1.あっせん委員会が紛争解決手続を行わない場合

 あっせん委員会は、お客さまのあっせんの申立ての内容が次のいずれかに該当すると判断した場合には、その申立てを受理いたしません(業務規程第27条、運営要領第16条)。

【紛争解決手続を行わない場合】

  1. 取引の名義がお客さまご本人でない場合(ただし、相続等明らかに合理的な理由がある場合を除きます。)
  2. 訴訟が終了または民事調停が終了したものである場合
  3. 過去にあっせん委員会によるあっせんを受け、その手続が終了したものである場合
  4. 他の指定紛争解決機関や紛争の解決を実施する外部機関によるあっせん、仲裁等の手続が終了または手続中のものである場合
  5. 当事者から提出された書面、資料、証拠書類等および事情聴取等によっては紛争の核心となる事実の確認をすることが著しく困難である場合
  6. 加入銀行の経営方針や融資態度、あるいは銀行員等個人に係わる事項等、事柄の性質上、紛争解決手続の利用が適当でないと認められる場合
    • 銀行業務等に係わらない事案(銀行株等への投資等)
    • 融資申込みや条件変更等が審査の結果断られた事案
    • 口座開設・海外送金の申込みが断られた等の加入銀行の取引方針に関する事案
    • 特定行員の素行や接客態度に関する事案
    • 単に謝罪のみを要求するような事案
    • その他上記に準ずる事案
  7. 経済的損失が認められない場合
  8. 申立てが申立書の記載内容全体からして失当であることが明らかである場合
  9. 不当な目的で、またはみだりにあっせんの申立てをしたと認められる場合

 あっせんとは、簡易な手続によって申立人・相手方銀行双方の互譲の精神により、迅速に紛争事案の解決を図る制度です。あっせん委員会は、裁判とは異なり、お客さまと銀行双方の言い分について、詳細な証拠調べ等によってどちらが正しいのかを認定・判断すること等は行わないことから、これまで次のような事案について、申立てを受理しなかった事例があります。

【申立てを受理しなかった事例(1)】

  • 詳細な事実認定が必要となる事案
    • ATM等で引き出した現金が一部足りないとして、不足額を求める事案
    • 貸金庫の中身が足りないとの主張をされる事案
    • 口座維持手数料の徴収基準の変更通知が届いていないとして、手数料の返還を求める事案
    • 預金の払戻し依頼書が偽造されたとして筆跡鑑定を求める事案
  • 何十年も前の取引がトラブルの原因となり、当時の状況が客観的に把握することができない事案
    • 20年前に契約したとされるカードローン契約に覚えがないと主張する事案
  • お客さまが主張する損害との関係を示す調査が著しく困難である事案
    • 銀行員とのトラブルでうつ病になったとして治療費・慰謝料を請求する事案
    • 銀行の事務ミスにより精神的苦痛を受けたとして損害賠償を請求する事案

 上記のほか、次のような事案でも申立てを受理しなかった事例があります。

【申立てを受理しなかった事例(2)】

  • 手数料や金利の水準など、商品性そのものを問題とする事案
  • 法令で必要とされていることに係る事案
    • 本人確認資料がなく、銀行窓口で振込ができなかった事案
  • 申立て自体が失当である事案
    • 親族の銀行取引履歴の開示を請求した事案

2.紛争解決手続の手数料

 紛争解決手続の手数料は、無料です。
 ただし、お客さま側で発生する費用、例えば、あっせん委員会の事情聴取に出席するための交通費、郵送費、コピー代、本人確認書類を用意するための費用などは、お客さま自身のご負担になります。

3.当事者の書面・資料等の提出義務

 お客さまは、あっせん委員会から指示された書面や資料等の提出に協力してください。なお、あっせん委員会は、お客さまから提出を受けた書類について特別な事情があると認めた場合を除き、返還いたしません。

4.あっせん委員会が紛争解決手続を打ち切る場合

 お客さまのあっせんの申立てが次のいずれかに該当する場合には、あっせん委員会はそのあっせんを打ち切ることがあります。あっせん委員会では、お客さまと銀行双方の主張をお伺いしたうえで、お互いの歩み寄りを図る運営を行っており、歩み寄りが困難なケースでは「3.当事者の主張に隔たりが大きい」等の理由で、手続を打切りとする場合もあります。

【あっせんを打ち切る場合】

  1. 申立ての内容に虚偽の事実が認められた場合
  2. お客さまが紛争解決手続中の紛争について他の機関によるあっせん、仲裁等の紛争解決手続を申し立てた場合
  3. お客さまと加入銀行双方の主張に隔たりが大きい等、あっせんの成立の見込みがないと判断した場合
  4. お客さまが「苦情処理手続および紛争解決手続等の実施に関する業務規程」やあっせん委員会の指示に従わない等、紛争解決手続を終了させることが適当と認められる場合
  5. 当事者が正当な理由なく紛争解決手続に係る事務手続を遂行しない場合
  6. 当事者が行方不明等となり、長期間連絡がとれなくなった場合
  7. 適格性審査実施後、上記【紛争解決手続を行わない場合】に該当することが明らかになった場合
  8. あっせん委員またはあっせん委員会事務局の担当者に対し、お客さまから恫喝的または脅迫的な言動があった場合
  9. その他あっせんを行うのに適当ではない事実が認められた場合

5.紛争解決手続の非公開

 紛争解決手続は、非公開です
 そのため、お客さまがあっせん委員会やあっせん委員会事務局から入手した加入銀行の答弁書や主張書面の写し、それらの書類に添付された資料・証拠書類等のほか、あっせん案や和解契約書など紛争解決手続において入手した情報は、お客さま以外の第三者には開示しないでください

6.成年後見制度の利用

 紛争解決手続は、お客さまご自身が和解契約書の締結等のご自身のする行為の法的な結果を認識し判断することができることが前提です。お客さまご自身がこうした能力を有しない場合、お客さまの権利・利益の保護のために、紛争解決手続に当たって成年後見制度を利用していただくことになります。成年後見制度を利用することなく紛争解決手続を進めることはできませんのでご注意ください。

7.反社会的勢力への対応

 お客さまが反社会的勢力であることが明らかになった場合や、恫喝的または脅迫的な言動があった場合、また、公序良俗や社会的公正性に反する行為等に関連する事案の場合などにおいては、あっせん委員会は紛争の申立てには応じられません

 

上記の各項目をご理解・ご確認のうえ、あっせんの申立書を提出してください。
また、申立書の作成に当たっては、申立書に添付している「記載上の注意」も、あわせてよくお読みください。

【お問い合わせ先】

全国銀行協会 あっせん委員会事務局
〒100-8216 東京都千代田区丸の内1-3-1
電話:0570-017109(ナビダイヤル) または 03-5252-3772