「決済」の高度化を通じて、この国の生産性をさらなる高みへ

Iさん
事務・決済システム部(2023年入社)

現在の担当業務は?

 私は、事務・決済システム部で、銀行の「決済」にまつわる制度やシステムの高度化に向けた対応を行っています。
 具体的には、手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた対応、銀行界のオープンAPIのあり方に関する調査・検討、CBDC(中央銀行デジタル通貨)に関する政府等の検討への参画、金融EDIシステム「ZEDI」の利活用促進などを担当しています。そのなかでも、日々の業務のなかで大きなウェイトを占めている、手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた対応について、ご紹介したいと思います。
 そもそも、手形や小切手は、従来、主に企業同士の取引の支払手段として用いられているもので、取引先から受け取った手形や小切手の資金化(現金化)が必要なお客さまは、銀行に来店されます。しかし、これは紙の券面である手形や小切手を銀行まで持ち込むという、書面・対面を前提とした手続きであり、お客さまと銀行の双方において手間とコストがかかります。そのため、金融界は、手形や小切手の代替となる電子的決済サービス(電子記録債権やインターネットバンキング(IB)による振込)への移行を推進しています。そのなかで、全銀協は、手形や小切手の利用者に対する周知・広報活動、政府(金融庁、経済産業省、中小企業庁など)や産業界への働きかけ、本件に関する有識者会議である「手形・小切手機能の『全面的な電子化』に関する検討会」の運営などを行っています。

これまでのキャリアのなかでやりがいのあった仕事は?

 手形や小切手を利用している企業経営者や経理担当者に向けて、電子的決済サービスへの移行を働きかけるための広報用チラシを作成する仕事に関わったことが思い出に残っています。
 チラシ作りは、上司や先輩が中心となって、企画や広告代理店との調整を進めていったのですが、特にレイアウトや配色などのデザイン面については、「Iさんはどうしたら良いと思う?」と私にも意見を求めてくださり、また、その意見を積極的に取り入れてもらいました。その時、入社1年目の新人であった私も、プレイヤーの一員として案件に参画して携われることを嬉しく思いましたし、自分の意見が反映されたチラシがゆくゆくは全国各地で活用されることになると思うと、小さな仕事でもやりがいを持って取り組めました。こうした経験を早くから積めるのは、少数組織ならではだと思います。
 

 手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた対応に関しては、時折、銀行の取組みが全国紙の新聞で紹介されることがあるのですが、こうしたものを見つけると、自分も前線で携わる案件の重要性や注目度の高さを実感することができて、気が引き締まる思いがします。
 また、銀行や関係省庁などとの打合せに出席する機会も多いのですが、特にオープンAPIやCBDCに関する会議では多くの専門用語が交わされるため、配属当初は聞き取ることも一苦労していました。このような際は、席上では簡易的なメモを取ることに集中し、会議後に議事録を作成する過程で、分からなかった言葉を調べ、会議の内容を振り返って理解するように努めていました。そうしていくうちに、議事録作成にかかる時間が減り、かつ、内容もポイントを抑えられるようになり、先輩や上司にチェックしてもらう際の修正もだんだんと少なくなりました。やりがいとは少し違うかもしれませんが、自分の成長を感じることができた体験でした。

今後の展望を聞かせてください

 まだまだ担当業務に関する知識や経験が不足していて、それ故に物事の全体を捉えられていないと感じることがあるので、先輩方にも負けない知識を身に付けて、早く一人前になりたいです。
 その後は、部署を移って、別の仕事を経験したいです。現在は、会員の意見を集約して政府などに発信する「会議系セクション」に所属しているので、システムなどの運営を行う「事業系セクション」にも挑戦してみたいと思います。
 

学生の皆さまへのメッセージ

 全銀協には、銀行実務の改善に関する調査・企画や金融犯罪への対応に加え、決済システム等の企画・運営など、様々な業務があります。一見、難しそうに感じるかもしれませんが、通信教育などの研修制度やOJTを通じて基礎的な知識を身に付けられるので、学生時代、経済学や法学を専攻していなかった私でも、問題なく業務に取り組めています。決して敷居は高くないので、その点は安心してもらえたらと思います。
 銀行界全体、社会全体のために働きたい人にはぴったりな職場だと思います。未来の銀行界のためにぜひ一緒に働きましょう!

あらゆるリスクを予見し、でんさいの信頼と安心を守る

Oさん
全銀電子債権ネットワーク所属(2022年入社)

現在の担当業務は?

 私は、全銀協が100%出資し設立した電子債権記録機関「株式会社全銀電子債権ネットワーク」(通称:でんさいネット)に所属し、リスク対策を担当しています。
 具体的な仕事内容を、当会社の事業の紹介も交えて説明したいと思います。当会社は、手形・売掛債権等の問題点を克服した電子記録債権「でんさい」を取り扱う機関として、その発生、譲渡時の記録原簿への電子記録や、債権内容の開示を行うことなどを主業務としています。銀行だけでなく、信用金庫や信用組合を含め、でんさいネットに参加する全国の金融機関で「でんさい」を利用することができます。電子記録債権の「登記所」のような存在と捉えていただくと、分かりやすいかもしれません。そうした、いわば社会インフラを運営するうえでは、信頼や安心の維持・向上が極めて重要です。しかし、例えば、災害によって当会社の業務が停止してしまうなど、ひとたび当会社を取り巻くリスクが顕在化すれば、「でんさい」を利用する全国の企業に大きな影響を与えてしまいますし、これまで積み上げてきた信頼や安心が損なわれてしまうおそれがあります。 
 こうした事態を回避、または影響を極小化すべく、私は、日々、3つのリスク、具体的には、(1)事務リスク、(2)情報セキュリティリスク、(3)システムリスクのそれぞれについて、当会社自体、さらには、当会社のシステムに接続する金融機関が適切なリスク対策を講じているか、モニタリングしています。モニタリング結果は、経営幹部が出席する会議に毎月報告し、改善に繋げています。

これまでのキャリアのなかでやりがいのあった仕事は?

 現在進行形のプロジェクトにはなりますが、2024年中に開始予定の新サービスである「でんさいライト」(※外部サイトにリンクします)のBCP(事業継続計画)の策定に携わっており、日々、苦労をしながらも、やりがいを感じています。
 この「でんさいライト」ですが、これまでのでんさいは、インターネットバンキング(IB)を契約していることを利用の前提にしている金融機関が多かったところ、「でんさいライト」は、IB契約不要、スマホやタブレットから簡単に利用可能、基本手数料が不要、という特徴があり、手形の利用枚数が少ない方にもおすすめできるサービスです。
 新しいサービスであるため、リスクを事前に査定・評価するうえで、参考になる先例がないことが計画を作るうえで難しいところです。そうしたなか、金融機関やシステムベンダーとも協力しながら、潜在リスクの見落としがないよう、慎重に分析・検討を行っています。

今後の目標・展望を聞かせてください

 まずは、「でんさいライト」の着実なサービスの開始とその後の安定的なサービス運営に向けて、しっかりと対応を進めていきたいと考えています。今後のキャリアとしては、次は、会議運営を行うセクションに異動し、政府への働きかけや意見表明の業務に携わってみたいと思います。

学生の皆さまへのメッセージ

 全銀協の仕事は、外から眺めるだけではどうしても具体的にイメージしにくい部分が多いと思います。そういう私も、完全には理解できないまま、最後は勢いで飛び込んだ部分があります(笑)。
 実際に入社してみると、全銀協の取り扱う事業が非常に多岐にわたっていること、そして、その一つひとつが、他に例のない唯一無二の仕事であることを実感します。こうした環境で、私は、これまで学んだことのなかったシステムやリスク管理の仕事を任されることになり、最初は難しさを感じることもありましたが、徐々にできることが増え、こうしていま、充実感を得ながら働くことができています。
 ところで、これを読んでいる就職活動中の皆さんは、「あなたはどんな仕事がしたいですか」と聞かれたときに、どのように答えますでしょうか。答えがすぐに思い浮かんだ方は、非常に素晴らしいと思います。一方で、私がそうであったように、自分の興味や適性がどこにあるか分からずどう答えるべきか悩んでしまう方や、やりたい仕事が多くて決め切れない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 私は、明確なビジョンをもっている方はもちろんのこと、そうでない方にも、全銀協をお勧めしたいですし、ぜひ門を叩いてほしいと思います。あなたのやりたい仕事は、きっと全銀協で見つかるはずです。
 

(所属は取材当時)