信託銀行 (特定取引勘定設置銀行6行)

  1. 信託報酬をみると、長期金融部門(貸付信託、合同運用指定金銭信託)からの信託報酬は、不良債権処理に伴う費用は減少したものの、貸付信託残高が大幅に減少したことなどから減少した。一方、財産管理部門(その他の信託)からの信託報酬は、前中間期比で横這い程度であった。この結果、信託報酬全体では、1,615億円(前中間期比174億円、9.7%減)と前中間期に比べ減少した。
  2. 資金運用収益・費用をみると、収益が4,791億円(前中間期比1,074億円、18.3%減)、費用が2,135億円(同1,523億円、41.6%減)となった結果、資金運用益は、2,656億円(同449億円、20.4%増)と大幅な増益となり、5年連続の増益となった。
    国内業務部門をみると、収益は、貸出金利回りの低下がわずかであったことを反映して貸出金利息の減少は微減にとどまったものの、有価証券残高の減少および国内金利水準の低下により有価証券利息配当金が大幅に減少したことなどから、減少した。一方、費用は、国内金利水準の低下等に伴う預金利息の大幅な減少に加え、信託勘定借残高の減少等により、その他の支払利息が大幅に減少したことから、減少した。このように、収益、費用ともに減少したものの、後者の減少幅が前者のそれを上回ったことなどから、資金運用益は増益となった。
    国際業務部門をみると、収益は、海外金利水準の低下および貸出残高の減少により、貸出金利息が大幅に減少したことに加え、有価証券利息配当金が減少したことから、減少した。一方、費用は、海外金利水準の低下および預金残高の減少により、預金利息が大幅に減少したことから、減少した。このように、収益、費用ともに減少したものの、後者の減少幅が前者のそれを上回ったことから、資金運用益は大幅な増益となった。
  3. 役務取引等収益・費用は、その他の役務費用が増加したことなどから、全体の収益超過額は754億円(前中間期比29億円、3.7%減)となった。
  4. 特定取引収益・費用は、81億円の収益超過(前中間期比14億円、21.2%増)となった。
  5. その他業務収益・費用をみると、外国為替売買損益の収益超過額は増加したものの、国債等債券売却損の大幅な増加を主因として、国債等債券関係損益の収益超過額が大幅に減少したことなどから、全体の収益超過額は491億円(前中間期比152億円、23.6%減)となった。
  6. その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益は、株式市況の低迷により1,783億円の損失超過となったが、前中間期(2,076億円の損失超過)と比べると、株式等償却の大幅減により損失超過額は減少した。また、個別貸倒引当金繰入額および貸出金償却は、前年度末に積極的な不良債権処理を進めたことなどを受け、大幅に減少した。これらの結果、その他経常収益・費用全体では、2,912億円の損失超過と、前中間期(4,568億円の損失超過)に比べ、損失超過額は大幅に減少した。
  7. 営業経費は、リストラ等経営全般にわたる合理化・効率化をより一層進めたことにより、人件費および物件費がともに減少したことから、全体では2,995億円(前中間期比298億円、9.0%減)となった。
  8. 以上の結果、経常利益は、310億円の赤字(前年度2,373億円の赤字)と2年連続の赤字となった(増益1行、黒字転換1行、減益1行、経常損失4行、初決算で利益を計上1行)。中間利益は、法人税等調整額が増益要因となったことなどに伴い、前中間期の赤字(2,140億円)から265億円の黒字に転じた(増益1行、黒字転換3行、中間損失3行、初決算で利益を計上1行)。
  9. 参考までにみると、業務純益は2,614億円(前中間期比245億円、10.3%増)と3年連続の増益となった。国内業務粗利益は4,582億円(同240億円、5.0%減)となり、国際業務粗利益は1,019億円(同346億円、51.4%増)となった。また、国内業務部門の資金粗利鞘(資金運用利回り-資金調達利回り)は、前中間期比0.11%ポイント拡大して0.80%となった。
    リスク管理債権の残高をみると、破綻先債権額は、銀行勘定で1,073億円(前年度末比113億円、9.5%減)、信託勘定で653億円(同24億円、3.8%増)となった。延滞債権額は、銀行勘定で1兆2,867億円(同3,842億円、23.0%減)、信託勘定で1,418億円(同745億円、34.4%減)となった。3ヵ月以上延滞債権額は、銀行勘定で100億円(同24億円、19.6%減)、信託勘定で74億円(同21億円、38.8%増)となった。貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で1兆4,701億円(同106億円、0.7%増)、信託勘定で2,340億円(同198億円、7.8%減)となった。以上の結果、リスク管理債権の総額は、銀行勘定で2兆8,742億円(同3,873億円、11.9%減)、信託勘定で4,486億円(同898億円、16.7%減)となった(信託勘定については、いずれも元本補填契約のある信託勘定の計数)。
    なお、金融再生法に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容をみると、破産更生債権及びこれらに準ずる債権は2,638億円(前年度末比388億円、12.8%減)、危険債権は1兆1,198億円(同3,954億円、26.1%減)、要管理債権は1兆5,036億円(同275億円、1.9%増)、正常債権は30兆6,035億円(同4,987億円、1.6%減)となった(信託勘定の計数を除く)。