第二地銀協地銀

第二地銀協地銀の平成16年度決算をみると、国内金利が引続き低水準で推移したものの、国債等の有価証券利息配当金の増加により資金運用収益は増加したことに加え、資金調達費用も預金利息の減少により減少し、資金運用益は増益に転じた。
経常利益は、資金運用益の増加に加え、個別貸倒引当金繰入額、貸出金償却および株式等償却の減少等により増益となり、前年度(1,308億円の黒字)に引続き、1,840億円の黒字となった。

当期純利益は、前年度(689億円の黒字)に引続き892億円の黒字となった。
業容面をみると、預金は前年度末比2.2%増、貸出金は同0.7%増となった。

損益状況

資金運用益
資金運用益は、1兆771億円(前年度比109億円、1.0%増)と前年度の減益から増益となった。

資金運用収益は、貸出金利息は減少したものの、国債を中心とした運用残高の増加と運用利回りの上昇により有価証券利息配当金の増加(前年度比167億円、12.8%増)から、全体では1兆1,340億円(同88億円、0.8%増)と増加した。

一方、資金調達費用は、金利水準の低下等により、預金利息が減少(前年度比36億円、8.7%減)した結果、全体では569億円(同21億円、3.6%減)と減少した。

役務取引等収益・費用
投信・保険商品販売関連手数料収入の増加等から、その他の役務収支の収益超過額の増加により、全体の収益超過額は730億円(前年度比98億円、15.5%増)となった。
その他業務収益・費用
外国為替売買損益が19億円の収益超過(前年度45億円の損失超過)、国債等債券関係損益は70億円の収益超過(前年度比75億円、51.7%減)および金融派生商品損益が16億円の損失超過(前年度43億円の収益超過)となったことなどにより、全体の収益超過額は、270億円(前年度比96億円、55.0%増)となった。
その他経常収益・費用
株式等関係損益は、305億円の収益超過となった(前年度263億円の収益超過)。また、個別貸倒引当金純繰入額は2,446億円(前年度比69億円、2.7%減)、貸出金償却は452億円(同61億円、11.8%減)となった。このほか、一般貸倒引当金繰入額も252億円の純取崩しとなった。この結果、全体の損失超過額は、2,420億円と縮小した(前年度2,620億円の損失超過)。
営業経費
営業経費は、人件費の減少により7,511億円(前年度比28億円、0.4%減)となった。
経常利益・当期純利益
以上の結果、経常収益は1兆4,306億円(前年度比95億円、0.7%増)、経常費用は1兆2,466億円(同437億円、3.4%減)となり、経常利益は1,840億円の黒字(前年度1,308億円の黒字)となった(増益32行、減益7行、黒字転換4行、経常損失5行)。当期純利益は、892億円の黒字(前年度689億円の黒字)となった(増益29行、減益10行、黒字転換4行、当期純損失5行)。

また、業務純益は、4,645億円(前年度比320億円、7.4%増)と増益となった(増益29行、減益18行、黒字転換1行)。また、国内業務粗利益は、1兆1,468億円(同350億円、3.1%増)、国際業務粗利益は、305億円(同47億円、13.4%減)となった。

利回り・利鞘(国内業務部門)

資金運用利回りをみると、貸出金利回りは、前年度比0.06%ポイント低下して2.47%となり、有価証券利回りは、同0.05%ポイント上昇して1.03%となった。また、コールローン等利回りは同0.06%ポイント上昇して0.07%となった。この結果、資金運用利回りは、同0.04%ポイント低下して2.04%となった。

一方、資金調達原価をみると、預金債券等利回りは、前年度比0.01%ポイント低下して0.07%となり、コールマネー等利回りは同0.14%ポイント低下して1.28%となった。また、経費率は同0.03%ポイント低下して1.38%となった。この結果、資金調達原価は、同0.03%ポイント低下して1.46%となった。
以上の結果、総資金利鞘は前年度比0.01%ポイント縮小して0.58%となった。

資金調達

預金は、定期性預金は減少したが、流動性預金が増加したことから、末残では53兆9,624億円(前年度末比1兆1,361億円、2.2%増)となり、平残は52兆6,985億円(前年度比1兆1,582億円、2.2%増)となった。

譲渡性預金は、末残では3,812億円(前年度末比679億円、21.7%増)となり、平残は4,356億円(前年度比1,608億円、58.5%増)となった。

資金運用

貸出金は、住宅ローンを中心に個人向け貸出金が増加したことを主因に、末残では40兆3,403億円(前年度末比2,746億円、0.7%増)となった。なお、平残は39兆5,180億円(前年度比5,429億円、1.4%増)となった。

リスク管理債権については、破綻先債権額は2,030億円(前年度末比931億円、31.4%減)、延滞債権額は1兆6,643億円(同1,442億円、8.0%減)、3カ月以上延滞債権額は126億円(同3億円、2.2%減)、貸出条件緩和債権額は6,789億円(同1,799億円、20.9%減)となった。この結果、リスク管理債権額の合計は、2兆5,589億円(同4,174億円、14.0%減)となった。

なお、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が6,377億円(前年度末比1,505億円、19.1%減)、危険債権が1兆2,613億円(同1,042億円、7.6%減)、要管理債権が6,890億円(同1,793億円、20.6%減)、正常債権が38兆4,128億円(同6,641億円、1.8%増)であった。

有価証券は、社債は減少したが、国債および外国証券が増加したことから、末残では12兆6,620億円(前年度末比8,844億円、7.5%増)と増加し、平残でも12兆3,158億円(前年度比7,890億円、6.8%増)と増加した。

自己資本

資本金は、期中に2行で増資、2行で転換社債型新株予約権付社債の転換が行われたことから、8,078億円(前年度末比194億円、2.5%増)となった。

資本勘定全体をみると、株式等評価差額金が2,272億円(同794億円、53.7%増)と増加したこと等から、資本勘定全体では、2兆6,605億円(同1,989億円、8.1%増)となった。

担当:永沼