信託銀行(特定取引勘定設置銀行5行)

  1.  信託報酬をみると、長期金融部門(合同運用指定金銭信託、貸付信託)においては、貸付信託の残高が引き続き減少したこと等から、関係の報酬は減少した。一方、財産管理部門(上記以外の信託)においては、有価証券の信託や投資信託の残高は増加したものの、合同運用指定金銭信託以外の金銭信託や年金信託の残高の減少などがあったため、関係の報酬は減少した。信託報酬全体では、長期金融部門および財産管理部門の信託報酬ともに減少したため、1,663億円(前中間期比189億円、10.2%減)と減少となった。
  2.  資金運用収益・費用をみると、資金運用収益が5,212億円(前中間期比203億円、3.8%減)、資金調達費用が2,745億円(同14億円、0.5%減)となった結果、資金運用益は2,467億円(同190億円、7.1%減)と減少した。
     国内業務部門をみると、収益は、有価証券利回りの低下から有価証券利息配当金は減少したものの、貸出金利回りの上昇から貸出金利息が増加したことから、全体では増加となった。一方、費用は、預金等の利回りの上昇および残高の増加により預金利息や譲渡性預金利息が増加したことから、増加した。以上のように、収益、費用ともに増加したものの、費用の増加が収益の増加を上回ったことから、国内業務部門の資金運用益は大幅な減益となった。
     国際業務部門をみると、貸出金利回りの低下により貸出金利息が大幅に減少するとともに、有価証券利回りの低下等から有価証券利息配当金が減少したことから、全体の収益は減少した。一方、利回りの低下等による預金利息や譲渡性預金利息の減少を主因として費用も減少した。以上のように、収益、費用ともに減少したものの、後者の減少額が前者のそれを上回ったことから、国際業務部門の資金運用益は増益となった。
  3.  役務取引等収益・費用は、個人向け投資信託の販売や不動産仲介の減少により、その他の役務収益が減少したこと等から、全体の収益超過額は1,032億円(前中間期比512億円、33.2%減)となった。
  4.  トレーディング業務に係る特定取引収益・費用は、国内業務部門、国際業務部門ともに損失超過となったことから、全体では96億円の損失超過(前中間期は104億円の収益超過)に転じた。
  5.  その他業務収益・費用をみると、国債等債券売却益の増加等により国債等債券関係損益が収益超過となったほか、外国為替売買損益が収益超過に転じた。また、金融派生商品損益の損失超過額が減少したことから、全体では、254億円の収益超過(前中間期は175億円の損失超過)に転じた。
  6.  その他経常収益・費用をみると、一般貸倒引当金繰入額は減少したものの個別貸倒引当金純繰入額が増加したほか、金融市場の混乱の影響を受けた株価下落に伴う株式等償却の大幅な増加により株式等関係損益が損失超過に転じたことなどから、全体としては861億円の損失超過(前中間期は670億円の損失超過)となった。
  7.  営業経費は、税金が減少したものの、人件費(退職給付費用の増加等)、物件費が増加したことから、3,037億円(前中間期比232億円、8.3%増)となった。
  8.  以上の結果、経常利益は1,421億円(前中間期比1,085億円、43.3%減)と減益となった(増益1行、減益6行)。中間純利益は、法人税、住民税及び事業税が減少したものの、特別利益が減少したこと等から、889億円(同1,025億円、53.6%減)と大幅な減益となった(全行減益)。
  9.  参考までにみると、業務純益は2,466億円(前中間期比475億円、16.2%減)と減益となった。国内業務粗利益は4,904億円(同885億円、15.3%減)となり、国際業務粗利益は416億円(同222億円、114.8%増)となった。また、国内業務部門の資金粗利鞘(資金運用利回り-資金調達利回り)は、前中間期比0.13%ポイント縮小して0.87%となった。
     リスク管理債権の残高をみると、破綻先債権額は、銀行勘定で550億円(前期末比434億円、372.1%増)、信託勘定で1.9億円(同0.4億円、26.1%増)となった。延滞債権額は、銀行勘定で1,350億円(同83億円、6.6%増)、信託勘定で334億円(同5億円、1.3%減)となった。3カ月以上延滞債権額は、銀行勘定で9億円(同9億円、50.3%減)、信託勘定で0.7億円(同0.5億円、40.0%減)となった。貸出条件緩和債権額は、銀行勘定で695億円(同1,476億円、68.0%減)、信託勘定で114億円(同7億円、6.2%減)となった。以上の結果、リスク管理債権の総額は、銀行勘定で2,606億円(同969億円、27.1%減)、信託勘定で451億円(同12億円、2.6%減)となった(信託勘定については、いずれも元本補填契約のある信託勘定の計数)。
     また、金融再生法第7条に基づき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容をみると、破産更生債権及びこれらに準ずる債権は1,068億円(前期末比501億円、88.4%増)、危険債権は1,256億円(同120億円、10.5%増)、要管理債権は705億円(同1,487億円、67.8%減)、正常債権は33兆4,805億円(同1,774億円、0.5%増)となった(信託勘定の計数を除く)。
     なお、繰延税金資産(純額)は、3,451億円(前期末比901億円、35.3%増)となった。

担当:三澤