都市銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は3兆5,545億円(前中間期比2,831億円、7.4%減)、資金調達費用は1兆6,978億円(同3,590億円、17.5%減)と、収益・費用ともに減少したものの、費用の減少が収益の減少を上回ったことから、資金運用益は1兆8,567億円(同759億円、4.3%増)と増益となった。
     国内業務部門をみると、収益は、有価証券の残高の減少および利回りの低下により有価証券利息配当金は減少したものの、貸出金の利回りが上昇したことから貸出金利息が増加し、金利スワップ受入利息等も増加したことから、全体でも増加した。一方、費用は、金利スワップ支払利息、債券利息等は減少したものの、預金利回りの上昇から預金利息や譲渡性預金利息が増加し、コールマネー利息等も増加したことから、全体でも増加した。以上のように、収益、費用ともに増加したものの、費用の増加が収益の増加を上回ったことから、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
     国際業務部門をみると、収益は、貸出金残高は大幅に増加したものの、米国の政策金利の低下により有価証券利息配当金や預け金利息が大幅に減少し、貸出金利息やその他の受入利息等も減少したことから、全体でも減少した。一方、費用は、同様に米国の政策金利の低下を受けて預金利息が大幅に減少し、譲渡性預金利息や借用金利息等も減少したことから、全体でも減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、預金利回りの大幅な低下により預貸金利鞘が改善したことから、国際業務部門の資金運用益は大幅な増益となった。
  2.  役務取引等収益・費用をみると、海外の融資関連手数料は増加したものの、金融市場の混乱等に伴い、個人向けの投資信託、年金保険や対顧客デリバティブの販売手数料が減少し、為替手数料収支の収益超過額も減少したことから、全体の収益超過額は5,113億円(前中間期比537億円、9.5%減)となった。
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  4.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国内業務部門では、収益超過額は増加したものの、国際業務部門では、円安による通貨スワップ取引費用等の増加により収益超過から損失超過に転じたことから、全体の収益超過額は349億円(前中間期比2,822億円、89.0%減)と大幅に減少した。
  5.  その他業務収益・費用をみると、円安による円貨換算差益等により外国為替売買損益の収益超過額が大幅に増加し、銀行勘定における金融派生商品損益も損失超過から収益超過に転じた。また、国債等債券関係損益も国際業務部門における収支の改善を主因に収益超過額が増加したことから、全体の収益超過額は2,419億円(前中間期比1,917億円、381.7%増)と大幅な増加となった。なお、外貨調達のための通貨スワップ取引に係る支払利息は特定取引費用に計上され、これに見合う外貨建資産の換算差損益はその他業務収益・費用に計上されている。
  6.  その他経常収益・費用をみると、株式等関係損益は、9月中旬の米リーマン・ブラザーズの破綻に伴う株価の大幅な下落により、保有株式の減損処理を実施したこと等から株式等償却が増加し、株式等売却益も減少したことから、損失超過額は1,076億円(前中間期は113億円の損失超過)となった。また、景気減速による企業倒産の増加や中小企業の経営環境の悪化等により貸出金償却が大幅に増加したほか、個別貸倒引当金純繰入額も増加した。
     以上の結果、全体の損失超過額は9,485億円(前中間期は4,535億円の損失超過)となった。
  7.  営業経費は、システム関連費用や退職給付費用の増加等により、1兆5,182億円(前中間期比779億円、5.4%増)となった。
  8.  以上の結果、経常利益は1,828億円(前中間期比6,426億円、77.9%減)と大幅な減益となった(減益4行、損失2行)。また、一部の銀行の本社ビル売却益や子会社株式に対する投資損失引当金取崩額等の計上により特別利益が増加(同2,086億円、219.4%増)し、法人税等調整額(税金費用)が404億円(同1,971億円、83.0%減)と減少したものの、中間純利益は3,365億円(同3,008億円、47.2%減)と半減した(増益1行、減益5行)。
  9.  参考までにみると、業務純益は1兆1,415億円(前中間期比1,873億円、14.1%減)、国内業務粗利益は2兆839億円(同305億円、1.4%減)、国際業務粗利益は5,684億円(同400億円、6.6%減)となった。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.05%ポイント縮小して、0.28%となった。
     リスク管理債権(銀行勘定)については、破綻先債権額は3,205億円(前期末比1,932億円、151.6%増)、延滞債権額は2兆1,588億円(同4,651億円、27.5%増)、3カ月以上延滞債権額は729億円(同218億円、42.5%増)、貸出条件緩和債権額は1兆2,107億円(同1,786億円、12.9%減)となった。
     リスク管理債権額の合計(銀行勘定)は3兆7,631億円(同5,014億円、15.4%増)であった。
     また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が6,555億円(前期末比2,627億円、66.9%増)、危険債権が1兆9,816億円(同4,251億円、27.3%増)、要管理債権が1兆2,836億円(同1,569億円、10.9%減)、正常債権が243兆5,374億円(同5兆2,747億円、2.2%増)であった。
     なお、繰延税金資産(純額)は、2兆8,467億円(前期末比5,408億円、23.5%増)となった。

担当:竹内