平成17年12月27日
全国銀行協会

全国銀行の平成17年度中間決算の状況(単体ベース)
<要 旨>

1.資金運用益
資金運用益(資金運用収益-資金調達費用)は、4兆3,523億円(前中間期比301億円、0.7%減)と、若干の減益となった。
2.業務純益
業務純益は、3兆643億円(同8,979億円、22.7%減)と、減益となった。
これは、役務取引等利益や外国為替売買益等が増益となったものの、一般貸倒引当金が前中間期の大幅な取崩しから若干の繰入れに転じたこと等による。
3.経常利益
経常利益は、2兆2,869億円(同1兆2,283億円、116.0%増)となり、大幅な増益となった。
これは、不良債権処理が進展し、個別貸倒引当金純繰入額や貸出金償却が大幅に減少したことに加え、株式等関係利益が増加したこと等による。
4.中間純利益
中間純利益は、2兆1,242億円(同1兆7,237億円、430.3%増)となり、大幅な増益となった。
これは、経常利益が大幅に増加したことに加え、特別損益の利益超過額が増加し、さらに法人税等調整額が減少したこと等による。
5.リスク管理債権額
リスク管理債権額(銀行勘定)は、15兆2,376億円(平成17年3月末比1兆8,364億円、10.8%減)と、減少した。また、貸出金総額に占める割合も、0.48%ポイント低下して、3.64%となった。

以上


全国銀行の平成17年度中間決算の状況(単体ベース)

1.損益状況

(1)資金運用益

全国銀行129行(注)の平成17年度中間決算をみると、資金運用益(資金運用収益-資金調達費用)は、収益、費用ともに増加となったものの、費用が収益を上回って増加したため、4兆3,523億円(前中間期比301億円、0.7%減)と、若干の減益となった。

内訳をみると、資金運用収益は、国内業務部門における貸出金利回り低下により貸出金利息が減少したものの、有価証券利息配当金が増加したこと等から5兆6,232億円(同3,196億円、6.0%増)となった。資金調達費用は、米国金利の上昇により国際業務部門で預金利息等の支払利息が増加したこと等から1兆2,709億円(同3,497億円、38.0%増)となった。

(2)業務純益

業務純益は、以上のほか、役務取引等利益が投資信託、保険商品の販売やシンジケートローンの組成等が好調であったことを背景に9,901億円(同1,555億円、18.6%増)と増加したことに加え、外国為替売買益等が増益となったものの、一般貸倒引当金が前中間期の1兆円を超える大幅な取崩しから若干の繰入れに転じたこと等から3兆643億円(同8,979億円、22.7%減)となり、減益に転じた。

(3)経常利益

経常利益は、2兆2,869億円(同1兆2,283億円、116.0%増)となり、大幅な増益となった。これは、不良債権処理の進展を背景に個別貸倒引当金純繰入額や貸出金償却が大幅に減少したことに加え、株式等関係利益が増加したこと等による。

(4)中間純利益

中間純利益は、2兆1,242億円(同1兆7,237億円、430.3%増)となり、大幅な増益となった。これは、経常利益が大幅に増加したことに加え、特別損益の利益超過額が増加し、さらに法人税等調整額が減少したこと等による。

注1.
平成17年度中間期決算における全国銀行とは、都市銀行7行(みずほ、東京三菱、UFJ、三井住友、りそな、みずほコーポレート、埼玉りそな)、地方銀行64行、地方銀行II(第二地方銀行協会加盟の地方銀行)48行、信託銀行8行(三菱信託、みずほ信託、UFJ信託、中央三井信託、住友信託、野村信託、三井アセット信託、りそな信託)、新生、あおぞらの129行である。
注2.
全国銀行の計数には、いわゆる再生専門子会社および株式保有専門子会社の計数は含まない。

(第1表)損益状況 (単位:億円、%)

 平成17年度中間期
(129行ベース)
平成16年度中間期
(130行ベース)
計数前中間期比増減率計数増減率
経常収益86,6171,8712.284,746△5.7
資金運用収益56,2323,1966.053,036△4.6
経常費用63,747△10,412△14.074,159△15.0
資金調達費用12,7093,49738.09,212△9.0
経常利益22,86912,283116.010,587301.1
資金運用益(注)43,523△301△0.743,824△3.6
(業務純益)(30,643)(△8,979)(△22.7)(39,622)(28.6)
特別利益7,9544,528132.23,426△52.9
特別損失1,724△410△19.22,134△42.4
税引前中間純利益29,10017,221145.011,87991.1
法人税・住民税・事業税1,62653048.41,0966.6
法人税等調整額6,230△546△8.16,777△39.2
中間純利益21,24217,237430.34,006
注.
資金運用益=資金運用収益-資金調達費用

(参考1)銀行毎の決算状況 (単位:行)

 黒字行うち増益行うち黒字転換行うち減益行赤字行
業務純益128(128)59(74)2(1)67(53)1(2)
経常利益123(118)83(75)10(10)30(33)6(12)
中間純利益122(120)77(76)9(11)36(33)7(10)
注.
平成17年度中間期は129行ベース、( )内は平成16年度中間期(130行ベース)の実績。

(参考2)損益の内訳(業態別)(単位:億円)

 全国銀行都市銀行地方銀行地方銀行II信託銀行
資金運用益43,523
(△301)
19,247
(319)
16,196
(△325)
5,319
(△55)
2,215
(△242)
役務収益等収支9,901
(1,555)
5,584
(782)
2,362
(278)
401
(67)
1,444
(393)
特定取引収支627
(△313)
447
(△149)
53
(△5)

(-)
△3
(△104)
その他 業務収支6,044
(1,768)
4,697
(735)
451
(304)
121
(28)
483
(517)
その他 経常収支△6,475
(9,726)
△2,968
(8,673)
△2,399
(△31)
△788
(208)
△422
(867)
信託報酬1,804
(△135)
82
(45)
5
(△2)

(-)
1,717
(△177)
営業経費32,555
(18)
13,558
(△54)
11,789
(5)
3,813
(13)
2,804
(34)
経常利益22,869
(12,283)
13,531
(10,458)
4,878
(214)
1,240
(235)
2,631
(1,220)
中間純利益21,242
(17,237)
13,923
(14,635)
3,678
(282)
760
(201)
2,038
(1,963)
参考
業務純益
30,643
(△8,979)
17,429
(△9,238)
7,312
(△417)
2,105
(△145)
3,282
(653)
注.
上段は平成17年度中間期計数、下段( )内は対前中間期比増減額。なお、地方銀行と地方銀行IIの対前中間期比増減額は、遡及調整をして算出した。以下同じ。

2.リスク管理債権額(銀行勘定)

平成17年9月末におけるリスク管理債権は、全区分いずれも減少し、総額は15兆2,376億円(前期末比1兆8,364億円、10.8%減)となった。
また、貸出金総額に占める割合は、0.48%ポイント低下して、3.64%となった。

(第2表)リスク管理債権額(銀行勘定)(単位:億円、%)
 平成17年9月末
(129行ベース)
平成17年3月末
(129行ベース)
計数前期末比増減率計数
破綻先債権額6,950△458△6.27,409
延滞債権額94,092△10,983△10.5105,076
3カ月以上延滞債権額1,969△226△10.32,195
貸出条件緩和債権額49,363△6,697△11.956,059
リスク管理債権総額152,376△18,364△10.8170,740
(貸出金総額に対する比率)(3.64)(△0.48) (4.12)
注.
前期末比とは、平成17年3月末計数との比較である。以下同じ。

(参考3)金融再生法第7条に基づく「資産の査定」額(銀行勘定)(単位:億円、%)

 平成17年9月末
(129行ベース)
平成17年3月末
(129行ベース)
計数前期末比増減率計数
破産更生債権27,234△3,787△12.231,021
危険債権78,087△8,324△9.686,411
要管理債権50,336△6,930△12.157,266
正常債権4,308,27473,4261.74,234,849

(参考4)金融再生法開示債権の比率(銀行勘定)(業態別)(単位:%)

 全国銀行都市銀行地方銀行地方銀行II信託銀行
金融再生法
開示債権比率
3.492.345.075.852.04
注1.
金融再生法開示債権比率=(破産更生債権+危険債権+要管理債権)÷(破産更生債権+危険債権+要管理債権+正常債権)
注2.
計数には、再生専門子会社および株式保有専門子会社の計数を含まない(再掲)。

3.利回り・利鞘(国内業務)

国内業務部門の利回りをみると、貸出金利回り(A)および預金債券等原価(C)がともに低下したものの、貸出金利回りの低下幅が預金債券等原価の低下幅を上回ったことから、預貸金利鞘は、0.65%と前中間期比0.07%ポイント縮小した。

また、総資金利鞘は、資金運用利回り(B)が上昇、資金調達原価(D)が低下したことから、0.42%と前中間期比0.03%ポイント拡大した。

(第3表)資金運用利回り・資金調達原価および利鞘(国内業務)(単位:%、ポイント)
 17年度中間期
(129行ベース)
前中間期比16年度中間期
(130行ベース)
貸出金利回り(A)1.77△0.091.86
有価証券利回り0.950.210.74
コールローン等利回り0.390.150.24
資金運用利回り(B)1.460.011.45
預金債券等利回り0.06△0.010.07
預金利回り0.050.000.05
経費率1.06△0.011.07
人件費率0.440.000.44
物件費率0.560.000.56
預金債券等原価(C)1.12△0.021.14
コールマネー等利回り0.23△0.100.33
資金調達原価(D)1.04△0.021.06
預貸金利鞘(A)-(C)0.65△0.070.72
総資金利鞘(B)-(D)0.420.030.39

4.主要勘定(末残)

(1)資金調達

預金は、期中、国内業務部門では、一般法人預金および公金預金が減少したものの、個人預金が増加した。この結果、預金全体では、544兆6,348億円(前期末比3兆8,711億円、0.7%増)となった。
譲渡性預金は、27兆9,870億円(同1兆5,432億円、5.2%減)となった。

(2)資金運用

貸出金は、期中、国内業務部門では、企業向け貸出は一部回復の動きも見られたものの、総じて資金需要は低迷した。一方、住宅ローン等の個人向け貸出は増加した。この結果、貸出金全体では、418兆2,029億円(同4兆1,291億円、1.0%増)となった。
有価証券は、株価や外国通貨の相場上昇等から、株式や外国証券を中心に増加し、209兆9,690億円(同9兆7,007億円、4.8%増)となった。

(3)その他

資本の部合計は33兆7,256億円(同2兆2,899億円、7.3%増)となった。
なお、参考までに繰延税金資産の残高をみると、4兆4,724億円(同1兆3,828億円、23.6%減)となった。

(第4表)主要勘定(末残)(単位:億円、%)
 平成17年9月末
(129行ベース)
平成16年9月末
(130行ベース)
計数前期末比前中間期末比前期末比前中間期末比
増減額増減率増減額増減率増減率増減率
預金5,446,34838,7110.7127,6862.4△0.31.4
譲渡性預金279,870△15,432△5.2△47,581△14.59.912.4
債券93,405△6,529△6.5△15,244△14.0△11.2△21.5
貸出金4,182,02941,2911.020,2970.5△1.5△2.4
有価証券2,099,69097,0074.8116,8075.92.412.9
総資産7,579,058120,1511.6115,8011.6△0.01.0

(参考5)繰延税金資産の残高(業態別)(単位:億円、%)

 全国銀行都市銀行地方銀行地方銀行II信託銀行
繰延税金資産44,724
(△23.6)
28,912
(△24.2)
7,470
(△22.3)
3,608
(△9.6)
4,325
(△32.7)
注.
上段は平成17年9月末計数、下段( )内は対前期末比増減率。

5.自己資本比率

国際統一基準採用行(16行)をみると、単体ベース、連結ベースともに全行が8%以上であった。
国内基準採用行(113行)をみると、単体ベース112行、連結ベース104行(注1)が4%以上であったが、単体ベース、連結ベースともに1行(注2)が4%未満であった。

注1.
連結財務諸表規則に基づく重要性の原則を適用して、都市銀行1行、信託銀行3行、地方銀行II4行の計8行は、連結財務諸表を作成していない。
注2.
同行は、現在、預金保険法第102条第1項第3号措置の認定を受けた特別危機管理銀行。

(第5表)自己資本比率 (単位:行)

   平成17年9月末
(129行ベース)
17年3月末
(129行ベース)
16年9月末
(130行ベース)
国際統一基準単体8%以上161616
8%未満000
連結8%以上161616
8%未満000
国内基準単体4%以上112112113
4%未満111
連結4%以上104105106
4%未満111

6.営業経費・職員数・店舗数

営業経費は、経営全般にわたる合理化・効率化を引き続き進めたことにより人件費は減少したものの、事務委託費等の増加により物件費が増加したことから、前中間期比18億円、0.1%増となった。
職員数・店舗数をみると、職員数は前中間期末比3.0%減、店舗数も同1.8%減とそれぞれ減少した。

(第6表)営業経費・職員数・店舗数

(1)営業経費 (単位:億円、%)
 平成17年度中間期
(129行ベース)
前中間期比増減率平成16年度中間期
(130行ベース)
営業経費32,555180.132,537

(2)職員数・店舗数 (単位:人、店、%)

 平成17年9月末
(129行ベース)
前中間期末比増減率平成16年9月末
(130行ベース)
職員数290,296△9,088△3.0299,384
店舗数13,710△252△1.813,962
注1.
店舗数には出張所を含む。
注2.
平成16年9月末計数は発表後の修正計数(「全国銀行財務諸表分析」掲載・訂正の計数)

以上


〔参考〕平成17年度中間決算の状況(連結ベース)

1.損益状況

(1)経常利益

経常利益は、2兆5,020億円(前中間期比1兆3,882億円、124.6%増)となり、大幅な増益となった(増益74行、黒字転換10行、減益29行、純損失5行)。

(2)中間純利益

中間純利益は、2兆705億円(同1兆6,444億円、386.0%増)となり、大幅な増益となった(増益70行、黒字転換10行、減益32行、純損失6行)。

注.
連結の計数は、連結財務諸表規則に基づく重要性の原則を適用して、連結財務諸表を作成していない都市銀行1行、信託銀行3行、地方銀行II4行および他の銀行の連結子会社である地方銀行1行、地方銀行II2行を除いた118行ベースで集計している。以下同じ。

(第1表)連結損益状況 (単位:億円、%)

 平成17年度中間期
(118行ベース)
平成16年度中間期
(120行ベース)
計数前中間期比増減率計数
経常収益100,1184,8085.095,360
資金運用収益58,0283,0465.555,024
役務取引等収益17,7831,70510.616,081
経常費用75,098△9,074△10.884,213
資金調達費用14,0344,57548.49,462
役務取引等費用3,8471062.83,745
経常利益25,02013,882124.611,147
税金等調整前中間純利益30,17516,327117.913,857
法人税・住民税・事業税2,52473441.01,790
法人税等調整額5,877△839△12.56,720
中間純利益20,70516,444386.04,265
注.
平成17年度中間期の前中間期比、増減率は、118行ベースに遡及調整して算出したため、平成16年度中間期計数(120行ベース)との比較とは一致しない。

2.リスク管理債権額

平成17年9月末におけるリスク管理債権の総額は、16兆251億円(前期末比2兆254億円、11.2%減)となった。
また、貸出金総額に占める割合は、0.53%ポイント低下して、3.83%となった。

(第2表)連結のリスク管理債権額 (単位:億円、%)
 平成17年9月末
(118行ベース)
平成17年3月末
(119行ベース)
計数前期末比増減率計数
破綻先債権額8,024△704△8.18,735
延滞債権額98,085△11,233△10.3109,413
3カ月以上延滞債権額1,976△222△10.12,198
貸出条件緩和債権額52,165△8,096△13.460,289
リスク管理債権総額160,251△20,254△11.2180,636
(貸出金総額に対する比率)(3.83)(△0.53) (4.36)
注.
平成17年9月末の前期末比、増減率は、118行ベースに遡及調整して算出したため、平成17年3月末計数(119行ベース)との比較とは一致しない。以下同じ。

(第3表)連結主要勘定(末残)(単位:億円、%)

 平成17年9月末
(118行ベース)
平成17年3月末
(119行ベース)
計数前期末比増減率計数
預金5,399,35042,2530.85,360,633
譲渡性預金267,138△8,795△3.2275,933
債券93,327△6,525△6.599,852
コールマネー等371,83916,1404.5355,701
借用金97,174△2,772△2.899,946
調達勘定計6,228,82940,3000.76,192,067
負債合計7,437,02037,6540.57,402,972
資本合計333,44723,5147.6310,133
貸出金4,183,44741,9711.04,144,287
有価証券2,040,02592,5954.81,948,076
コールローン等106,57411,48412.195,089
運用勘定計6,330,046146,0502.46,187,453
資産合計7,812,10556,6060.77,759,303
注.
資本合計には、少数株主持分を含まない。

3.連結キャッシュ・フローの状況(間接法)

営業活動によるキャッシュ・フローは、3兆548億円の収入となり、投資活動によるキャッシュ・フローは、4兆5,238億円の支出となった。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、1兆5,160億円の支出となった。
この結果、現金及び現金同等物期末残高は、28兆4,088億円となった。

(第4表)連結キャッシュ・フロー(間接法)(単位:億円)
 平成17年中間期(118行ベース)
営業活動によるキャッシュ・フロー30,548
投資活動によるキャッシュ・フロー△45,238
財務活動によるキャッシュ・フロー△15,160
現金及び現金同等物期末残高(17年9月末)284,088

以上

本件に関する照会先
金融調査部 加藤、小暮 Tel.03-5252-3778