地方銀行(特定取引勘定設置銀行12行)

  1.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は、地方公共団体向け等の貸出を中心に貸出金残高(平残)が増加したものの貸出金利の低下により貸出金利息が減少したほか、有価証券利息配当金が金利の低下により減少したこと等から、全体では1兆7,595億円(前中間期比657億円、3.6%減)となった。一方、資金調達費用は、預金残高(平残)は増加したものの、預金金利の低下により預金利息が減少したこと等から、全体では1,619億円(同376億円、18.9%減)となった。以上のように、収益・費用ともに減少したものの、収益の減少が費用の減少を上回ったことから、資金運用益は1兆5,976億円(同280億円、1.7%減)となった。
  2.  役務取引等収益・費用をみると、投信販売手数料が増加したものの、為替手数料、保険販売手数料、ATM受入手数料などが減少したことから、収益超過額は1,912億円(前中間期比53億円、2.7%減)となった。
  3.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国内業務部門では収益超過額が増加したものの、国際業務部門では損失超過に転じたことから、全体の収益超過額は17億円(前中間期比7億円、28.2%減)となった。
  4.  その他業務収益・費用をみると、国債等債券売却益が減少し、国債等債券関係損益の収益超過額が減少したことから、全体の収益超過額は957億円(前中間期比138億円、12.6%減)となった。
  5.  その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益は、株価の下落を受けて保有株式の減損処理が増加し、株式等償却が増加したこと等から、損失超過額が増加した。一方、与信関係費用は、東日本大震災の影響により被災地域の銀行を中心に増加したものの、全体では、企業倒産件数の減少により個別貸倒引当金繰入額および貸出金償却が大幅に減少した。また、今期から新たな会計基準の適用を受けて、貸倒引当金戻入益および償却債権取立益の計上区分が特別利益からその他経常収益に変更された。以上の結果、全体の損失超過額は1,083億円(前中間期は2,052億円の損失超過)となった。
  6.  営業経費は、人件費が増加したものの、物件費および税金がともに減少したこと等から、1兆2,367億円(前中間期比50億円、0.4%減)となった。
  7.  以上の結果、経常利益は5,415億円(前中間期比541億円、11.1%増)と増益となった(増益39行、減益24行)。また、中間純利益は、3,429億円(同169億円、4.7%減)と減益となった(増益33行、減益30行)。
  8.  参考までにみると、業務純益は6,907億円(前中間期比421億円、5.7%減)と減益となった。国内業務粗利益は、1兆7,971億円(同445億円、2.4%減)、国際業務粗利益は、900億円(同9億円、1.0%減)となった。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.04%ポイント縮小して0.29%となった。
     リスク管理債権(銀行勘定)については、破綻先債権額は3,365億円(前期末比89億円、2.6%減)、延滞債権額は3兆7,500億円(同421億円、1.1%増)、3カ月以上延滞債権額は470億円(同10億円、2.1%増)、貸出条件緩和債権額は7,865億円(同670億円、9.3%増)となった。以上の結果、リスク管理債権(銀行勘定)の合計は、4兆9,202億円(同1,012億円、2.1%増)となった。
     また、金融再生法第7条にもとづき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、破産更生債権及びこれらに準ずる債権が1兆925億円(前期末比674億円、5.8%減)、危険債権は3兆385億円(同1,003億円、3.4%増)、要管理債権は8,336億円(同680億円、8.9%増)、正常債権は155兆9,474億円(同5,856億円、0.4%増)となった。
     なお、繰延税金資産(純額)は、7,816億円(前期末比459億円、5.5%減)となった。

担当:長谷川