2003年7月21日

全国銀行協会

平成16年度税制改正要望の骨子について

全国銀行協会(会長 三木 繁光 東京三菱銀行頭取)では、このたび、別添資料のとおり、平成16年度税制改正要望の骨子を取りまとめました。

本骨子は、関係各方面において、税制改正の議論がスタートしていることから、当協会としてもこうした動きに対応すべく、関係の委員会で検討して取りまとめたものです。

なお、正式な平成16年度税制改正要望については、この骨子をもとに、さらに検討を行い、本年9月に取りまとめる予定としています。

以上

【本件照会先】金融調査部 増田、世良、小川 TEL.03-5252-3789

(別 添)

平成15年7月22日
全国銀行協会

平成16年度税制改正要望骨子

1.金融・産業の一体再生の推進

(1)欠損金の繰越控除・繰戻還付制度の拡充および不良債権の無税償却基準の見直し

  • 金融機関等の欠損金の繰越期間(現行5年間)を延長すること。および、欠損金の繰戻還付制度の凍結措置を解除し、繰戻期間(現行1年間)を延長すること。
  • 金融機関が実施している自己査定に基づき、幅広く無税償却を認めること。少なくとも担保物の処分等の無税償却要件に係る税務上の取扱いを見直すこと。

(2)早期事業再生のための税制措置の拡充

  • 私的整理ガイドラインや産業再生機構等を活用した企業再生において、債務者側における資産評価損、債務免除益等の取扱いについて、会社更生法等適用時に準じた取扱いとすること。
  • 私的整理ガイドラインや産業再生機構等を活用した企業再生において、手続開始時の債権者側における貸倒引当金計上の取扱い等について、会社更生法等適用時に準じた取扱いとすること。

2.金融・資本市場の活性化と国際的取引の推進

(1)株式投資促進税制の更なる拡充

  • 個人投資家育成等の観点から、例えば、株式等譲渡益課税について、一定の要件の下で非課税とする等、株式投資促進税制の更なる拡充を図ること。
  • 公募株式投資信託について、他の公募株式投資信託との損益通算を可能とするとともに、損失繰越控除制度を創設すること。 (2) 確定拠出年金税制の見直し

(2)確定拠出年金税制の見直し

  • 確定拠出年金制度の拠出限度額を大幅に引き上げるとともに、マッチング拠出を認めること。
  • 退職年金等積立金に対する特別法人税を撤廃すること。

(3)コマーシャルペーパー(CP)に関する税制の整備

  • 外国法人が発行する電子CP(いわゆるサムライ電子CP)の償還差益に係る源泉徴収を国内CPと同様に免除すること。
  • 約束手形方式で発行されるCPに係る印紙税の特例措置(1通5000円の定額税率)の適用期限(平成16年3月末)を延長すること。

(4)資産流動化関連税制の拡充

  • SPC等を通じた資産流動化における所有権等の移転に係る登録免許税の特例措置の適用期限(平成16年3月末)を延長すること。
  • SPC等が支払う利益配当について、損金算入が認められる要件を緩和すること。

(5)東京オフショア市場における源泉所得税免除措置の恒久化・適用期限の延長

  • 東京オフショア市場における源泉所得税免除措置を恒久化すること。少なくとも適用期限(平成16年3月末)を延長すること。

(6)外国金融機関等との債券現先取引に係る利子非課税措置の恒久化・適用期限の延長

  • 外国金融機関等が特定金融機関等との間で行う債券現先取引(いわゆる外債レポ取引)により支払を受ける利子の非課税措置を恒久化すること。少なくとも適用期限(平成16年3月末)を延長すること。

(7)非居住者等に対する公社債の非課税措置の拡充等

  • 外国法人および適格外国投資信託等が適格外国仲介業者経由でTB・FB等を保有する場合についても、非課税措置の対象とすること。
  • 非居住者等が、適格外国仲介業者を通じて国債を保有する場合、本邦におけるカストディ銀行の各人別帳簿管理を不要とする等、事務負担を軽減すること。
  • 非居住者等の受け取る国債以外の振替制度を利用した公社債の利子について非課税措置を設けること。

3.経済活性化と課税の適正化

(1)住宅取得の促進に資する税制措置の拡充

  • 現行の住宅取得促進税制を拡充すること。少なくとも現行制度(平成15年12月末期限)を延長すること。
  • 住宅ローン利子の所得控除制度の創設を検討すること。

(2)土地税制の見直し

  • 固定資産税の課税方法を地価動向と整合性のとれたものに見直す等、土地税制を見直すこと。

(3)登録免許税の軽減・簡素化

  • 登録免許税の税率をその手数料的な性格から低額の定額税率とする等、軽減・簡素化すること。特に、貸出債権取引市場の発展のため、(根)抵当権の移転に係る登録免許税を軽減すること。

(4)印紙税の軽減・簡素化

  • 印紙税について、金融取引に悪影響を及ぼさないよう、軽減・簡素化すること。特に、企業金融の円滑化のため、手形に係る印紙税を軽減すること。

(5)各種金融資産間の課税の実質的権衡の確保

  • 金融資産性所得に対する課税のあり方を検討する際には、簡素かつ公平で、課税の方法が金融商品間の有利・不利につながらないよう配慮すること。

4.適切な経営環境の確保

(1)連結納税制度の見直し

  • 連結付加税を確実に撤廃すること。
  • 結納税グループへの子会社の新規加入時の資産時価評価について、円滑な金融再編を阻害しないよう措置を講ずること。
  • 連結納税採用時等における繰越欠損金の使用制限を緩和する等、銀行持株会社に係る連結納税制度を見直すこと。

(2)金融機関の組織再編成の円滑化のための税制の見直し

  • 銀行持株会社の受取配当の益金不算入の特例措置の適用期限(平成16年3月末)を延長するとともに、適用要件を緩和すること。
  • 金融機関等が会社分割・合併等を行った場合における(根)抵当権の移転に係る登録免許税を非課税とすること。少なくとも、会社分割を行った場合における登録免許税を合併を行った場合と同等とすること。

(3)外国税額控除制度等の見直し

  • 外国税額控除の繰越控除限度額および繰越控除対象外国法人税額の繰越期間(現行3年間)を延長すること。
  • 間接外国税額控除の対象を曾孫会社以下まで拡大すること。
  • タックスヘイブン税制における課税対象未処分所得の計算にあたり、「配当可能利益を構成しない利益」を控除すること。