金利としてだけではなく、会計(ヘッジ会計等)、事務・システム(資金決済等)、インフラ(取引所(上場商品))、内部ガバナンス(リスク管理等)など、様々な制度・慣行等で利用が前提とされています。このようにLIBORは様々な枠組みで相互依存関係にあるため、その恒久的な公表停止に係る懸念の影響は甚大であり、金融機関だけではなく、事業法人においても対応が必要となります。

LIBORの代替金利指標またはフォールバック・レートとして、過去の金利の水準がLIBORより高く推移してきているTIBORを選択した場合、リスク・フリー・レート(RFR)ベースの金利を選んだ場合より支払側は損をするのですか。

どの代替金利指標(またはフォールバック・レート)を選択した場合でも、契約当事者間のコミュニケーションを通じて、移行・フォールバック前後で金利が同程度に調整されることが前提であり、必ずしもTIBORを選択することでより多くの利息を授受することになるわけではありません。

同様に、リスク・フリー・レート(RFR)ベースの金利を選択した場合に授受する利息が減少するわけでもありません。

日本円のターム物RFR金利(スワップ)の算出・公表に向けた検討は進んでいますか。

2019年11月に公表された「日本円金利指標に関する検討委員会」の取りまとめ報告書では、ターム物RFR 金利(スワップ)は、契約での利用を前提としない「参考値」の算出・公表(フェーズ1)を行った後、各契約で実際に参照することを前提とした「確定値」の算出・公表(フェーズ2)を行うという段階的な対応を進めていくこととされていました。

こうした対応方針のもと、フェーズ1における「参考値」の算出・公表を行う先について、2019年12月末を期限として公募が行われた結果、QUICK社が選定されました。2020年5月26日以降は「参考値」が週次で公表されており、今秋には日次公表に切り替えられる予定とされています。

なお、「参考値」は事務体制等の整備に当たって参考として利用されるためのものとされており、実際の金融契約で参照されることを前提とした「確定値」については、遅くとも2021年半ばまでを目途とした算出・公表に向けて検討が進められています。

日本円のターム物RFR金利(スワップ)の正式名称は何ですか。

2020年7月に、ターム物RFR金利(スワップ)の正式名称が「東京ターム物リスク・フリー・レート」(英語名:Tokyo Term Risk Free Rate)、略称は「TORF」(トーフ)に決定された旨をQUICK社が公表しました。


企業において確認や対応が必要となる事項(2020年8月末時点)

将来的なLIBORの恒久的な公表停止に備え、企業としてどのような準備を行えばよいのか、教えてください。

LIBORからの移行やフォールバック対応に向け、まずはLIBORを参照している金融商品・取引等の洗い出しや、関係業務等の特定を行うとともに、移行やフォールバック等の必要な対応について、取引金融機関の担当者との対話を進めていただくことが望ましいと考えられます。(詳細は、LIBOR特設ページ「企業に必要となる対策」の「企業における対策のポイント・進め方」をご確認ください。)

LIBORの恒久的な公表停止に対する対応時期としてはいつ頃を目処とすべきですか。

LIBORの恒久的な公表停止が想定される2021年末以前に、フォールバックの発動条件(トリガー)が発動する可能性があるほか、LIBORの恒久的停止の可能性がある2021年末に近づいていくほど、取引の流動性が低下する可能性があり、不透明な要因が多いことから、なるべく早い段階で代替金利指標への移行やフォールバック条項の導入といった対応が必要となります。

LIBORの恒久的な公表停止に備えて計画を策定する予定ですが、具体的な対応時期の目安として参考になるものはありますか。

2020年8月に公表された「日本円金利指標に関する検討委員会」による第2回市中協議において、「LIBORの恒久的な公表停止に備えた本邦での移行計画」が示されています。各社で事情が異なるため、同移行計画で示した対応期限もひとつの目安であるとされつつ、対応時期が以下のとおり設定されています。

(1)O/N RFR複利(後決め)参照商品・取引の体制整備:2021年3月末まで

(2)LIBOR参照商品の新規取引停止:2021年6月末まで

(3)既存商品(レガシー)の顕著な削減:2021年9月末まで

貸出にフォールバック条項を導入するに当たって必要な手続きはなんですか。

貸出契約においては、当事者間の個別の交渉によってフォールバック条項の導入を合意する手続きが必要となります。フォールバック条項の導入に当たっては、導入時に後継金利を決定する方法(ハードワイヤードアプローチ)と、フォールバックの発動条件(トリガー)に該当した際に後継金利を決定する方法(修正アプローチ)があります。

社債の契約変更に当たって必要な手続きはなんですか。

公募社債について、代替金利指標への移行やフォールバック条項の導入を行う場合には、原則として、会社法にもとづき、発行体による社債権者集会の開催・決議(または社債権者全員の同意)が必要と考えられます。

デリバティブの契約変更に当たって必要な手続きはなんですか。

国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)が制定するISDA マスター契約に準拠するデリバティブに関しては、ISDA 定義集における取扱いに則ることとなり、プロトコルを批准することによって既存の契約についても一括で書き換えられます。

他方、ISDAマスター契約に準拠していない契約については、契約当事者間で後継金利等について合意する必要があります。また、共通して、貸出等のヘッジ対象との関係などについて検討することが必要となります。

※ISDA のフォールバックでは、後継金利として「O/N RFR 複利(後決め)+スプレッド(過去5年間の中央値により算出)」の組み合わせが支持されています。

ISDA定義集やプロトコルに関する今後のスケジュールについて、ISDAより公表されている情報などを教えてください。

ISDAは、新規取引(プロトコルの効力発生日以降に行われる取引)に適用されるフォールバック条項を作成し、2006年版定義集を改定・公表するとともに、既存取引にフォールバック条項を適用させるための関連するプロトコルについても作成し、公表する予定とされています(改定版の定義集およびプロトコルの発効は、2021年1月の中旬~後半が予定されています。)。

デリバティブ契約におけるLIBORからの円滑な移行を進めていくために、多くの金融機関・事業法人がプロトコルに批准することで、フォールバック条項が広範に利用されることが期待されています。

フォールバックの具体的な発動条件(トリガー)はなんですか。

例えば、貸出では、以下のトリガーが考えられます。

トリガーの種類 内容
公表停止トリガー
  • LIBORの公表主体が、LIBORの公表停止または公表停止予定を発表した場合
  • LIBORの規制当局が、LIBORの公表停止または公表停止予定を発表した場合
公表停止前トリガー
  • LIBORの規制当局が、LIBORが市場の実態を表さない予定である旨または実態を表さない旨を発表した場合
早期選択トリガー
  • 客観的事情に関わらず、契約当事者の間で合意のうえ、トリガーを設定する場合

グローバルな検討においては、「公表停止トリガー」および「公表停止前トリガー」を設定することが支持、推奨されています。

フォールバックにおいて、LIBOR から後継金利(フォールバック・レート+スプレッド)に切り替わるタイミングについて教えてください。

公表停止トリガーの場合、LIBOR の公表が恒久的に停止した時点以降に行われる金利更改から後継金利(フォールバック・レート+スプレッド)にもとづくことが想定されます。

LIBORとフォールバック・レート間には、差異が生じますか。またその差異はどのように調整するのか教えてください。

一般的に、LIBORとフォールバック・レートの間には金利の性質の違い等により差異(スプレッド)があるため、フォールバックによって、一方の当事者には利益が生じ、他方の当事者には損失(価値の移転)が発生する可能性があります。

そのため、価値の移転を最小化するには、LIBORとフォールバック・レートの間の差異の調整(スプレッド調整)を行うことが求められます。

例えば、フォールバック・レートとして(過去の金利の水準がLIBORより高く推移してきている)TIBORを選択した場合、スプレッド調整の手法によっては、スプレッドがマイナスとなる可能性があります。

なお、スプレッド調整は可能な限り「価値の移転」を最小化することを目的とするものの、価値の移転を完全に排除できるわけではない点には留意が必要です。(スプレッド調整については、LIBOR特設ページ「企業に必要となる対策」の「『フォールバック』にあたっての留意事項」もあわせてご確認ください。) 

キャッシュ商品(貸出・債券等)における、LIBORとフォールバック・レートの間の差異の調整(スプレッド調整)の方法について教えてください。

2020年8月に公表された「日本円金利指標に関する検討委員会」の第2回市中協議において、キャッシュ商品の円LIBORのフォールバック・レートとしてターム物リスク・フリー・レート(RFR)あるいはO/N RFR複利(後決め)を参照する場合については、英米の検討体やISDAによる検討結果と同様に、過去5年間の中央値にもとづく方法(過去5年中央値アプローチ)を採用することが適当と整理されています。

なお、TIBORをフォールバック・レートとして参照する場合のスプレッド調整の方法については、今後、継続的に検討が行われる予定とされています。

デリバティブにおける、LIBORとフォールバック・レートの間の差異の調整(スプレッド調整)の方法について教えてください。

国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)が制定するISDAマスター契約に準拠するデリバティブに関しては、ISDAが今後改定予定の2006年版定義集において、フォールバックに関する規定が組み入れられることとされており、スプレッド調整の方法についても明文化される予定です。

このスプレッド調整の方法としては、ISDAが市中協議を通じて意見募集を行い、幅広い市場参加者の意見を踏まえた結果、直近の市場環境を反映させる観点や、恣意性等が極力働かないようにする観点から、「過去5年間の中央値」による方法が最も多くの支持を得ています。

フォールバック条項の導入はどのような方法がありますか。

フォールバック条項の導入手続としては、フォールバック条項導入時に、契約の枠組みやフォールバックの発動条件(トリガー)等に加え具体的に後継金利を定める「ハードワイヤードアプローチ」と、フォールバック条項導入時には後継金利を定めず、後継金利についてはトリガー発動時に決定する「修正アプローチ」が考えられます。

修正アプローチについては、契約締結後の市場動向を踏まえて後継金利を選択できるメリットがある一方、フォールバック条項の導入時点とトリガー発動時点の2回、交渉や社内の意思決定手続等を行う必要があります。

「日本円金利指標に関する検討委員会」の取りまとめ報告書では、貸出においては「ハードワイヤードアプローチ」が多くの支持を集めた一方、「修正アプロ―チ」も一定数から支持され、債券においては「ハードワイヤードアプローチ」が強く支持されました。

代替金利指標としてO/N RFR複利(後決め)を利用する場合、事務面への影響はありますか。

LIBORからO/N RFR複利(後決め)へ移行した場合、金利決定から決済日までの日数が大幅に短縮されます。この金利の場合、約定時には金利が確定しないことから、金利確定後、利払日までの営業日数が短く、金利通知書等を受領する前に、支払いをしなければならない可能性もあります。

また、金利の支払いが決算期をまたぐ場合、経過勘定(未払利息)の計上について、検討する必要があります。

代替金利指標としてO/N RFR複利(後決め)を利用する場合、利息の計算方法(コンベンション)は標準化されていますか。

現時点でいくつかの方法が検討されています。今後、グローバルな動向や市場の情勢等に十分に留意する必要があります。

例えば、適用金利が確定するタイミングから金利支払い日までの期間を十分に確保する手段として、金利の参照期間を数営業日短縮する「Lock out方式」のほか、金利の参照期間と金利の計算期間を一致させ、金利支払日を後倒しする「Delay方式」、金利の計算期間全体を数営業日前倒し、当該期間に対して複利計算する「Backward-shift方式」、金利の参照期間と金利の計算期間の日数を一致させ、金利の参照期間を数営業日前にスライドする「Lookback方式」といった方法が検討されています。

グローバルでは主に商品別に検討がなされており、ISDAデリバティブのフォールバックでは「Backward-shift方式」に類似した手法が、またARRCからは2020年7月、SOFRを参照するシ・ローンについて、「Lookback方式」が提示されています。

LIBORの恒久的な公表停止に関して、貸出契約書類の記載について標準化されていますか。

当協会において、金融機関や一般事業法人等の関係者からのヒアリング結果のほか、グローバルな議論や本邦の実務慣行等も踏まえ、相対貸出のフォールバック条項の参考例(サンプル)を作成し、2020年3月に初版を公表しています(7月に一部補訂)。

ただし、当該参考例は、あくまでも一つのサンプルとして取りまとめているに過ぎず、ひな型のような何らかの定型的な書式を定める目的はありません。したがって、各金融機関の契約書において、当事者間で十分協議のうえ、必要に応じて修正して利用されることが想定されています。

今後、現在実施されている「日本円金利指標に関する検討委員会」の第2回市中協議の取りまとめにおけるフォールバックに関する整理内容や、昨今の国際情勢の変化等を踏まえ、適宜アップデートしていく予定です。

貸出のフォールバックについて、円LIBORのフォールバック・レートとして、どのようなレートが推奨されていますか。

「日本円金利指標に関する検討委員会」が2020年8月に公表した第2回市中協議では、検討委員会傘下の貸出サブグループにおいて、グローバルな平仄やリスク・フリー・レート(RFR)をベースとした金利への選好等の観点から最大の支持を獲得した以下のウォーターフォール構造にもとづくフォールバック・レートが検討委員会として推奨されています。

なお、当事者間の合意により、推奨内容と異なる内容の契約を締結することは当然に妨げられていません。

この点、第2回市中協議では、第2順位を(O/N RFR複利(後決め)ではなく、)「TIBOR」とするウォーターフォール構造についても、スプレッド調整の方法について整理されることを前提に、現行の事務・システムとの親和性、当事者の体制整備への配慮の観点等から一定の支持を獲得したことが指摘されています。

 

【貸出のフォールバック・レート】

第1順位:ターム物リスク・フリー・レート

第2順位:O/N RFR複利(後決め)

第3順位:貸付人が、〔関連監督当局等による推奨内容又は市場慣行を適切に考慮したうえで〕適当と認め、借入人に通知するレート

貸出とデリバティブとでフォールバック・レートが異なる可能性があるということですが、具体的にどのように異なるのか、教えてください。

貸出では、当事者間の合意によって、フォールバック・レート(例えば、ターム物リスク・フリー・レートやO/N RFR複利(後決め)など)が決まりますが、国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)が制定するISDAマスター契約に準拠するデリバティブでは、標準的なフォールバック・レートは(異なる取り決めがなされない限り)O/N RFR複利(後決め)となるため、当事者間の合意内容次第では両者で異なる可能性があります。

債券のフォールバック条項の導入事例におけるフォールバック・レートの決定方法について教えてください。

あらかじめフォールバック・レートをウォーターフォール形式で定めておきつつ、フォールバックの発動条件(トリガー)への該当時点において、発行体の判断により金利を決定する旨を盛り込んだ社債が起債されています。

なお、「当社が自らの費用負担により選任する国際的に定評のある独立した金融機関又は国際資本市場における実績を有するその他の独立したアドバイザー」にフォールバック・レート等の決定を委ねることを認める旨を盛り込んだ社債も起債されています(このように、フォールバック条項の導入時点でフォールバック・レート等を指定していない場合、トリガー発動時に独立アドバイザーの対象候補や選任等のプロセスがあらかじめ明確化されているか等については留意する必要があります)。

債券のフォールバックについて、円LIBORのフォールバック・レートとして、どのようなレートが推奨されていますか。

「日本円金利指標に関する検討委員会」が2020年8月に公表した第2回市中協議では、検討委員会傘下の債券サブグループにおいて、会計等の制度面や海外検討体等での検討、あるいはセカンダリー市場での流動性確保の観点からフォールバックの内容について標準化を進めることが重要との考え方のもと検討が行われました。

その結果、プレーンな債券について、最大の支持を獲得した以下のウォーターフォール構造にもとづくフォールバック・レートが検討委員会として推奨されています。

なお、証券化商品や仕組債等では商品特性に応じた内容を定めることが合理的であるケースも想定されるほか、プレーンな変動利付債を含め、当事者間の合意により推奨内容と異なる内容の契約を締結することは妨げられていません。

 

【債券のフォールバック・レート】

第1順位:ターム物リスク・フリー・レート

第2順位:O/N RFR複利(後決め)

第3順位:当局関連委員会により推奨された指標

第4順位:代替されるべき指標のフォールバック・レートとしてISDA定義集が定めるもの

第5順位:発行体等が選定する指標

何等かのフォールバックに関する事項が既存の社債要項に規定されていれば、当該債券について契約変更など特段の対応は不要と理解してよいですか。

多くの債券にすでに導入されている参照金利の「一時的な公表停止」に関するフォールバック条項では不十分であり、参照金利をLIBORから代替金利指標に変更するか、恒久的な停止に備えたフォールバック条項を導入する必要があります。ただし、そうした社債要項の内容変更を行う場合は、原則として社債権者集会の決議が必要と考えられます。

貸出・債券等とデリバティブ間でヘッジ会計を適用していますが、移行やフォールバックに伴い、両者の間で異なる金利を参照した場合もしくは金利の変更タイミングにずれが生じた場合、ヘッジ会計は維持されますか。

企業会計基準委員会(ASBJ)では、本邦の会計基準におけるヘッジ会計の取扱い等について検討が進められています。

具体的には、企業会計基準委員会(ASBJ)では、国際会計基準審議会(IASB)や米国財務会計基準審議会(FASB)等の議論の動向等を踏まえながら議論が進捗しており、2020年6月に実務対応報告公開草案第59号「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い(案)」が公表されています。

公開草案では、金利指標改革に起因して公表が停止される見通しであるLIBORを参照する金融商品の金利指標を置き換える場合について、適用範囲を一定の範囲に限定したうえで、ヘッジ会計の適用を継続すること等の特例的な取扱いを認める方向性が示されています。

こうした検討内容を踏まえ、今後の対応方針について会計監査人等に相談しておくことをおすすめいたします。

例えば、米国では、LIBORの代替金利指標やフォールバック・レートとしては、どのような検討がなされているのか、教えてください。

米国では、リスク・フリー・レート(RFR)としてSOFR(Secured Overnight Financing Rate)が特定されており、SOFR複利(後決め)への移行が進んでいます。

米国における検討体であるARRC(代替参照金利委員会)が公表しているキャッシュ商品(貸出、債券等)のフォールバック条項の推奨文言では、ウォーターフォールの第一階層として「ターム物SOFR」が設定されています。また、第二階層は、貸出においては「SOFRの単利(後決め)」、債券においては「SOFRの複利(後決め)」がそれぞれ推奨されています。

なお、貸出(シ・ローン)における利息の計算方法(コンベンション)としては、金利の参照期間を数営業日前にスライドする「Lookback方式」が提示されています。

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