地方銀行(特定取引勘定設置銀行12行)

  1.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は1兆9,061億円(前中間期比1,888億円、9.0%減)、資金調達費用は2,658億円(同1,553億円、36.9%減)となり、資金運用益は1兆6,403億円(同335億円、2.0%減)と減益となった。
     国内業務部門をみると、収益は、貸出金残高(平残、以下同じ。)やコールローン残高が増加し、有価証券残高も国債等を中心に増加したものの、政策金利の引き下げの影響等により利回りが低下し、貸出金利息および有価証券利息配当金が減少したことから、全体でも減少した。一方、費用は、同様に政策金利の引き下げ等によって預金利回り等が低下し、預金利息や譲渡性預金利息、コールマネー利息等が大幅に減少したことから、全体でも減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、減少額で資金運用収益が資金調達費用を上回ったため、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
     国際業務部門をみると、収益は、貸出金残高は増加したものの、米欧の政策金利の引き下げの影響等により利回りが大幅に低下し、貸出金利息や有価証券利息配当金、コールローン利息等が大幅に減少したことから、全体でも大幅に減少した。一方、費用は、同様に米欧の政策金利の引き下げ等によって利回りが大幅に低下し、預金利息やコールマネー利息、金利スワップ支払利息等が大幅に減少したことから、全体でも大幅に減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、減少額で資金運用収益が資金調達費用を上回ったため、国際業務部門の資金運用益は減益となった。
  2.  役務取引等収益・費用をみると、個人向け投資信託の販売手数料等の減少により、その他の役務収益が減少したことから、収益超過額は1,899億円(前中間期比361億円、16.0%減)となった。
  3.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国内・国際業務部門ともに収益超過額が減少したことから、全体の収益超過額は43億円(前中間期比14億円、24.3%減)となった。
  4.  その他業務収益・費用をみると、国債等債券償却および国債等債券売却損が大幅に減少したこと等により、国債等債券関係損益が収益超過に転じたことから、その他業務収益・費用全体では529億円の収益超過(前中間期は1,139億円の損失超過)と損失超過から収益超過に転じた。
  5.  その他経常収益・費用をみると、株式等償却は減少したものの、株式等売却益が大幅に減少したことから株式等関係損益は損失超過に転じた。一方、大口融資先企業の破綻や業績が悪化する企業が減少し、貸出金償却や個別貸倒引当金純繰入額が大幅に減少したこと等から、全体の損失超過額は2,706億円(前中間期は3,567億円の損失超過)となった。
  6.  営業経費は、営業職員の増強や店舗の拡充等が行われたものの、業務の効率化の取組み等により、人件費および物件費がともに減少したことから、1兆2,322億円(前中間期比84億円、0.7%減)となった。
  7.  以上の結果、経常利益は、3,848億円(前中間期比1,902億円、97.7%増)と大幅な増益となった(増益26行、黒字転換17行、減益21行)。また、中間純利益は、経常利益が大幅な増益となったことから、2,857億円(同1,412億円、97.8%増)と大幅な増益となり(増益27行、黒字転換16行、減益21行)、経常利益とともに地方銀行の全64行が黒字となった。
  8.  参考までにみると、業務純益は6,479億円(前中間期比1,200億円、22.7%増)と増益となった。国内業務粗利益は、1兆8,139億円(同125億円、0.7%減)となり、国際業務粗利益は、742億円の黒字(前中間期は336億円の赤字)に転じた。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.01%ポイント縮小して0.36%となった。
     リスク管理債権(銀行勘定)については、破綻先債権額は5,563億円(前期末比554億円、9.1%減)、延滞債権額は3兆6,426億円(同498億円、1.3%減)、3カ月以上延滞債権額は775億円(同211億円、37.5%増)、貸出条件緩和債権額は7,516億円(同566億円、8.1%増)であった。以上の結果、銀行勘定のリスク管理債権額は、5兆282億円(同276億円、0.5%減)となった。
     また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権は1兆4,121億円(前期末比606億円、4.1%減)、危険債権は2兆8,484億円(同514億円、1.8%減)、要管理債権は8,291億円(同777億円、10.3%増)、正常債権は151兆4,938億円(同1兆5,163億円、1.0%減)となった。
     なお、繰延税金資産(純額)は、9,344億円(前期末比5,379億円、36.5%減)となった。

担当:石井(誉)