平成17年6月29日
全国銀行協会

全国銀行の平成16年度決算の状況(単体ベース)
<要 旨>

1.資金運用益
資金運用益(資金運用収益-資金調達費用)は、8兆6,886億円(前年度比3,167億円、3.5%減)と、減益となった。
これは、資金調達費用が増加となるなか、貸出金利息の減少等により資金運用収益が減少したことによる。
2.業務純益
業務純益は、6兆4,432億円(同9,714億円、17.8%増)と、増益となった。
これは、資金運用益の減少があったものの、役務取引等利益の増加や経費の減少に加え、一般貸倒引当金が純取崩しとなったこと等による。
3.経常利益
経常利益は、1兆9,017億円(同1兆3,891億円、271.0%増)と、増益となった。
これは、不良債権処理が進展し、個別貸倒引当金繰入額や貸出金償却が大幅に減少したこと等による。
4.当期純利益
当期純利益は、1兆2,941億円の黒字となり、5年ぶりに黒字に転じた(前年度は7,799億円の赤字)。
これは、経常利益が大幅に増加したうえ、法人税等調整額(税金費用)も前年度に比べ減少したこと等による。
5.リスク管理債権額
リスク管理債権額(銀行勘定)は、17兆740億円(前年度末比6兆9,600億円、29.0%減)と、減少した。また、貸出金総額に占める割合も、1.57%ポイント低下して、4.12%となった。

以上


全国銀行の平成16年度決算の状況(単体ベース)

平成17年6月29日
全国銀行協会

1.損益状況

(1)資金運用益等

全国銀行129行(注)の平成16年度決算をみると、資金運用益(資金運用収益-資金調達費用)は、調達費用が増加となるなか、運用収益が減少したため、8兆6,886億円(前年度比3,167億円、3.5%減)と減益となった。

内訳をみると、資金運用収益は、貸出金利息が運用量の減少と利回りの低下により減少したこと等から、10兆6,518億円(同2,616億円、2.4%減)となった。一方、資金調達費用は、預金利息が米国金利上昇を背景として国際業務部門で増加したこと等から、1兆9,632億円(同551億円、2.9%増)となった。

なお、業務純益は、上記の要因により資金運用益が減益となったものの、役務取引等利益の増加、経費の減少、さらには一般貸倒引当金の純取崩し等から、6兆4,432億円(同9,714億円、17.8%増)と大幅に増加した。

(2)経常利益

経常利益は、業務純益が増益となったことに加えて、不良債権処理額(個別貸倒引当金繰入額および貸出金償却)が大幅に減少したこと等から、1兆9,017億円の黒字となり、前年度(5,126億円の黒字)に比べて大幅な増益となった(銀行毎の状況は後掲参考1参照)。
なお、業態別の内訳は後掲参考2のとおり。

(3)当期純利益

当期純利益は、経常利益が大幅に増加したほか、法人税等調整額(税金費用)も前年度に比べて減少したこと等から、1兆2,941億円の黒字となり、5年ぶりに黒字に転じた(前年度は7,799億円の赤字)。

注1.
平成16年度決算における「全国銀行」は、都市銀行7行(みずほ、東京三菱、UFJ、三井住友、りそな、みずほコーポレート、埼玉りそな)、地方銀行64行、地方銀行II(第二地方銀行協会加盟の地方銀行)48行、信託銀行8行(三菱信託、みずほ信託、UFJ信託、中央三井信託、住友信託、野村信託、三井アセット信託、りそな信託)、新生、あおぞらの129行である。
注2.
平成16年5月1日、せとうち銀行と広島総合銀行が合併し、もみじ銀行となった。また、平成16年10月1日、西日本銀行と福岡シティ銀行が合併し、西日本シティ銀行となった。なお、これに伴い、損益計算書上、合併前の福岡シティ銀行の計数は計上されていない。
注3.
全国銀行の計数には、再生専門子会社および株式保有専門子会社の計数は含まない。

(第1表) 損益状況(単位:億円、%)

 平成16年度
(129行ベース)
平成15年度
(131行ベース)
計数前年度比増減率計数増減率
経常収益169,186△6,400△3.6175,586△1.3
資金運用収益106,518△2,616△2.4109,133△9.5
役務取引等収益26,5793,00812.823,57114.2
特定取引収益3,452△3,087△47.26,53930.7
その他業務収益14,628△140△1.014,769△13.7
その他経常収益14,005△3,756△21.117,76167.3
信託報酬4,0031925.03,811△2.5
経常費用150,169△20,291△11.9170,460△24.6
資金調達費用19,6325512.919,081△29.1
役務取引等費用8,6492703.28,37913.3
特定取引費用33△59△63.992332.1
その他業務費用6,862△1,670△19.68,53228.8
営業経費64,222△3,102△4.667,324△3.7
その他経常費用50,768△16,280△24.367,048△41.8
経常利益19,01713,891271.05,126
(資金運用益・注)86,886△3,167△3.590,052△3.9
(業務純益)64,4329,71417.854,71817.1
特別利益10,804△711△6.211,514160.9
特別損失3,786△2,933△43.66,71911.9
税引前当期純利益26,03416,114162.49,921
法人税・住民税・事業税1,88925315.51,636△25.9
法人税等調整額11,203△4,880△30.316,083
当期純利益12,94120,740△7,799
注.
資金運用益=資金運用収益-資金調達費用

(参考1)銀行毎の決算状況 (単位:行)

 黒字行うち増益行うち黒字転換行うち減益行赤字行
業務純益129(128)82(78)3(5)44(45)-(3)
経常利益117(119)85(64)8(39)24(16)12(12)
当期純利益117(118)80(67)9(39)28(12)12(13)
注.
平成16年度は129行ベース、( )内は平成15年度(131行ベース)の実績。

(参考2)経常利益の内訳(業態別)(単位:億円)

 全国銀行都市銀行地方銀行地方銀行II信託銀行
資金運用益86,886
(△3,167)
37,441
(△2,378)
32,589
(△775)
10,771
(109)
4,982
(△37)
役務取引等収支17,930
(2,738)
10,298
(1,672)
4,199
(304)
730
(98)
2,504
(658)
特定取引収支3,418
(△3,029)
2,815
(△3,306)
144
(58)

(-)
178
(△10)
その他業務収支7,766
(1,530)
6,490
(2,209)
475
(△72)
270
(96)
285
(△724)
その他経常収支△36,763
(12,524)
△27,612
(2,896)
△5,058
(9,834)
△2,420
(201)
△1,875
(△677)
信託報酬4,003
(192)
99
(50)
11
(△17)

(-)
3,893
(159)
営業経費64,222
(△3,102)
26,981
(△1,907)
23,131
(△869)
7,511
(△28)
5,475
(△357)
経常利益19,017
(13,891)
2,551
(3,049)
9,229
(10,201)
1,840
(532)
4,492
(△274)
参考
(業務純益)
64,432
(9,714)
36,670
(7,061)
15,604
(1,835)
4,645
(320)
6,760
(313)
注.
上段は平成16年度計数、下段( )内は対前年度増減額。なお、地方銀行と地方銀行IIの対前年度増減額は、遡及調整して算出した。

2.リスク管理債権額(銀行勘定)

平成17年3月末における銀行勘定のリスク管理債権の総額(破綻先債権額、延滞債権額、3カ月以上延滞債権額、貸出条件緩和債権額)は、大幅に減少し、17兆740億円(前年度末比6兆9,600億円、29.0%減)となった。
また、総貸出に占める割合は、1.57%ポイント低下して、4.12%となった。

(第2表) リスク管理債権額(銀行勘定)(単位:億円、%)
 平成17年3月末
(129行ベース)
平成16年3月末
(131行ベース)
計数前年度末比増減率計数
破綻先債権額7,409△4,744△39.012,153
延滞債権額105,076△23,991△18.6129,066
3カ月以上延滞債権額2,195△908△29.33,104
貸出条件緩和債権額56,059△39,957△41.696,016
リスク管理債権総額170,740△69,600△29.0240,340
(貸出金総額に対する比率)(4.12)(△1.57) (5.69)

(参考3)金融再生法第7条に基づく「資産の査定」額(銀行勘定)(単位:億円、%)

 平成17年3月末
(129行ベース)
平成16年3月末
(131行ベース)
計数前年度末比増減率計数
破産更生債権31,021△9,371△23.240,391
危険債権86,411△19,379△18.3105,790
要管理債権57,266△40,817△41.698,083
正常債権4,234,849△1,214△0.04,236,063

(参考4)金融再生法開示債権の比率(銀行勘定)(業態別)(単位:%)

 全国銀行都市銀行地方銀行地方銀行II信託銀行
金融再生法
開示債権比率
3.962.865.416.312.56
注1.
金融再生法開示債権比率=(破産更生債権+危険債権+要管理債権)÷(破産更生債権+危険債権+要管理債権+正常債権)
注2.
計数には、再生専門子会社および株式保有専門子会社の計数を含まない(再掲)。

3.利回り・利鞘(国内業務)

国内業務部門の利回りをみると、預貸金利鞘は、貸出金利回り、預金債券等原価がともに前年度比0.06%ポイント低下したことから、前年度と変わらず0.71%となった。

また、総資金利鞘も、資金運用利回り、資金調達原価がともに前年度比0.06%ポイント低下したことから、前年度と変わらず0.39%となった。

(第3表) 資金運用利回り・資金調達原価および利鞘(国内業務)(単位:%、ポイント)
 平成16年度
(129行ベース)
前年度比平成15年度
(131行ベース)
貸出金利回り(A)1.84△0.061.90
有価証券利回り0.74△0.020.76
コールローン等利回り0.280.050.23
資金運用利回り(B)1.44△0.061.50
預金債券等利回り0.06△0.020.08
預金利回り0.05△0.010.06
経費率1.07△0.041.11
人件費率0.44△0.040.48
物件費率0.57△0.010.58
預金債券等原価(C)1.13△0.061.19
コールマネー等利回り0.29△0.030.32
資金調達原価(D)1.05△0.061.11
預貸金利鞘(A)-(C)0.710.000.71
総資金利鞘(B)-(D)0.390.000.39

4.主要勘定(末残)

(1)資金調達

預金は、国内業務部門、国際業務部門とも増加したことから預金全体では、540兆7,637億円(前年度末比7兆2,051億円、1.4%増)となった。
譲渡性預金は、29兆5,302億円(同2,656億円、0.9%減)と減少した。

(2)資金運用

貸出金は、国内業務部門では、住宅ローンを中心とする個人向け貸出や地方公共団体向け貸出が増加した。一方、企業向け貸出は、借入需要が引き続き低迷していることに加え、不良債権の売却・償却等を進めたことなどにより減少し、国内業務部門全体では減少となった。一方、国際業務部門はアジア向け貸出の伸び等により増加した。この結果、貸出金全体では414兆738億円(前年度末比8兆4,324億円、2.0%減)と減少した。

有価証券は、国債および社債の増加により、200兆2,683億円(同6兆7,070億円、3.5%増)と増加した。

(第4表) 主要勘定(末残)(単位:億円、%)
 平成17年3月末
(129行ベース)
平成16年3月末
(131行ベース)
計数前年度末比増減率計数増減率
預金5,407,63772,0511.45,335,5861.6
譲渡性預金295,302△2,656△0.9297,9587.1
債券99,934△22,485△18.4122,419△22.5
コールマネー等351,472△11,181△3.1362,653△18.1
借用金129,513△7,865△5.7137,378△3.7
調達勘定計6,283,86027,8640.46,255,996△0.2
負債合計7,144,549△32,408△0.57,176,957△0.5
資本合計314,35724,7468.5289,61116.6
貸出金4,140,738△84,324△2.04,225,062△3.9
有価証券2,002,68367,0703.51,935,61216.0
国債995,65932,6273.4963,03225.1
地方債89,100△2,071△2.391,1710.0
社債275,63232,39113.3243,24110.1
株式277,316△7,952△2.8285,26823.0
その他の証券364,97112,0753.4352,8960.0
コールローン等118,136△17,902△13.2136,037△13.9
運用勘定計6,261,557△35,155△0.66,296,7121.2
資産合計7,458,907△7,662△0.17,466,5690.1
注.
コールマネー等には売渡手形、コールローン等には買入手形を含む。

5.自己資本比率

国際統一基準採用行(16行)をみると、単体ベース、連結ベースともに全行が8%以上であった。
国内基準採用行(113行)をみると、単体ベース112行、連結ベース(注1)は105行が4%以上であったが、1行(注2)のみ単体・連結ベースともに4%未満であった。

注1.
連結財務諸表規則に基づく重要性の原則を適用して、都市銀行1行、信託銀行3行、地方銀行II3行の計7行は、連結財務諸表を作成していない。
注2.
同行は、現在、預金保険法第102条第1項第3号措置の認定を受けた特別危機管理銀行。

(第5表) 自己資本比率 (単位:行)

   17年3月末
(129行ベース)
16年3月末
(131行ベース)
15年3月末
(134行ベース)
国際統一基準単体8%以上161617
8%未満000
連結8%以上161617
8%未満000
国内基準単体4%以上112114116
4%未満111
連結4%以上105106108
4%未満111

6.営業経費・職員数・店舗数

営業経費は、前年度に引き続きリストラ等合理化・効率化を一層進めたことにより、6兆4,222億円(前年度末比3,102億円、4.6%減)となった。人件費は前年度比3,137億円、10.1%減少し、物件費も同211億円、0.6%減少した。税金は、当年度から法人事業税の一部が外形標準とされた影響等により同246億円、7.6%増加した。

職員数・店舗数をみると、職員数は前年度末比4.7%、店舗数も同1.7%それぞれ減少した。

(第6表)営業経費・職員数・店舗数

(1)営業経費 (単位:億円、%)
 平成16年度
(129行ベース)
前年度比増減率平成15年度
(131行ベース)
増減率
営業経費64,222△3,102△4.667,324△3.7
うち人件費27,805△3,137△10.130,943△4.5
うち物件費32,931△211△0.633,142△3.1
うち税金3,4842467.63,238△2.6

(2)職員数・店舗数 (単位:人、店、%)

 平成17年3月末
(129行ベース)
前年度末比増減率平成16年3月末
(131行ベース)
増減率
職員数287,945△14,083△4.7302,028△6.0
店舗数13,823△237△1.714,060△2.5
注1.
店舗数には出張所を含む。
注2.
平成16年3月末計数は発表後の修正計数(「全国銀行財務諸表分析」掲載・訂正の計数)。

以上


〔参考〕平成16年度決算の状況(連結ベース)

1.損益状況

(1)経常利益

経常利益は、2兆3,565億円の黒字となった(前年度8,610億円の黒字)。

(2)当期純利益

当期純利益は、1兆5,338億円の黒字となり、5年ぶりに黒字に転じた(前年度7,916億円の赤字)。

注.
連結の計数は、連結財務諸表規則に基づく重要性の原則を適用して、連結財務諸表を作成していない都市銀行1行、信託銀行3行、地方銀行II3行および他の銀行の被連結銀行である地方銀行1行、地方銀行II2行を除いた119行ベースで集計している。

(第1表) 連結損益状況 (単位:億円、%)

 平成16年度
(119行ベース)
平成15年度
(120行ベース)
計数前年度比増減率計数
経常収益192,181△7,451△3.7199,632
資金運用収益110,919△1,821△1.6112,741
役務取引等収益33,6193,17310.430,446
経常費用168,615△22,406△11.7191,021
資金調達費用20,6268864.519,740
役務取引等費用7,4732082.97,265
経常利益23,56514,955173.78,610
税金等調整前当期純利益31,51419,241156.812,273
法人税・住民税・事業税3,13558923.12,546
法人税等調整額11,003△4,788△30.315,791
当期純利益15,33823,255△7,916

2.リスク管理債権額(銀行勘定)

平成17年3月末における銀行勘定のリスク管理債権の総額(破綻先債権額、延滞債権額、3カ月以上延滞債権額、貸出条件緩和債権額)は、18兆636億円(前年度末比8兆3,592億円、31.6%減)となった。
また、総貸出に占める割合は、1.89%ポイント低下して、4.36%となった。

(第2表) 連結のリスク管理債権額(銀行勘定)(単位:億円、%)
 平成17年3月末
(119行ベース)
平成16年3月末
(120行ベース)
計数前年度末比増減率計数
破綻先債権額8,735△5,561△38.914,295
延滞債権額109,413△28,698△20.8138,110
3カ月以上延滞債権額2,198△862△28.23,060
貸出条件緩和債権額60,289△48,472△44.6108,760
リスク管理債権総額180,636△83,592△31.6264,228
(貸出金総額に対する比率)(4.36)(△1.89) (6.25)

(第3表)連結主要勘定(末残)(単位:億円、%)

 平成17年3月末
(119行ベース)
平成16年3月末
(120行ベース)
計数前年度末比増減率計数
預金5,360,63385,4411.65,275,192
譲渡性預金275,933△13,588△4.7289,521
債券99,852△22,781△18.6122,633
コールマネー等355,701△7,644△2.1363,345
借用金99,9468,2509.091,696
調達勘定計6,192,06749,6780.86,142,389
負債合計7,402,97296,9681.37,306,004
資本合計310,13330,11910.8280,014
貸出金4,144,287△80,249△1.94,224,536
有価証券1,948,07666,1673.51,881,909
コールローン等95,089△17,343△15.4112,432
運用勘定計6,187,453△31,425△0.56,218,878
資産合計7,759,303128,9771.77,630,326
注1.
資本合計には、少数株主持分を含まない。
注2.
平成16年3月末計数は発表後の修正計数(「全国銀行財務諸表分析」掲載・訂正の計数)。

3.連結キャッシュ・フローの状況(間接法)

営業活動によるキャッシュ・フローは、6兆1,830億円の収入となり、投資活動によるキャッシュ・フローは、5兆421億円の支出となった。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、1兆2,897億円の収入となった。この結果、現金及び現金同等物期末残高は、前年度に比べ2兆5,151億円増加し、31兆3,866億円となった。

(第4表) 連結キャッシュ・フロー(間接法)(単位:億円)
 平成16年度
(119行ベース)
平成15年度
(120行ベース)
計数前年度比計数
営業活動によるキャッシュ・フロー61,830△104,905166,735
投資活動によるキャッシュ・フロー△50,421171,972△222,393
財務活動によるキャッシュ・フロー12,897△12,66725,563
現金及び現金同等物期末残高313,86625,151288,715

以上

本件に関する照会先
金融調査部 加藤、小暮 Tel.03-5252-3778