
総合財務諸表 [44 KB]
平成14年1月15日
全国銀行協会
金融調査部
全国銀行(注1)の平成13年度中間決算をみると、資金運用益は、4兆9,252億円(前中間期比2,529億円、5.4%増)と前中間期の減益から増益に転じた。
内訳をみると、資金運用収益は、会計基準の変更(注2)により金利スワップ受入利息が大幅に減少したことに加え、貸出金利息等も減少したことから7兆5,304億円(同1兆269億円、12.0%減)となった。資金調達費用は、同様の理由により金利スワップ支払利息が大幅に減少したことに加え、預金利息も減少したことから2兆6,052億円(同1兆2,798億円、32.9%減)となった(資金運用益=資金運用収益-資金調達費用)。
なお、業務純益は、資金運用益が増加したことに加え、国債等関係損益(5勘定尻)の収益超過額が大幅に増加したことなどから、2兆7,858億円(同4,444億円、19.0%増)の大幅な増益になり、2年連続の増益となった。
経常利益は、1兆3,139億円の赤字となり、前中間期の黒字(1兆1,380億円)から赤字に転じた。
これは、①株式等売却益の大幅な減少に加え、減損処理などにより株式等償却が大幅に増加したことから株式等関係損益(3勘定尻)が大幅な損失超過に転じたこと、②不良債権処理の更なる促進を図るため、自己査定の厳格化や前倒し処理を積極的に進めたことから貸出金償却が増加したことなどによる。
中間利益は、法人税等調整額6,156億円が増益要因となったものの、9,886億円の赤字となり、前中間期の黒字(3,777億円)から赤字に転じた。
(第1表)損益状況 (単位:億円、%)
平成13年度中間期 (134行ベース) | 平成12年度中間期 (136行ベース) | ||||
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当期計数 | 前中間期比 | 増減率 | 当期計数 | 増減率 | |
経常収益 | 107,110 | △15,241 | △12.5 | 122,437 | △11.9 |
経常費用 | 120,249 | 9,274 | 8.4 | 111,057 | △13.4 |
経常利益 | △13,139 | △24,515 | - | 11,380 | 6.5 |
(業務純益) | (27,858) | (4,444) | (19.0) | (23,428) | (4.8) |
特別利益 | 1,524 | △3,467 | △69.5 | 4,995 | 349.2 |
特別損失 | 2,108 | △5,513 | △72.3 | 7,621 | 387.2 |
税引前中間利益 | △13,723 | △22,469 | - | 8,754 | △14.4 |
法人税・住民税・事業税 | 2,319 | △1,693 | △42.2 | 4,013 | 27.4 |
法人税等調整額 | △6,156 | △7,117 | - | 964 | △40.9 |
中間利益 | △9,886 | △13,659 | - | 3,777 | △30.7 |
平成13年9月末におけるリスク管理債権の総額(破綻先債権額、延滞債権額、3カ月以上延滞債権額、貸出条件緩和債権額)は、33兆2,690億円(前期末比3兆3,787億円、11.3%増)となった。
また、貸出金総額に占める割合は、0.83%ポイント上昇して、7.14%となった。
(第2表) リスク管理債権額(銀行勘定)(単位:億円、%)
平成13年度中間期(13年9月末) (134行ベース) | 平成13年3月末 (136行ベース) | |||
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当期計数 | 前期末比(注) | 増減率 | 当期計数 | |
破綻先債権額 | 27,509 | △868 | △3.1 | 28,417 |
延滞債権額 | 177,954 | 11,540 | 6.9 | 167,634 |
3カ月以上延滞債権額 | 6,946 | 483 | 7.5 | 6,468 |
貸出条件緩和債権額 | 120,280 | 22,633 | 23.2 | 97,720 |
リスク管理債権総額 | 332,690 | 33,787 | 11.3 | 300,241 |
(貸出金総額に対する比率) | (7.14) | (0.83) | (6.33) |
(参考)金融再生法第7条に基づく「資産の査定」額(銀行勘定)(単位:億円、%)
平成13年度中間期(13年9月末) (134行ベース) | 平成13年3月末 (136行ベース) | |||
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当期計数 | 前期末比 | 増減率 | 当期計数 | |
破産更生債権 | 69,548 | 851 | 1.2 | 69,731 |
危険債権 | 148,883 | 8,141 | 5.8 | 141,487 |
要管理債権 | 124,408 | 24,773 | 24.9 | 99,712 |
正常債権 | 4,722,576 | △128,663 | △2.7 | 4,854,599 |
国内業務部門の利回りをみると、貸出金利回りおよび預金債券等原価がともに低下したものの、貸出金利回りの低下幅が預金債券等原価の低下幅を上回ったことから、預貸金利鞘は、0.57%と前中間期比0.01%ポイント縮小した。
一方、総資金利鞘は、資金運用利回りおよび資金調達原価がともに低下したものの、資金調達原価の低下幅が資金運用利回りの低下幅を上回ったことから、0.37%と前中間期比0.01%ポイント拡大した。
(第3表) 資金運用利回り・資金調達原価および利鞘(国内業務)(単位:%、ポイント)
13年度中間期 (134行ベース) | 前中間期比 | 12年度中間期 (136行ベース) | |
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貸出金利回り(A) | 2.05 | △0.04 | 2.09 |
有価証券利回り | 1.28 | △0.11 | 1.39 |
コールローン等利回り | 0.34 | 0.04 | 0.30 |
資金運用利回り(B) | 1.82 | △0.12 | 1.94 |
預金債券等利回り | 0.26 | 0.00 | 0.26 |
預金利回り | 0.23 | 0.01 | 0.22 |
経費率 | 1.22 | △0.04 | 1.26 |
人件費率 | 0.56 | △0.03 | 0.59 |
物件費率 | 0.60 | 0.01 | 0.59 |
預金債券等原価(C) | 1.48 | △0.03 | 1.51 |
コールマネー等利回り | 0.58 | △0.31 | 0.89 |
資金調達原価(D) | 1.45 | △0.13 | 1.58 |
預貸金利鞘(A)-(C) | 0.57 | △0.01 | 0.58 |
総資金利鞘(B)-(D) | 0.37 | 0.01 | 0.36 |
預金は、国内業務部門では、金融機関預金および公金預金が減少したものの、個人預金および一般法人預金が流動性預金を中心に増加したことから小幅な増加となった。他方、国際業務部門は大幅な減少となった。この結果、預金全体では、508兆412億円(前期末比3兆4,913億円、0.7%減)と3年ぶりに減少となった。
譲渡性預金は、50兆3,027億円(同2兆2,042億円、4.6%増)と6年ぶりに増加となった。
貸出金は、国内業務部門では、住宅ローンを中心に個人向け貸出が増加したものの、企業向け貸出が不良債権に係る償却等が多額となったことや資金需要が引き続き低迷したこともあって、国内業務全体では微減となった。また、国際業務部門も減少となった。この結果、貸出金全体では、466兆612億円(前期末比8兆205億円、1.7%減)と6年連続の減少となった。
有価証券は、株式および国債が大幅に減少したことから、160兆6,464億円(同15兆8,242億円、9.0%減)と減少となった。
赤字決算に伴い多くの銀行が剰余金の取崩を行ったことに加え、株式市況の低迷による「その他有価証券」の評価差額金が1兆2,308億円となった。この結果、資本の部合計は32兆1,200億円(前期末比4兆5,414億円、12.4%減)となった。
(第4表) 主要勘定(末残)(単位:億円、%)
平成13年度中間期(13年9月末) (134行ベース) | 平成12年度中間期 (136行ベース) | |||||
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前期末比 | 前中間期末比 | 前期末比 | 前中間期末比 | |||
増減額 | 増減率 | 増減額 | 増減率 | 増減率 | 増減率 | |
預金 | △34,913 | △0.7 | 30,461 | 0.6 | 2.0 | 0.7 |
譲渡性預金 | 22,042 | 4.6 | 150,365 | 42.6 | △14.5 | 15.4 |
債券 | △16,582 | △7.6 | △32,525 | △13.9 | △4.4 | △6.4 |
貸出金 | △80,205 | △1.7 | △59,030 | △1.3 | △0.8 | △0.8 |
有価証券 | △158,242 | △9.0 | 20,542 | 1.3 | 16.1 | 16.3 |
総資産 | △306,641 | △3.8 | 162,801 | 2.2 | 2.4 | 1.4 |
国際統一基準採用行(24行)をみると、単体ベース、連結ベースともに全行が8%以上であった。
国内基準採用行(110行)をみると、単体ベースは108行、連結ベースは103行ともに全行が4%以上であったが、2行のみ単体・連結ともに4%未満であった。
(第5表) 自己資本比率(単位:行)
平成13年9月末 (134行ベース) | 13年3月末 (136行ベース) | 12年3月末 (137行ベース) | |||
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国際統一基準 | 単体 | 8%以上 | 24 | 26 | 27 |
8%未満 | 0 | 0 | 0 | ||
連結 | 8%以上 | 24 | 26 | 27 | |
8%未満 | 0 | 0 | 0 | ||
国内基準 | 単体 | 4%以上 | 108 | 110 | 109 |
4%未満 | 2 | 0 | 1 | ||
連結 | 4%以上 | 103 | 105 | 104 | |
4%未満 | 2 | 0 | 1 |
営業経費は、リストラ等経営全般にわたる合理化・効率化を進めたことにより人件費が減少したものの、一部で経営統合に係る物件費が増加したことから、前中間期比237億円、0.7%増となった。
職員数・店舗数をみると、リストラの進展等から職員数は前中間期末比4.6%減、店舗数も同1.1%減とそれぞれ減少した。
(第6表)営業経費・職員数・店舗数
(1)営業経費 (単位:億円、%)
平成13年度中間期 (134行ベース) | 前中間期比 | 増減率 | 平成12年度中間期 (136行ベース) | |
---|---|---|---|---|
営業経費 | 35,844 | 237 | 0.7 | 35,652 |
(2)職員数・店舗数(単位:人、店、%)
平成13年9月末 (134行ベース) | 前中間期末比 | 増減率 | 平成12年9月末 (136行ベース) | |
---|---|---|---|---|
職員数 | 349,280 | △16,706 | △4.6 | 366,769 |
店舗数 | 15,123 | △164 | △1.1 | 15,355 |
以上
経常利益は、1兆2,457億円の赤字となり、前年度の黒字(1兆3,939億円の黒字)から赤字に転じた。
中間純利益は、8,318億円の赤字となり、前年度の黒字(4,147億円の黒字)から赤字に転じた。
(第1表) 連結損益状況 (単位:億円、%)
平成13年度中間期 (123行ベース) | 平成12年度中間期 (127行ベース) | |||
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計数 | 前中間期比 | 増減率 | 計数 | |
経常収益 | 128,489 | △15,384 | △10.7 | 144,191 |
資金運用収益 | 80,556 | △9,480 | △10.5 | 90,286 |
役務取引等収益 | 13,140 | 626 | 5.0 | 12,545 |
経常費用 | 140,946 | 11,433 | 8.8 | 130,251 |
資金調達費用 | 29,777 | △12,109 | △28.9 | 41,942 |
役務取引等費用 | 3,285 | 170 | 5.5 | 3,123 |
経常利益 | △12,457 | △26,817 | - | 13,939 |
税金等調整前中間純利益 | △12,141 | △23,999 | - | 11,440 |
法人税・住民税・事業税 | 3,183 | △1,982 | △38.4 | 5,167 |
法人税等調整額 | △7,193 | △8,624 | - | 1,439 |
中間純利益 | △8,318 | △12,892 | - | 4,147 |
平成13年9月末における銀行勘定のリスク管理債権の総額(破綻先債権額、延滞債権額、3カ月以上延滞債権額、貸出条件緩和債権額)は、34兆1,527億円、(前期末比3兆3,173億円、10.8%増)となった。
また、貸出金総額に占める割合は、0.82%ポイント上昇して、7.23%となった。
平成13年9月末 (123行ベース) | 平成13年3月末 (125行ベース) | |||
---|---|---|---|---|
計数 | 前期末比 | 増減率 | 計数 | |
破綻先債権額 | 28,693 | △1,168 | △3.9 | 29,901 |
延滞債権額 | 184,162 | 10,468 | 6.0 | r |
3カ月以上延滞債権額 | 7,539 | 694 | 10.1 | 174,914 |
貸出条件緩和債権額 | 121,132 | 23,178 | 23.7 | 6,849 98,026 |
リスク管理債権総額 | 341,527 | 33,173 | 10.8 | r 309,692 |
(貸出金総額に対する比率) | (7.23) | (0.82) | (6.44) |
(第3表)連結主要勘定(末残)(単位:億円、%)
平成13年9月末 (123行ベース) | 平成13年3月末 (125行ベース) | |||
---|---|---|---|---|
計数 | 前期末比 | 増減率 | 計数 | |
預金 | 5,108,270 | △35,109 | △0.7 | 5,148,183 |
譲渡性預金 | 503,706 | 21,479 | 4.5 | 482,385 |
債券 | 207,133 | △16,888 | △7.5 | r 224,022 |
コールマネー等 | 311,011 | △60,944 | △16.4 | r 371,956 |
借用金 | 148,496 | △12,607 | △7.8 | 161,107 |
調達勘定計 | 6,278,618 | △104,070 | △1.6 | 6,387,654 |
負債合計 | 7,607,536 | △263,336 | △3.3 | 7,876,477 |
資本合計 | 308,282 | △41,617 | △11.9 | 350,053 |
貸出金 | 4,722,032 | △83,073 | △1.7 | 4,809,468 |
有価証券 | 1,588,967 | △154,188 | △8.8 | 1,743,654 |
コールローン等 | 110,855 | △40,228 | △26.6 | 151,083 |
運用勘定計 | 6,421,855 | △277,489 | △4.1 | 6,704,206 |
資産合計 | 7,943,449 | △304,605 | △3.7 | 8,253,814 |
営業活動によるキャッシュ・フローは、4兆2,530億円の支出となり、投資活動によるキャッシュ・フローは、7兆4,776億円の収入となった。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、6,122億円の支出となった。
この結果、現金及び現金同等物期末残高は、16兆9,222億円となった。
平成13年中間期 (123行ベース) | |
---|---|
営業活動によるキャッシュ・フロー | △42,530 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | 74,776 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △6,122 |
現金及び現金同等物期末残高(13年9月末) | 169,222 |
以上