2002年12月19日

全国銀行協会

日本郵政公社の「中期経営目標・中期経営計画」について

現在、日本郵政公社設立会議では、来年4月から4年間にわたる日本郵政公社の「中期経営目標・中期経営計画」を検討されているが、私どもとしては、今後の検討及びとりまとめに際し、以下の事項を考慮されるよう要望する。

1.中期経営目標について

わが国の郵便貯金は、「少額貯蓄手段の提供」という本来の目的を大きく逸脱し、今やその残高が約240兆円に達するなど、質・量ともに肥大化している。

しかしながら、平成14年の通常国会において成立した日本郵政公社法では、「官業ゆえの特典」が温存される一方、国の政策として事業を営む際の原則である「民業補完」の目的規定が明記されないなど問題が多く、私どもとしては、今後の日本郵政公社の事業運営に大きな懸念を持たざるを得ない。

したがって、今回策定される「中期経営目標」においては、「民業補完」の観点を明確にするとともに、肥大化した現状を見直す旨の目標を設定すべきである。

2.中期経営計画について

上記の観点から、現在検討中の事業計画(骨子案)等を見ると、さらに以下のような点に留意する必要があると考える。

(1)国営の公社に相応しい内容であるべき

  • 郵便貯金の獲得を奨励するような事業計画・予算としないことは勿論、事業に係る法令遵守、特に「預入限度額」の厳正管理を明確にすること。
  • また、資金運用計画では、巨額の資金運用を行う立場であることを踏まえ、金融・資本市場の安定性等に十分配慮した内容のものとすること。

(2)業務監査の強化を図るべき

  • 金融庁検査や日本銀行考査など、外部検査・監査の積極的な導入を図るとともに、国営の公社という特殊性に鑑み、独自の業務監査を実施し、その結果を国民に公表すること。

3.中期経営目標・計画策定に係る手続きや情報開示等について

国営の公社の経営目標・経営計画であるという特殊性に鑑み、関係する民間業界や国民の意見を聴取するプロセスを設ける必要があると考える。

また、中期経営目標や事業計画等の策定の根拠とした各種計数を積極的に開示するとともに、地域(支社)別の事業計画等も策定・公表するべきである。