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LIBOR公表停止のリスク管理は大丈夫ですか?
必要となる対策とLIBORに代わる
金利指標について解説します。

更新情報

2020年10月30日 更新 国内外における動向を更新しました(10/22時点)
2020年10月16日 更新 国内外における動向を更新しました(10/9時点)
2020年10月 2日 更新 国内外における動向を更新しました(9/21時点)
2020年9月30日 更新 Q&Aページを更新しました(2020年8月末時点)
2020年9月18日 更新 国内外における動向を更新しました(9/10時点)

あなたの企業では、お取引においてLIBORを利⽤していませんか?

LIBORは、貸出・債券・デリバティブなど幅広い金融商品・取引において利用されている金利指標であり、
グローバルな契約金額は約220兆ドル(2014年)に及ぶとの調査結果もあります。
しかし、LIBORは、様々な課題があり、2021年末にも恒久的に公表が停止する懸念が高まっています。
停止後は契約等において利用ができなくなります。
あなたの企業が契約しているお借入取引等の金融取引でLIBORを利用していませんか?
まずは、金融機関とのご契約内容を確認してみましょう。
もし、LIBORを利用していた場合は、ご契約内容の変更等が必要となります。
取引金融機関の担当者にご相談のうえ、2021年末を待たず、できる限り早期に準備・対策しておくことが大切です。

LIBORの恒久的な公表停⽌について

LIBORとはなんですか?

LIBOR(ライボー)とは、「London Interbank Offered Rate」の略称で、ロンドン市場での⾦融取引における銀⾏間取引⾦利のことです。 主要な5通貨(⽶ドル・英ポンド・スイスフラン・ユーロ・⽇本円)について公表されており、様々な⾦融取引における参照指標として利⽤されています。このうち⽇本円通貨のLIBORは「円LIBOR」と呼ばれています。 なお、LIBORと同様の銀⾏間取引の⾦利指標としては、東京市場での銀⾏間取引⾦利であるTIBOR(タイボー。Tokyo Interbank Offered Rate)や、欧州市場での銀⾏間取引⾦利であるEURIBOR(ユリボー。Euro Interbank Offered Rate)などがあり、これらを総称して「IBORs」(アイボーズ)と呼びます。

なぜLIBORの存続が懸念されているのですか?

2017年7⽉、LIBORを監督している英国⾦融⾏為規制機構(FCA)のベイリー⻑官は、①LIBORを算出する際の基礎となるホールセール無担保資⾦市場における取引が⼗分に活発でないこと、②LIBORの算出基礎となるレートを呈⽰するパネル⾏が、⼗分な取引の裏付けがないレートの呈⽰を継続することに不安を覚えていることを理由として、2021年末以降はLIBORのパネル⾏に対して、レート呈⽰の強制権を⾏使しないことを表明しました。 これにより、2021年末以降にパネル⾏がレート呈⽰を⾏わなくなる可能性があり、LIBORの公表が恒久的に停⽌する可能性が⾼まっています。

LIBORの存続懸念が⽣じたのち、本邦ではどのような検討がなされてきましたか?

本邦での主な検討経緯

2018年8⽉: 「⽇本円⾦利指標に関する検討委員会」(以下「検討委員会」といいます。)設⽴
⽇本銀⾏を事務局とする検討委員会が設⽴されました。検討委員会のメンバーは、円⾦利指標に関わる⾦融機関・機関投資家・事業法⼈等の幅広い⾦融市場参加者で構成されています。
2019年7⽉: 検討委員会が市中協議⽂書を公表
検討委員会は、円LIBORに代わる円⾦利指標の適切な選択と利⽤に関する基本的な考え⽅や具体的課題のほか、2021年末という時限性を意識した対応の⽅向性などについて、市中協議⽂書を公表しました。
2019年11⽉: 検討委員会が市中協議の取りまとめ報告書(以下「取りまとめ」といいます。)を公表
市中協議に対して寄せられた意⾒にもとづく報告書が公表されました。取りまとめでは、円LIBORに代わる5つの⾦利指標の選択肢について、⾦融商品や取引の特性に応じて具体的な評価が⽰されました。
⇒検討委員会をはじめ、当協会を含む各業界団体や各⾦融機関等において、対応⽅法等について継続検討。

LIBORの恒久的な公表停⽌に備えて、まずはどのような準備が必要となりますか?

まずは、LIBORの公表停⽌に備えた対応としてどのような⼿続きが必要なのか、また、LIBORの代わりとなる⾦利指標である「代替⾦利指標」について知っておく必要があります。
そのうえで、2021年末という時限を意識して、取引⾦融機関の担当者にご相談いただきながら、代替⾦利指標を利⽤するための⼿続きや、ご契約条件の変更等の各種⼿続きやその準備を全社的にお願いいたします。 詳細は、「企業に必要となる対策」、「LIBORに代わる⾦利指標について」をご参照ください。

企業に必要となる対策

LIBORを利⽤する契約への対応 〜「移⾏」と「フォールバック」〜

「移行」とは?

例えば、新規のお借⼊の際に、取引⾦融機関の担当者とご相談のうえ、LIBORに代わる⾦利指標(代替⾦利指標)を利⽤する条件でご契約を締結することが考えられます。

「フォールバック」とは?

例えば、期⽇が2021年末を超えるご契約において、お客様と取引⾦融機関との間であらかじめ代替⾦利指標(フォールバック・レート)やスプレッドの調整について合意し、その内容に沿ったフォールバック条項を導⼊しておくことが考えられます。

LIBORを利⽤しているご契約への対応としては、「移⾏」と「フォールバック」の⼤きく2通りが考えられます。

LIBORの恒久的な公表停⽌の影響を受けないよう、可能な限り、フォールバック条項の導⼊ではなく「移⾏」を進めていくことが重要です。

「フォールバック」にあたっての留意事項
〜「価値の移転」と「スプレッド調整」〜

※LIBORとスプレッド調整後の後継金利は完全に一致するとは限りません。

フォールバック・レートとは、フォールバック時にLIBORの代わりに参照する金利のことです。円LIBORに代わる金利指標(代替金利指標)としては主に4つの選択肢があります(後述参照)。

LIBORとフォールバック・レートは、通常、金利水準が一致しません。すなわち差異(スプレッド)があります。そのため、フォールバック時に、一方の当事者にとっては利益が生じ、他方の当事者にとっては損失が発生するという「価値の移転」が生じる可能性があります。 こうした「価値の移転」をできるだけ最小化する(代替金利指標の選択によって有利・不利がないようにする)手続きとして、「スプレッド調整」をする必要があります(スプレッド調整についてはQ&Aをご参照)。

フォールバック時のスプレッド調整の値は、例えば、LIBORの公表主体がLIBORの恒久的な公表停止を発表した場合など、一定の発動条件(トリガー)に該当した場合に確定します(トリガーについてはQ&Aをご参照)。そして、スプレッド調整後の金利(フォールバック・レート+スプレッド)を、「後継金利」といいます。

検討委員会では、スプレッド調整の計算方法として、過去の一定期間における、円LIBOR とフォールバック・レートの差の平均値または中央値にもとづいて計算する方法が支持されています。この方法は、計算・検証も簡易であるほか、市場操作や市場の歪みの影響を受けにくいといった利点があります。

契約上必要な手続きの確認フロー

契約上必要な手続きの確認フロー(イメージ)

※2021年より前に、LIBORの公表が停止される等、LIBORが利用できなくなる可能性もありますので、余裕をもって準備いただく必要があります。

以下のフロー図をご活用いただき、お客様のご契約において必要なお手続きをご確認ください(以下は一例であり、お取引の種類や契約形態等により対応プロセスが異なる場合がありますのでご留意ください)。

LIBORの恒久的な公表停⽌の影響を受けないよう、可能な限り、フォールバック条項の導⼊ではなく「移⾏」を進めていくことが重要です。

契約のお⼿続きに関する詳細については、別途、Q&Aもご参照ください。
【注】各⾦融機関においてもLIBORの公表停⽌に備え、順次、対応を進めています。実際のご対応に当たっては、取引⾦融機関の担当者とご相談のうえ、お⼿続きを進めていただきますようお願いします。

企業における対策のポイント・進め⽅

2021年末という時限を意識して、まずはLIBORを利⽤している契約を洗い出すなど、現状を把握する必要があります。 そのうえで、取引⾦融機関の担当者とご相談いただきながら影響評価を進め、契約変更のお⼿続きのみならず、①経営・全社レベルの対応、②部⾨別の対応、を並⾏して実施していく必要があります。

1. 経営・全社レベルの対応 2. 部門別の対応
  • 社内資源(要員、予算等)の確保
  • 社内教育・社内啓蒙
  • LIBORを参照する金融商品・取引等の原契約および条文の特定
  • LIBORを利用している業務の特定(例:財務会計、管理会計等)
  • 専門的に対応する部署や責任者の設置
  • 対応方針の特定
[財務・経理部門]
  • 契約内容の変更手続き
  • 財務会計上の課題の抽出・特定、方策の検討
  • 監査法人を交えた検討
  • 社債権者集会の開催準備等(発行している債券にフォールバック条項を導入する場合等)
[システム部門・事務部門] 
  • システム開発に関する検討
  • フォールバック時の事務フロー等の検討
[リスク管理部門]
  • LIBORを利用している各種モデルの修正、リスク管理方法の再構築の検討

 

LIBORに代わる⾦利指標について

代替⾦利指標とは?

代替⾦利指標とは、LIBORに代わりうる⾦利指標のことです。 検討委員会では、リスク・フリー・レート(RFR、後述参照)ベースの⾦利指標と、銀⾏間取引の⾦利指標であるTIBOR(東京銀⾏間取引⾦利)を代替⾦利指標の候補として検討が進められました。各企業においては、取引⾦融機関とご相談のうえ、「移⾏」や「フォールバック」において利⽤する代替⾦利指標を選択する必要があります。 検討委員会において⼀定の⽀持を得ている、円LIBORの代替⾦利指標の主な選択肢と特徴は下表のとおりです。

項目 O/N(オーバーナイト)  RFR(リスクフリーレート)
複利(後決め)
ターム物RFR
金利(スワップ)
ターム物RFR
金利(先物)
TIBOR
金利指標が依拠
するレート
無担保コール
O/N物レート
日本円OIS
(無担保コールO/N 物レートを利用)
無担保コール
O/N金利先物
TIBOR
金利決定の
タイミング
(前決め/後決め)
後決め
(金利支払日の直前)
前決め
(金利適用開始時点)
前決め
(金利適用開始時点)
前決め
(金利適用開始時点)
利用可能性
(2019年12月時点)
利用可 ※ただし、事務システム面で課題あり (2021年半ばまでを目途に構築予定) (東京金融取引所において、無担保コールO/N金利先物の取引再開に向けて検討中) 利用可 ※他通貨では、米ドルや英ポンド等IBOR系指標がない通貨も存在

【注】上記の他に、O/N RFR複利(前決め)もありますが、⾦利の参照期間と計算期間が⼀致しないことから、市場実勢との乖離が⽣じうるとして検討委員会の取りまとめでは⽀持を得られていません。

検討委員会の取りまとめでは、ターム物RFR金利が代替金利指標として最大の支持を得たことから、構築に向けて検討が進められています。また、貸出におけるTIBORや、債券におけるO/N RFR複利(後決め)の利用についても、それぞれ課題は指摘されていますが、相応に支持を得ています。

※米ドルや英ポンドにおける代替金利指標の状況をみると、事務・システム面での課題がやはり指摘されてはいるものの、O/N RFR複利(後決め)を利用した商品が出てきています。なお、ターム物RFR金利は現段階では構築されていません。

RFRとは?RFRとLIBORの違いは?

LIBORやTIBOR(東京銀⾏間取引⾦利)は、⾦融機関が資⾦を調達する際のコストであるクレジット・リスクプレミアム等を含む⾦利指標です。3か⽉物・6か⽉物などがあり、期間構造を持っています。 ⼀⽅、リスク・フリー・レート(RFR)は、クレジット・リスクプレミアム等をほぼ含まない⾦利指標です。⽇本円においては「無担保コールO/N物レート」がRFRに該当します。 ただし、RFRは翌⽇物⾦利であり期間構造を持っていません。このため、LIBORの代替⾦利指標として利⽤する場合には、⽇次の複利計算やRFRの先⾏きの⾒通しを⽰すデリバティブをもとにターム物⾦利を導出するといった対応が必要となります。また、クレジット・リスクプレミアムについても⼀定の調整が⽣じると考えられます。 ⾦利指標の選択と利⽤に当たっては、⾦利変動時やストレス時の動きを含む過去の⾦利の推移をもとに、その特徴を⼗分に踏まえる必要があります。例えば、⾦融危機時には銀⾏のクレジット・リスクプレミアムが⾼まったため、LIBORやTIBORとRFRをベースとした⾦利との開きが⼤きくなっています。

 

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当サイトに掲載の図版およびデータは、日本円金利指標に関する検討委員会「日本円金利指標の適切な選択と利用等に関する市中協議のポイント」(2019年7月公表)より作成、一部加工したものです。