2002年7月22日

全国銀行協会

平成15年度税制改正要望の骨子について

全国銀行協会(会長 寺西 正司 UFJ銀行頭取)では、このたび、別添資料のとおり、平成15年度税制改正要望の骨子について取りまとめをいたしました。

本年は、関係各方面において、例年よりも早くから税制改正の議論がスタートしていることから、当協会としてもこうした動きに対応すべく、関係の委員会で検討して取りまとめたものであります。

なお、正式な平成15年度税制改正要望については、この骨子をもとに、さらに検討を行い、本年9月に取りまとめる予定といたしております。

【本件照会先】金融調査部 増田、世良、小川 TEL.03-5252-3789

(別添資料)

平成14年7月23日
全国銀行協会

平成15年度税制改正要望骨子

1.金融・産業の同時再生の推進

(1) 欠損金の繰越控除・繰戻還付制度の見直し

  • 欠損金の繰越期間(現行5年間)を大幅に延長すること。
  • 欠損金の繰戻還付制度の凍結措置を解除し、繰戻期間(現行1年間)を延長すること。

(2) 産業活力再生特別措置法に基づく税制支援措置の拡充

  • 会社の設立・増資や債権等の移転に係る登録免許税を非課税とすること。
  • 欠損金の繰越期間・繰戻期間に関する特例を拡充すること。
  • 新規設備投資に対する特別償却制度を拡充すること。
  • 債務免除益に対する課税の特例を創設すること。
  • 資産の評価換えに伴う資産評価損の損金算入を可能とすること。
  • 株券発行に係る印紙税を非課税とすること。

(3) 企業再生に係る登録免許税等の軽減

  • 企業再生の過程で生じる不動産等の資産の移転に係る登録免許税および不動産取得税を軽減すること。

(4) 不良債権処理に係る税務上の取扱いの見直し

  • 担保物の処分等の無税償却要件に係る税務上の取扱いを見直すこと。

2.金融・資本市場および産業の活性化

◎株式投資促進等を通じた金融・資本市場の活性化

  • (1) 株式税制の更なる見直し
    • 株式等譲渡益課税について、一定の要件の下、非課税とすること。
    • 株式投資信託について、損益通算および損失控除の制度を創設すること。
  • (2) 確定拠出年金税制の見直し
    • 退職年金等積立金に対する特別法人税を撤廃すること。少なくとも課税停止措置の適用期限(15年3月末)を延長すること。
    • 確定拠出年金制度の拠出限度額を引き上げるとともに、マッチング拠出を認めること。
  • (3) 証券決済システム改革法施行に伴う公社債利子等に係る課税の見直し
    • 国内事業法人の受け取る公社債の利子について源泉徴収を免除すること。
    • 非居住者等の受け取る国債以外の振替制度を利用した公社債の利子について非課税措置を設けること。あわせて、非居住者等に対する振替国債の利子非課税制度を改善すること。
    • 加入者保護信託に対する負担金等の損金算入等を認めること。
    • 証券取引清算機関を源泉徴収不適用機関とすること。

◎不動産等投資促進を通じた産業の活性化

  • (4) 土地税制の見直し
    • 取得・保有段階に係る課税(登録免許税、不動産取得税および特別土地保有税等)を整理・合理化すること。
    • 譲渡時の課税(所得税)を見直すこと。
  • (5) 不動産等の資産流動化関連税制の見直し
    • SPC等の不動産取得に係る不動産取得税等を非課税とすること。少なくとも現行の軽減措置の適用期限(15年3月末)を延長すること。
    • SPC等が支払う利益配当について、損金算入が認められる要件を緩和すること。
  • (6) 住宅投資の促進に資する税制措置の拡充
    • 現行の住宅取得促進税制を拡充すること。
    • 住宅ローン利子の所得控除制度の創設を検討すること。
    • 住宅取得資金等に係る贈与税の特例措置を拡充すること。
  • (7) 研究開発・設備投資の促進に資する税制措置の拡充
    • 現行の増加試験研究費の税額控除制度を拡充すること。
    • 減価償却制度における法定耐用年数を短縮すること。

3.適切な経営環境の確保

◎株式投資促進等を通じた金融・資本市場の活性化

  • (1) 組織再編に係る税制の見直し
    • 金融機関が会社分割・合併等を行った場合における(根)抵当権の移転に係る登録免許税を非課税とすること。少なくとも、会社分割を行った場合における登録免許税を合併を行った場合と同等とすること。
    • 適格合併に係る株式継続保有要件を緩和すること。
  • (2) 連結納税制度の見直し
    • 連結付加税を撤廃すること。
    • 連結納税グループへの子会社の新規加入時の資産時価評価について、円滑な金融再編を阻害しないよう措置を講ずること。
  • (3) 外国税額控除制度の拡充
    • 外国税額控除の繰越控除限度額および繰越控除対象外国法人税額の繰越期間(現行3年間)を延長すること。
    • 間接外国税額控除の対象を曾孫会社以下まで拡大すること。
  • (4) 地方税法の見直し
    • 現下の経済情勢等に鑑み、外形標準課税を導入しないこと。
    • 地方税法第72条の19を廃止すること。

4.金融商品・取引に対する課税の適正化

◎株式投資促進等を通じた金融・資本市場の活性化

  • (1) 登録免許税の定額税率化
    • 登録免許税の税率をその手数料的な性格から定額税率とする等、経済活性化の観点から軽減・簡素化すること。
  • (2) 印紙税の軽減・簡素化
    • 印紙税について、金融取引に悪影響を及ぼさないように、その軽減・簡素化を図ること。
  • (3) 各種金融資産間の課税の実質的権衡の確保
    • 金融商品の課税のあり方を検討する際には、課税の方法が金融商品間の有利・不利につながらないよう配慮すること。
  • (4) 東京オフショア市場における源泉所得税免除措置の恒久化
    • 東京オフショア市場における源泉所得税免除措置を恒久化すること。