第二地銀協地銀

第二地銀協地銀の平成17年度決算をみると、資金運用益は、資金運用収益および資金調達費用がともに増加したが、有価証券利息配当金の増加等により、前者の増加額が後者のそれを上回ったため、若干の増益となった。
経常利益は、不良債権処理が進展して個別貸倒引当金繰入額の減少に加え、株式等売却益の増加等により、2,614億円の黒字となった。また、当期純利益についても、1,446億円の黒字となった。

業容面をみると、預金は前年度末比0.6%増、貸出金は同2.6%増となった。

損益状況

資金運用益
資金運用益は、1兆744億円(前年度比7億円、0.1%増)と増益となった。

資金運用収益は、金利の低下に伴い貸出金利息は減少したものの、国債を中心とした運用残高の増加と運用利回りの上昇により有価証券利息配当金の増加(前年度比254億円、17.3%増)を主因に、全体では1兆1,391億円(同86億円、0.8%増)と増加した。

一方、資金調達費用は、米国金利の上昇等により預金利息が増加(前年度比52億円、13.6%増)した結果、全体では647億円(同79億円、13.9%増)と増加した。

役務取引等収益・費用
投資信託・保険商品販売関連手数料収入の増加等により、その他の役務収支の収益超過額が増加したことから、全体の収益超過額は926億円(前年度比200億円、27.5%増)となった。
その他業務収益・費用
外国為替売買損益が33億円の収益超過(前年度19億円の収益超過)となったものの、国債等債券関係損益は167億円の損失超過(前年度69億円の収益超過)および金融派生商品損益が27億円の損失超過(前年度16億円の損失超過)となったことなどから、全体では、118億円の損失超過となり、前年の収益超過から損益超過に転じた。
その他経常収益・費用
株式等関係損益は、767億円の収益超過(前年度比462億円、151.7%増)となった。また、個別貸倒引当金純繰入額は1,652億円(前年度比789億円、32.3%減)、貸出金償却は478億円(同31億円、7.0%増)となった。このほか、一般貸倒引当金は77億円の純取崩しとなった。この結果、全体の損失超過額は、1,405億円と減少した(前年度2,415億円の損失超過)。
営業経費
営業経費は、事務委託費を中心に物件費が増加したことにより7,532億円(前年度比53億円、0.7%増)となった。
経常利益・当期純利益
以上の結果、経常収益は1兆4,971億円(前年度比709億円、5.0%増)、経常費用は1兆2,357億円(同67億円、0.5%減)となり、経常利益は2,614億円の黒字(同776億円、42.2%増)となった(増益35行、減益5行、黒字転換4行、経常損失3行)。当期純利益は、1,446億円の黒字(同558億円、62.8%増)となった(増益30行、減益10行、黒字転換4行、当期純損失3行)。

また、業務純益は、4,232億円(前年度比406億円、8.8%減)と減益となった(増益16行、減益31行)。また、国内業務粗利益は、1兆1,214億円(同215億円、1.9%減)、国際業務粗利益は、339億円(同34億円、11.1%増)となった。

利回り・利鞘(国内業務部門)

資金運用利回りをみると、貸出金利回りは、前年度比0.12%ポイント低下して2.35%となり、有価証券利回りは、同0.12%ポイント上昇して1.15%となった。また、コールローン等利回りは同0.80%ポイント上昇して0.87%となった。この結果、資金運用利回りは、同0.04%ポイント低下して2.00%となった。

一方、資金調達原価をみると、預金債券等利回りは、前年度比不変の0.07%となり、コールマネー等利回りは同0.36%ポイント低下して0.93%となった。また、経費率は同0.02%ポイント低下して1.36%となった。この結果、資金調達原価は、同0.02%ポイント低下して1.44%となった。
以上の結果、総資金利鞘は前年度比0.02%ポイント縮小して0.56%となった。

資金調達

預金は、定期性預金は減少したが、流動性預金が増加したことから、末残で54兆1,266億円(前年度末比3,263億円、0.6%増)となり、平残では53兆3,908億円(前年度比8,538億円、1.6%増)となった。

譲渡性預金は、末残で5,112億円(前年度末比1,300億円、34.1%増)となり、平残では5,680億円(前年度比1,324億円、30.4%増)となった。

資金運用

貸出金は、住宅ローンを中心に個人向け貸出や企業向け貸出等が増加したことから、末残で41兆2,564億円(前年度末比1兆588億円、2.6%増)となった。また、平残では40兆1,486億円(前年度比7,668億円、1.9%増)となった。

リスク管理債権については、破綻先債権額は1,524億円(前年度末比499億円、24.6%減)、延滞債権額は1兆5,068億円(同1,522億円、9.2%減)、3カ月以上延滞債権額は99億円(同25億円、20.3%減)、貸出条件緩和債権額は5,127億円(同1,649億円、24.3%減)となった。この結果、リスク管理債権額の合計は、2兆1,819億円(同3,695億円、14.5%減)となった。

なお、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が5,382億円(前年度末比976億円、15.4%減)、危険債権が1兆1,472億円(同1,098億円、8.7%減)、要管理債権が5,227億円(同1,649億円、24.0%減)、正常債権が39兆6,819億円(同1兆4,089億円、3.7%増)であった。

有価証券は、国債、株式等が増加したことから、末残で13兆5,006億円(前年度末比8,659億円、6.9%増)と増加し、平残でも13兆815億円(前年度比7,931億円、6.5%増)と増加した。

自己資本

資本金は、期中に8行で増資、1行で減資、2行で転換社債型新株予約権付社債の転換が行われたことから、8,279億円(前年度末比260億円、3.2%増)となった。

資本勘定全体をみると、株式等評価差額金が2,967億円(同696億円、30.7%増)と増加したこと等から、資本勘定全体では、2兆8,947億円(同2,407億円、9.1%増)となった。

担当:永沼