第二地銀協地銀

 第二地銀協地銀の平成22年度決算をみると、資金運用益は、収益、費用ともに減少したものの、貸出金利の低下を受けて貸出金利息が減少したこと等により、収益の減少が費用の減少を上回ったことから、5年連続の減益となった。
 経常利益は、企業の倒産件数の減少等による与信関係費用の大幅な減少を主因に1,558億円(前年度比725億円、87.1%増)の大幅な増益となった。
 当期純利益は、一部の銀行で東日本大震災に係る特別損失を計上したものの、752億円(前年度比138億円、22.6%増)の増益となった。
 業容面(末残)をみると、預金は前年度末比1.5%増、貸出金は同0.9%増となった。

損益状況

資金運用益
 資金運用益は、9,472億円(前年度比68億円、0.7%減)の減益となった。
 資金運用収益をみると、貸出金残高(平残)は増加したものの、貸出金利の低下により貸出金利息が減少(前年度比422億円、4.5%減)したことを主因として、全体では1兆668億円(同522億円、4.7%減)と減少した。
 一方、資金調達費用をみると、預金残高(平残)は増加したものの、預金金利の低下により預金利息が減少(前年度比442億円、30.8%減)した結果、全体では1,196億円(同454億円、27.5%減)と減少した。
役務取引等収益・費用
 投資信託および年金保険の販売手数料等の増加等により、その他の役務収支の収益超過額が増加したことから、全体の収益超過額は653億円(前年度比47億円、7.7%増)と4年ぶりに増加した。
その他業務収益・費用
 上期における債券市場金利の低下により国債等債券関係損益の収益超過額が増加したことを主因として、全体の収益超過額は、581億円(前年度比145億円、33.4%増)と増加した。
その他経常収益・費用
 株価の下落により株式等関係損益の損失超過額が大幅に増加したものの、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」(平成21年11月30日成立、同年12月4日施行)等の影響により一般貸倒引当金純繰入額は戻入超過となった。また、企業の倒産件数の減少により、個別貸倒引当金純繰入額が大幅に減少したことから、貸倒引当金繰入額は922億円(前年度比650億円、41.4%減)と大幅に減少するとともに、貸出金償却も263億円(同50億円、15.9%減)と減少した。以上の結果、その他経常収支の損失超過額は1,712億円となり、前年度に比べ損失超過額は減少した(前年度は2,259億円の損失超過)。
営業経費
 営業経費は、人件費、物件費および税金のいずれも減少したことから、7,435億円(前年度比55億円、0.7%減)となった。
経常利益・当期純利益
 以上の結果、経常収益は1兆3,487億円(前年度比501億円、3.6%減)、経常費用は1兆1,929億円(同1,226億円、9.3%減)となり、経常利益は1,558億円(同725億円、87.1%増)の大幅な増益となった(増益22行、減益10行、黒字転換7行、経常損失3行)。当期純利益は、東日本大震災の影響により、特別損失が358億円(同200億円、126.3%増)と増加したものの、752億円(同138億円、22.6%増)の増益となった(増益20行、減益10行、黒字転換6行、当期純損失6行)。
 なお、業務純益は3,492億円(前年度比308億円、9.7%増)の増益となった(増益27行、減益15行)。また、国内業務粗利益は1兆358億円(同206億円、2.0%増)となり、国際業務粗利益は348億円(同74億円、27.1%増)となった。

 

利回り・利鞘(国内業務部門)

 資金運用利回りをみると、貸出金利回りは前年度比0.12%ポイント低下して2.08%となり、有価証券利回りは同0.14%ポイント低下して1.08%となった。また、コールローン等利回りは同0.03%ポイント低下して0.20%となった。この結果、資金運用利回りは同0.13%ポイント低下して1.76%となった。
 一方、資金調達原価をみると、預金債券等利回りは前年度比0.08%ポイント低下して0.17%となり、コールマネー等利回りは同0.11%ポイント上昇して2.39%となった。また、経費率は同0.03%ポイント低下して1.26%となった。この結果、資金調達原価は同0.11%ポイント低下して1.44%となった。
 以上の結果、総資金利鞘は前年度比0.02%ポイント縮小して0.32%となった。

 

資金調達

 預金は、定期預金等は減少したものの、流動性預金が増加したことを主因に、末残では57兆6,041億円(前年度末比8,341億円、1.5%増)となった。また、平残では56兆6,967億円(前年度比1兆8,314億円、3.3%増)となった。
 譲渡性預金は、末残では7,939億円(前年度末比3,017億円、61.3%増)となり、平残では7,449億円(前年度比1,046億円、16.3%増)となった。

 

資金運用

 貸出金は、末残では43兆8,766億円(前年度末比3,875億円、0.9%増)となり、平残では43兆23億円(前年度比1兆371億円、2.5%増)となった。
 リスク管理債権については、破綻先債権額は1,737億円(前年度末比973億円、35.9%減)、延滞債権額は1兆2,989億円(同95億円、0.7%増)、3カ月以上延滞債権額は139億円(同47億円、25.1%減)、貸出条件緩和債権額は1,531億円(同102億円、6.3%減)となった。この結果、リスク管理債権額の合計は、1兆6,398億円(同1,027億円、5.9%減)となり、リスク管理債権額の貸出金総額に占める比率は同0.27%ポイント低下して3.74%となった。
 なお、金融再生法第7条にもとづき開示が義務付けられている資産査定の各区分の内容は、それぞれ破産更生債権及びこれらに準ずる債権が5,220億円(前年度末比1,316億円、20.1%減)、危険債権が9,698億円(同411億円、4.4%増)、要管理債権が1,671億円(同149億円、8.2%減)、正常債権が42兆7,483億円(同4,406億円、1.0%増)となった。
 有価証券は、末残でみると、株価の下落を受けて株式が7,694億円(前年度末比551億円、6.7%減)と減少したものの、国債が7兆1,224億円(同1,775億円、2.6%増)、地方債が1兆3,182億円(同3,174億円、31.7%増)および社債が3兆3,607億円(同2,318億円、7.4%増)といずれも増加したことから、全体では、14兆3,762億円(同7,650億円、5.6%増)と増加した。平残でも14兆2,398億円(前年度比9,798億円、7.4%増)と増加した。

 

自己資本

 資本金は、期中に1行で減資が行われたものの、5行で増資が行われたことから、9,320億円(前年度末比194億円、2.1%増)となった。また、その他有価証券評価差額金が651億円の評価差益(同472億円、42.0%減)となったこと等から、純資産の部合計は2兆7,953億円となった。

 

[担当:藤澤]