地方銀行(特定取引勘定設置銀行12行)

  1.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益は2兆949億円(前中間期比62億円、0.3%減)、資金調達費用は4,211億円(同151億円、3.5%減)となり、資金運用益は1兆6,738億円(同89億円、0.5%増)の増益となった。
     国内業務部門をみると、収益は、コールローン残高の減少等により、コールローン利息は減少したものの、貸出金残高および有価証券残高の増加により、貸出金利息および有価証券利息配当金が増加したことから、全体でも増加となった。一方、費用は、預金利回りの上昇により、預金利息および譲渡性預金利息が増加し、コールマネー利息等も増加したことから、全体でも増加となった。以上のように、収益、費用ともに増加したものの、預金残高の伸び等から、増加額では費用が収益を上回ったため、国内業務部門の資金運用益は減益となった。
     国際業務部門をみると、収益は、預け金残高の増加等により、預け金利息は増加したものの、米国の政策金利の引き下げを受けて、利回りが大幅に低下したことにより、有価証券利息配当金およびコールローン利息ならびに貸出金利息が減少し、その他の受入利息等も減少したことから、全体では減少となった。一方、費用は、同様に米国の政策金利の引き下げを受けて、利回りが大幅に低下したことにより、預金利息およびコールマネー利息が大幅に減少し、金利スワップ支払利息等も減少したことから、全体では減少となった。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、預貸金利鞘が改善したことから、減少額では費用が収益を上回ったため、国際業務部門の資金運用益は、増益となった。
  2.  役務取引等収益・費用をみると、金融市場の混乱等に伴い、個人向け投資信託等の販売手数料等の減少により、その他の役務収益が減少したことから、収益超過額は2,260億円(前中間期比419億円、15.6%減)となった。
  3.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用をみると、国内業務部門では、収益超過額は増加したものの、国際業務部門では、収益超過額が大幅に減少したことから、全体の収益超過額は57億円(前中間期比21億円、27.2%減)となった。
  4.  その他業務収益・費用をみると、米リーマン・ブラザーズの経営破綻およびその後の金融市場の混乱等に伴い、債券の売却損および償却が大幅に増加したこと等により、国債等債券関係損益が大幅に悪化したことから、その他業務収益・費用全体は1,139億円の損失超過(前中間期は21億円の収益超過)に転じた。
  5.  その他経常収益・費用をみると、海外金融市場の混乱に起因した株価の大幅な下落に伴い、株式等償却が大幅に増加したほか、景気減速に伴う建設業・不動産業を中心とした大口の破綻および融資先企業の業績の悪化等により、貸出金償却が大幅に増加し、個別貸倒引当金純繰入額も増加したこと等から、全体の損失超過額は3,567億円と前中間期(2,245億円の損失超過)に比べ増加した。
  6.  営業経費は、職員数の増加に伴う給与およびシステム関連費用等の増加により、人件費および物件費が増加したことから、1兆2,406億円(前中間期比383億円、3.2%増)となった。
  7.  以上の結果、経常利益は、1,946億円(前中間期比3,218億円、62.3%減)と大幅な減益となった(増益3行、減益44行、損失17行)。また、中間純利益は、特別損失が減少したものの、経常利益が大幅な減益となったこと等から、1,444億円(注)(同1,291億円、47.2%減)と大幅な減益となった(増益7行、黒字転換1行、減益40行、純損失16行)。
    (注)
    預金保険機構から足利銀行に実施された金銭贈与2,566億円を除いて集計。
  8.  参考までにみると、業務純益は5,280億円(前中間期比1,826億円、25.7%減)と減益となった。国内業務粗利益は、1兆8,264億円(同627億円、3.3%減)、国際業務粗利益は、336億円の赤字(前中間期は551億円の黒字)に転じた。また、国内業務部門の総資金利鞘は、前中間期比0.04%ポイント縮小し、0.37%となった。
     リスク管理債権(銀行勘定)の残高についてみると、破綻先債権額は5,030億円(前期末比1,922億円、61.8%増)、延滞債権額は3兆7,109億円(同515億円、1.4%増)、3カ月以上延滞債権額は628億円(同162億円、34.8%増)、貸出条件緩和債権額は1兆4,351億円(同239億円、1.6%減)であった。以上の結果、銀行勘定のリスク管理債権額は、5兆7,120億円(同2,361億円、4.3%増)となった。
     また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権は1兆3,234億円(前期末比2,423億円、22.4%増)、危険債権は2兆9,512億円(同86億円、0.3%増)、要管理債権は1兆4,980億円(同76億円、0.5%減)、正常債権は147兆2,944億円(同9,318億円、0.6%増)となった。
     なお、繰延税金資産(純額)は、1兆592億円(同4,388億円、70.7%増)となった。

担当:福田