平成16年12月27日
全国銀行協会

全国銀行の平成16年度中間決算の状況(単体ベース)
<要 旨>

1.資金運用益
資金運用益(資金運用収益-資金調達費用)は、4兆3,824億円(前中間期比1,655億円、3.6%減)と、減益となった。
これは、金利低下のもと運用量の減少等により資金運用収益が資金調達費用を上回って減少したことによる。
2.業務純益
業務純益は、3兆9,622億円(同8,801億円、28.6%増)と、増益となった。
これは、資金運用益や国債等債券関係益が減益となったものの、役務取引等利益の増加や経費の減少に加え、一般貸倒引当金が大幅な取崩超となったこと等による。ただし、一般貸倒引当金繰入額を除いた実質業務純益ベースでは、若干の減益となった。
3.経常利益
経常利益は、1兆587億円(同7,947億円、301.1%増)となり、増益となった。
これは、不良債権処理が進展し、貸出金償却等を中心に処理費用が大幅に減少したこと等による。
4.中間純利益
中間純利益は、4,006億円の黒字となり、前中間期の赤字(5,951億円)から黒字に転じた。
これは、経常利益が大幅に増加したうえ、法人税等調整額(税金費用)も前中間期に比べ減少したこと等による。
注.
今中間期は25行が固定資産に係る減損会計を早期適用している。
5.リスク管理債権額
リスク管理債権額(銀行勘定)は、21兆9,739億円(平成16年3月末比2兆601億円、8.6%減)と、減少した。また、貸出金総額に占める割合も、0.41%ポイント低下して、5.28%となった。

以上


全国銀行の平成16年度中間決算の状況(単体ベース)

1.損益状況

(1)資金運用益

全国銀行(注)の平成16年度中間決算をみると、資金運用益(資金運用収益-資金調達費用)は、収益、費用ともに減少となったものの、収益が費用を上回って減少したため、4兆3,824億円(前中間期比1,655億円、3.6%減)と、減益となった。

内訳をみると、資金運用収益は、市場金利の低下や運用量の減少により貸出金利息を中心に減少したことから5兆3,036億円(同2,560億円、4.6%減)となった。資金調達費用は、市場金利の低下により預金利息等の支払利息が減少したことから9,212億円(同906億円、9.0%減)となった。

なお、業務純益は、資金運用益に加え、国債等債券関係益が減益となったものの、役務取引等利益が増加し、経費が減少した他、一般貸倒引当金が大幅な取崩超となったこと等から3兆9,622億円(同8,801億円、28.6%増)となり、前中間期に引続き増益となった。ただし、一般貸倒引当金繰入額を除いた実質業務純益ベースでは、若干の減益となった。

(2)経常利益

経常利益は、1兆587億円(同7,947億円、301.1%増)となり、増益となった。
これは、一部主要行で個別貸倒引当金純繰入額が増加したものの、全体的には不良債権処理の進展を背景に貸出金償却等が大幅に減少したこと等による。

(3)中間純利益

中間純利益は、経常利益が大幅に増加したうえ、法人税等調整額(税金費用)も前中間期に比べ減少したこと等から、4,006億円の黒字となり、前中間期の赤字(5,951億円)から黒字に転じた。
なお、今中間期に25行が固定資産に係る減損会計を早期適用している。

注1.
16年度中間期決算における全国銀行とは、都市銀行7行(みずほ、東京三菱、UFJ、三井住友、りそな、みずほコーポレート、埼玉りそな)、地方銀行64行、地方銀行II(第二地方銀行協会加盟の地方銀行)49行、信託銀行8行(三菱信託、みずほ信託、UFJ信託、中央三井信託、住友信託、野村信託、三井アセット信託、りそな信託)、新生銀行、あおぞら銀行の130行である。
注2.
平成16年5月1日、せとうち銀行と広島総合銀行が合併し、もみじ銀行となった(損益計算書上、合併前のせとうち銀行の計数(平成16年4月分)は含まない)。
注3.
全国銀行の計数には、いわゆる再生専門子会社および株式保有専門子会社の計数は含まない。

(第1表) 損益状況(単位:億円、%)

 平成16年度中間期
(130行ベース)
平成15年度中間期
(132行ベース)
計数前中間期比増減率計数増減率
経常収益84,746△5,133△5.789,878△1.2
資金運用収益53,036△2,560△4.655,596△10.9
経常費用74,159△13,080△15.087,239△2.8
資金調達費用9,212△906△9.010,117△31.7
経常利益10,5877,947301.12,639110.6
資金運用益(注1)43,824△1,655△3.645,479△4.4
(業務純益)(39,622)(8,801)(28.6)(30,821)(14.2)
特別利益3,426△3,852△52.97,278201.6
特別損失2,134△1,569△42.43,70294.8
税引前中間純利益11,8795,66491.16,215252.0
法人税・住民税・事業税1,096686.61,028△27.1
法人税等調整額6,777△4,360△39.211,137
中間純利益4,0069,956△5,951
注1.
資金運用益=資金運用収益-資金調達費用
注2.
平成15年度中間期計数は、発表後に修正があった場合は、その修正後の計数(「全国銀行財務諸表分析」掲載・訂正の計数)。以下同じ。

(参考1)銀行毎の決算状況 (単位:行)

 黒字行うち増益行うち黒字転換行うち減益行赤字行
業務純益128(131)74(73)1(0)53(58)2(1)
経常利益118(120)75(68)10(18)33(34)12(12)
中間純利益120(119)76(72)11(12)33(35)10(13)
注.
平成16年度中間期は130行ベース、( )内は平成15年度中間期(132行ベース)の実績。

(参考2)経常利益の内訳(業態別)(単位:億円)

 全国銀行都市銀行地方銀行地方銀行II信託銀行
資金運用益43,824
(△1,655)
18,929
(△1,656)
16,234
(△143)
5,660
(28)
2,458
(157)
役務収益等収支8,346
(1,150)
4,802
(781)
2,090
(153)
326
(18)
1,051
(210)
特定取引収支940
(△2,482)
596
(△2,700)
57
(27)

(-)
100
(17)
その他 業務収支4,276
(47)
3,962
(1,293)
148
(△265)
93
(△39)
△34
(△926)
その他 経常収支△16,202
(8,763)
△11,641
(5,490)
△2,241
(4,107)
△1,122
(161)
△1,289
(△1,086)
信託報酬1,939
(342)
37
(22)
7
(△9)

(-)
1,894
(329)
営業経費32,537
(△1,781)
13,612
(△1,086)
11,609
(△450)
3,975
(△82)
2,769
(△202)
経常利益10,587
(7,947)
3,073
(4,316)
4,686
(4,321)
982
(249)
1,411
(△1,097)
参考
業務純益
39,622
(8,801)
26,666
(8,511)
7,491
(419)
2,488
(190)
2,630
(△371)
注.
上段は平成16年度中間期計数、下段( )内は対前中間期比増減額。

2.リスク管理債権額(銀行勘定)

平成16年9月末におけるリスク管理債権は、一部主要行の影響から延滞債権額が増加したものの、貸出条件緩和債権額等他項目はいずれも減少し、総額は21兆9,739億円(前期末比2兆601億円、8.6%減)となった。
また、貸出金総額に占める割合は、0.41%ポイント低下して、5.28%となった。

(第2表) リスク管理債権額(銀行勘定)(単位:億円、%)
 平成16年9月末
(130行ベース)
平成16年3月末
(131行ベース)
計数前期末比
(注2)
増減率計数
破綻先債権額10,063△2,089△17.212,153
延滞債権額143,94614,88011.5129,066
3カ月以上延滞債権額2,636△467△15.13,104
貸出条件緩和債権額63,093△32,924△34.396,016
リスク管理債権総額219,739△20,601△8.6240,340
(貸出金総額に対する比率)(5.28)(△0.41) (5.69)
注1.
平成16年3月末計数は、発表後に修正があった場合は、その修正後の計数(「全国銀行財務諸表分析」掲載・訂正の計数)。以下同じ。
注2.
前期末比とは、平成16年3月末計数との比較である。以下同じ。

(参考3)金融再生法第7条に基づく「資産の査定」額(銀行勘定)(単位:億円、%)

 平成16年9月末
(130行ベース)
平成16年3月末
(131行ベース)
計数前期末比増減率計数
破産更生債権39,195△1,197△3.040,391
危険債権121,77615,98715.1105,790
要管理債権64,621△33,461△34.198,083
正常債権4,207,583△28,480△0.74,236,063

(参考4) 金融再生法開示債権の比率(銀行勘定)(業態別)(単位:%)

 全国銀行都市銀行地方銀行地方銀行II信託銀行
金融再生法
開示債権比率
5.094.316.256.853.90
注1.
金融再生法開示債権比率=(破産更生債権+危険債権+要管理債権)÷(破産更生債権+危険債権+要管理債権+正常債権)
注2.
計数には、再生専門子会社および株式保有専門子会社の計数を含まない(再掲)。

3.利回り・利鞘(国内業務)

国内業務部門の利回りをみると、貸出金利回り(A) および預金債券等原価(C)がともに低下したものの、経費率の低下を主因に預金債券等原価の低下幅が貸出金利回りの低下幅を上回ったことから、預貸金利鞘は、0.72%と前中間期比0.03%ポイント拡大した。

また、総資金利鞘は、資金運用利回り(B)および資金調達原価(D)がともに低下したものの、資金調達原価が資金運用利回りの低下幅を上回って低下したことから、0.39%と前中間期比0.02%ポイント拡大した。

(第3表) 資金運用利回り・資金調達原価および利鞘(国内業務)(単位:%、ポイント)
 16年度中間期
(130行ベース)
前中間期比15年度中間期
(132行ベース)
貸出金利回り(A)1.86△0.041.90
有価証券利回り0.74△0.010.75
コールローン等利回り0.240.020.22
資金運用利回り(B)1.45△0.041.49
預金債券等利回り0.07△0.010.08
預金利回り0.05△0.020.07
経費率1.07△0.051.12
人件費率0.44△0.050.49
物件費率0.56△0.010.57
預金債券等原価(C)1.14△0.071.21
コールマネー等利回り0.330.010.32
資金調達原価(D)1.06△0.061.12
預貸金利鞘(A)-(C)0.720.030.69
総資金利鞘(B)-(D)0.390.020.37

4.主要勘定(末残)

(1)資金調達

預金は、期中、国内業務部門では、個人預金が増加したものの、一般法人預金および公金預金が減少した。
この結果、預金全体では、531兆8,661億円(前期末比1兆6,924億円、0.3%減)となった。
譲渡性預金は、32兆7,451億円(同2兆9,493億円、9.9%増)となった。

(2)資金運用

貸出金は、期中、国内業務部門では、住宅ローン等の貸出が増加したが、企業向け貸出は資金需要が引き続き低迷したこと等により減少した。
この結果、貸出金全体では、416兆1,732億円(前期末比6兆3,330億円、1.5%減)と減少となった。
有価証券は、国債や外国証券を中心に増加し、198兆2,883億円(同4兆7,271億円、2.4%増)と増加した。

(3)資本の部

資本の部合計は29兆1,380億円(同1,769億円、0.6%増)となった。

(第4表) 主要勘定(末残)(単位:億円、%)
 平成16年9月末
(130行ベース)
平成15年9月末
(132行ベース)
計数前期末比前中間期末比前期末比前中間期末比
増減額増減率増減額増減率増減率増減率
預金5,318,661△16,924△0.372,2611.4△0.11.1
譲渡性預金327,45129,4939.936,13012.44.7△13.0
債券108,649△13,770△11.2△29,681△21.5△12.4△27.2
貸出金4,161,732△63,330△1.5△102,931△2.4△3.0△4.4
有価証券1,982,88347,2712.4226,96612.95.32.9
総資産7,463,257△3,312△0.073,5661.0△1.0△2.0

5.自己資本比率

国際統一基準採用行(16行)をみると、単体ベース、連結ベースともに全行が8%以上であった。
国内基準採用行(114行)をみると、単体ベース113行、連結ベース106行(注)が4%以上であったが、単体ベース、連結ベースともに1行が4%未満であった。

注.
連結財務諸表規則に基づく重要性の原則を適用して、都市銀行1行、信託銀行3行、地方銀行II3行の計7行は、連結財務諸表を作成していない。

(第5表) 自己資本比率 (単位:行)

   平成16年9月末
(130行ベース)
16年3月末
(131行ベース)
15年9月末
(132行ベース)
国際統一基準単体8%以上161616
8%未満000
連結8%以上161616
8%未満000
国内基準単体4%以上113114113
4%未満113
連結4%以上106106105
4%未満112

6.営業経費・職員数・店舗数

営業経費は、リストラ等経営全般にわたる合理化・効率化を進めたことにより人件費を中心に減少したことから、前中間期比1,781億円、5.2%減となった。
職員数・店舗数をみると、職員数は前中間期末比5.8%減、店舗数も同1.6%減とそれぞれ減少した。

(第6表) 営業経費・職員数・店舗数

(1)営業経費 (単位:億円、%)
 平成16年度中間期
(130行ベース)
前中間期比増減率平成15年度中間期
(132行ベース)
営業経費32,537△1,781△5.234,318

(2)職員数・店舗数 (単位:人、店、%)

 平成16年9月末
(130行ベース)
前中間期末比増減率平成15年9月末
(132行ベース)
職員数299,400△18,375△5.8317,775
店舗数13,962△228△1.614,190

 

以上


〔参考〕平成16年度中間決算の状況(連結ベース)

1.損益状況

(1)経常利益

経常利益は、1兆1,147億円(前中間期比8,123億円、268.6%増)となり、増益となった(増益69行、黒字転換8行、減益32行、損失11行)。

(2)中間純利益

中間純利益は、4,265億円の黒字となり、前中間期の赤字(7,086億円)から黒字に転じた(増益69行、黒字転換8行、減益33行、純損失10行)。

注.
連結の計数は、連結財務諸表規則に基づく重要性の原則を適用して、連結財務諸表を作成していない都市銀行1行、信託銀行3行、地方銀行II3行および他の銀行の連結子会社である地方銀行1行、地方銀行II2行を除いた120行ベースで集計している。以下同じ。

(第1表)連結損益状況 (単位:億円、%)

 平成16年度中間期
(120行ベース)
平成15年度中間期
(120行ベース)
計数前中間期比増減率計数
経常収益95,360△6,410△6.3101,770
資金運用収益55,024△2,264△4.057,288
役務取引等収益16,0811,52010.414,561
経常費用84,213△14,533△14.798,746
資金調達費用9,462△1,199△11.210,661
役務取引等費用3,745982.73,648
経常利益11,1478,123268.63,024
税金等調整前中間純利益13,8577,509118.36,348
法人税・住民税・事業税1,79023214.91,558
法人税等調整額6,720△4,268△38.810,988
中間純利益4,26511,351△7,086
注.
平成15年度中間期計数は、発表後に修正があった場合は、その修正後の計数(「全国銀行財務諸表分析」掲載・訂正の計数)。以下同じ。

2.リスク管理債権額

平成16年9月末におけるリスク管理債権の総額(破綻先債権額、延滞債権額、3カ月以上延滞債権額、貸出条件緩和債権額)は、23兆6,053億円(前期末比2兆8,175億円、10.7%減)となった。
また、貸出金総額に占める割合は、0.58%ポイント低下して、5.67%となった。

(第2表)連結のリスク管理債権額 (単位:億円、%)
 平成16年9月末
(120行ベース)
平成16年3月末
(120行ベース)
計数前期末比増減率計数
破綻先債権額11,857△2,438△17.114,295
延滞債権額152,36914,25910.3138,110
3カ月以上延滞債権額2,691△369△12.13,060
貸出条件緩和債権額69,134△39,627△36.4108,760
リスク管理債権総額236,053△28,175△10.7264,228
(貸出金総額に対する比率)(5.67)(△0.58) (6.25)
注.
平成16年3月末計数は、発表後に修正があった場合は、その修正後の計数(「全国銀行財務諸表分析」掲載・訂正の計数)。以下同じ。

(第3表)連結主要勘定(末残)(単位:億円、%)

 平成16年9月末
(120行ベース)
平成16年3月末
(120行ベース)
計数前期末比増減率計数
預金5,275,6154230.05,275,192
譲渡性預金310,90121,3807.4289,521
債券108,566△14,066△11.5122,633
コールマネー等349,728△13,617△3.7363,345
借用金94,8473,1513.491,696
調達勘定計6,139,660△2,729△0.06,142,389
負債合計7,380,31074,3061.07,306,004
資本合計284,9014,8871.7280,014
貸出金4,165,921△58,615△1.44,224,536
有価証券1,934,56152,6522.81,881,909
コールローン等93,423△19,010△16.9112,432
運用勘定計6,193,906△24,973△0.46,218,878
資産合計7,710,55480,2281.17,630,326

3.連結キャッシュ・フローの状況(間接法)

営業活動によるキャッシュ・フローは、5兆8,659億円の収入となり、投資活動によるキャッシュ・フローは、4兆3,546億円の支出となった。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、5,285億円の収入となった。
この結果、現金及び現金同等物期末残高は、30兆9,801億円となった。

(第4表)連結キャッシュ・フロー(間接法)(単位:億円)
 平成16年中間期(120行ベース)
営業活動によるキャッシュ・フロー58,659
投資活動によるキャッシュ・フロー△43,546
財務活動によるキャッシュ・フロー5,285
現金及び現金同等物期末残高(16年9月末)309,801

以上

本件に関する照会先
金融調査部 加藤、杉本 Tel.03-5252-3778